ロータリーエンジン、最高回転数の限界はどれくらい?
更新日:2024.09.09
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2017年に新型RX-7が復活と噂されていると同時に、ロータリーエンジンの復活も期待されています。「高回転まで気持ちよく回りスムーズ」ともいわれるエンジン特性のロータリーの回転数の限界はどれくらいなのでしょうか?また、ロータリーエンジンの将来は?
ロータリーエンジンにおける「回転数」
時々誤解されますが、ロータリーエンジンにおけるエンジンの回転数とは、”ローターの回転数”ではなく、ローターにギアを介して接続された”エキセントリックシャフトの回転数”です。
これは、一般的な自動車用ピストンエンジンにおけるクランクシャフトの回転数に相当します。
このエキセントリックシャフト1回転は、ローター1/3回転。つまり、ローターが1回転する間にエキセントリックシャフトは3回転となり、3,000rpmならローターは1,000回転しかしていないのです。
しかし、ローターの先端3箇所にあるアペックスシールの摺動速度は、一般的なスポーツカーのピストンスピードの1.5倍から2.5倍程度で動いているので、回転数の増加というのは容易ではありません。
エンジン出力軸の回転数限界という意味では、ロータリーエンジンはほぼ頭打ちといえます。
これは、一般的な自動車用ピストンエンジンにおけるクランクシャフトの回転数に相当します。
このエキセントリックシャフト1回転は、ローター1/3回転。つまり、ローターが1回転する間にエキセントリックシャフトは3回転となり、3,000rpmならローターは1,000回転しかしていないのです。
しかし、ローターの先端3箇所にあるアペックスシールの摺動速度は、一般的なスポーツカーのピストンスピードの1.5倍から2.5倍程度で動いているので、回転数の増加というのは容易ではありません。
エンジン出力軸の回転数限界という意味では、ロータリーエンジンはほぼ頭打ちといえます。
エンジン回転数におけるロータリーエンジンの特性
それでは、ロータリーエンジンが高回転に強い、気持ち良いというのは都市伝説かといえば、そうでもありません。”燃焼回数の増加に対するトルク変動が小さい”、つまり高回転まで回した時に、滑らかに吹け上がっていきます。
それが、ロータリーエンジンはモーターのように回っていくと言われる要因です。
ピストンエンジンのようにバルブやカムシャフトといった複雑な機構を持たないので、同じ出力を発揮するのに部品点数が少なく小型軽量であることも魅力です。現状で最後のロータリーエンジンを主機関としたマツダ RX-8の13Bロータリーでも、9,000rpmからレッドゾーンという高回転を実現しているのです。
それが、ロータリーエンジンはモーターのように回っていくと言われる要因です。
ピストンエンジンのようにバルブやカムシャフトといった複雑な機構を持たないので、同じ出力を発揮するのに部品点数が少なく小型軽量であることも魅力です。現状で最後のロータリーエンジンを主機関としたマツダ RX-8の13Bロータリーでも、9,000rpmからレッドゾーンという高回転を実現しているのです。
ロータリーの回転数限界はどこに?
一般的に、ロータリーエンジンの限界回転数は、ターボ車で9,250rpm、NAで11,000rpm程度といわれています。前述した通り、ローターの回転数はその3分の1ではありますが、アペックスシールの速度がピストンエンジンよりはるかに速いことから、市販のレシプロエンジンと比べてそれほど回転数を上げられるわけではありません。
ル・マン24時間レースで優勝したマツダ 787Bは、NA4ローターのR26Bロータリーを搭載し、10,000rpmで800psを目指していましたが、その高回転を多用したうえで24時間レースを完走できるだけの耐久性を持ったミッションが無かったので、9,000rpmで700psにチューンされています。
ピストンエンジンであれば、バルブなど動弁系の強化で12,000rpmや15,000rpmといった超高回転のレーシングエンジンもある一方で、9,000~10,000rpmまでを得意としながら、それ以上の高回転ハイパワー化が難しいというのが、ロータリーエンジンの限界ともいえます。
ル・マン24時間レースで優勝したマツダ 787Bは、NA4ローターのR26Bロータリーを搭載し、10,000rpmで800psを目指していましたが、その高回転を多用したうえで24時間レースを完走できるだけの耐久性を持ったミッションが無かったので、9,000rpmで700psにチューンされています。
ピストンエンジンであれば、バルブなど動弁系の強化で12,000rpmや15,000rpmといった超高回転のレーシングエンジンもある一方で、9,000~10,000rpmまでを得意としながら、それ以上の高回転ハイパワー化が難しいというのが、ロータリーエンジンの限界ともいえます。
ハイパワーと環境性能の両立のために
「限界はあるが、高回転が得意」なロータリーエンジンは、一般的なレシプロエンジンと比べれば、低回転での燃焼安定性が悪く、トルクも低いのが弱点です。
ピストンエンジンのように固定された燃焼室を持たず、ローターの回転によって常に移動し続けることで燃焼温度が上がらないロータリーエンジンは、排ガス中のNOx(窒素酸化物)濃度が低いという利点はあるものの、出力に対する熱効率が良くない、つまり燃費が悪いという欠点もあります。
マツダの次世代ロータリーエンジンは、ローターの厚みを増して排気量を上げ、トルクを増すという対策を採用しているという噂ですが、その方式ですと燃焼室の拡大でさらに冷却損失が発生します。
一方で構造が簡単なので、レーシングカーやスポーツチューニングロータリーでは、4ローターや6ローターといったローター数の増加で排気量を拡大していますが、それでは出力が増強されても燃費は稼げません。
ロータリーの将来としては、高回転でのトルク変動や振動の少なさを生かし、レンジエクステンダーEVの発電用エンジン(アウディやマツダが提案と)する方法が有力です。
また、「水素ロータリーエンジン」も以前からマツダによる開発が進んでいますが、水素インフラの解決にはFCV(燃料電池車)の普及を待つしか無いので、もう少し先の未来になると思います。
次のロータリーエンジンは、スポーツEV用の発電用となり、「高回転でのフィーリングが最高」といわれたロータリーとは、別物になる可能性も多いにあるでしょうね。
ピストンエンジンのように固定された燃焼室を持たず、ローターの回転によって常に移動し続けることで燃焼温度が上がらないロータリーエンジンは、排ガス中のNOx(窒素酸化物)濃度が低いという利点はあるものの、出力に対する熱効率が良くない、つまり燃費が悪いという欠点もあります。
マツダの次世代ロータリーエンジンは、ローターの厚みを増して排気量を上げ、トルクを増すという対策を採用しているという噂ですが、その方式ですと燃焼室の拡大でさらに冷却損失が発生します。
一方で構造が簡単なので、レーシングカーやスポーツチューニングロータリーでは、4ローターや6ローターといったローター数の増加で排気量を拡大していますが、それでは出力が増強されても燃費は稼げません。
ロータリーの将来としては、高回転でのトルク変動や振動の少なさを生かし、レンジエクステンダーEVの発電用エンジン(アウディやマツダが提案と)する方法が有力です。
また、「水素ロータリーエンジン」も以前からマツダによる開発が進んでいますが、水素インフラの解決にはFCV(燃料電池車)の普及を待つしか無いので、もう少し先の未来になると思います。
次のロータリーエンジンは、スポーツEV用の発電用となり、「高回転でのフィーリングが最高」といわれたロータリーとは、別物になる可能性も多いにあるでしょうね。