「いつかはクラウン」"若者からも支持された"クラウンと"国産高級車"レクサスとの立ち位置の違いを解説

クジラ

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長らくトヨタの最上級車種であり続け、「いつかはクラウン」というキャッチコピーが示すように、憧れの存在とも言えたのがクラウン。そのクラウンに大きな変化が起きている、といわれています。
Chapter
変質してきているクラウンの「立ち位置」
衝撃的だった「Re Born」クラウン
クラウンにも押し寄せるダウンサイジングの波…
コストダウン?レクサスとの競合は?
いまでも「クラウン」であり続けるには…

変質してきているクラウンの「立ち位置」

クラウンはトヨタ自動車、ひいては日本を代表する車種のひとつであり、同社の量販車種の中でも最上級モデルとして君臨してきました。有名な「いつかはクラウン」というキャッチコピーは1983年の7代目の発表時に用いられたフレーズです。日本人にとっては刷り込みとして高級車像「クラウン」があるといえます。実際に官公庁や企業等に導入されるケースも多いのが事実。

1955年の初代モデルからFR駆動レイアウトをとっており、また直6エンジンは1965年の2代目から投入されており、モデルチェンジ後も直6エンジンを主軸の置く展開をしています。

さて、2015年現在、ダウンサイジングが一般的なものとして市場に受け入れられ、その根拠となる環境性能=燃費性能が重視されています。かつては「車格」「排気量」というものがクルマのヒエラルキーとして重視されてきました。そうした価値観は大きく変化しているのが現在の市場意識と考えます。また同じトヨタ内でも高級ブランド「レクサス」が展開10年を迎え、これもブランディングが定着してきています。

そんな中でクラウンの立ち位置は難しくなってきている、と考えるところ…。

衝撃的だった「Re Born」クラウン

2012年にデビューとなる現在のクラウンは「14代目」となります。しかしそのデビューは衝撃的でした。ドラえもんとのタイアップTV-CMに登場した「ピンク」のクラウン。これは誰しもCM用の車両と思った事でしょう。高級車であり、「重厚さ」を求められるクラウンのかつてのブランディングからは考えられない展開だからです。

しかし、これをトヨタは期間限定で販売すると発表。これをトヨタの「迷走」と取るか「意気込み」と取るかは受け止める方次第ですが、実際すぐに650台の受注があったそうです。また半分近くが企業の受注だったのだとか。確かに社用車であればインパクトありますよね…。ドラえもんの「どこでもドア」を意図したイメージ、というのも「柔らかさ」が出たポイントといえそうです。

とにかく「クラウン」と聞いて真っ先にイメージしてしまいますから、先代以前のモデルよりもプロモーション、マーケティング的には成功を収めたと考えます。

クラウンにも押し寄せるダウンサイジングの波…

前述のように、クルマに求める価値観が変質してきている中にあって、現行クラウンにも「環境性能」を持たせています。先代モデルから投入されたハイブリッドは勿論、「2.0L 4気筒ターボエンジン」を投入してきたのです。

2.0Lモデルは過去にもありましたが、直6エンジンを搭載していました。今回はレクサスNX等にも採用された8AR-FTS型4気筒ターボエンジンを搭載、明確にダウンサイジングを意図しています。

これに対してトヨタは、「日本では信号待ちが多くて渋滞も頻繁に起きる環境。ハイブリッドのほうが燃費を高めやすくなるが、クラウンに乗るユーザーは燃費を求める一方で余裕のある走り、気持ちのよい加速を求める方が多い為、ダウンサイジングターボを採用」としています。

このモデルのスペックは、最高出力173kW(235PS)/5200-5800、最大トルク350Nm(35.7kgm)/1650-4400rpm、JC08モード燃費は13.4km/Lと走りと燃費を両立させることに成功しています。

コストダウン?レクサスとの競合は?

クラウンはこのダウンサイジング、またキャッチーなカラーバリエーションもあり、「コストダウンした」という声もあるようです。実際にコストダウンしているのは(クラウンに限らず)どのメーカーも量産車両であれば当然のこと。問題は品質が維持できているか、という点にあると考えます。

やはり細かいパーツの作り込み等はレクサスに譲る所でしょう。しかし特に法人・官公庁でのニーズが高い車種ですから、コストダウンは行っても品質の維持は厳命されていると考えます。

またレクサスとの競合、という点に関しては、明確にキャラクターを変えているといえます。クラウンは前述のように国内市場での需要が主であり、低中速で街中を快適に走る事が重要な要素です。対してレクサスは世界戦略車であり、より高速域での常用、という性格がもたらされているといえます。

いまでも「クラウン」であり続けるには…

日本を代表する高級車であり続ける、というのは非常に難しい事ですし、またレクサスブランドを立ち上げたトヨタとしても「クラウン」の存在というのは自縄自縛ともなりかねないもの…。

しかし「Re Born」コンセプトが示すように、少しその立ち位置を変化させ、生き残らせている、と考えられますね。その例が、今年クラウンアスリートに用意された12色の「ジャパンカラーセレクションパッケージ」…。

「紅(クレナイ)」「仄 (ホノカ)」「茜色(アカネイロ)」「天空(ソラ)」「群青(グンジョウ)」「紺碧(アオ)」「白夜(ビャクヤ)」「翡翠(ヒスイ)」「常盤色(トキワイロ)」「胡桃(クルミ)」「黒曜(コクヨウ)」「白光(ビャッコウ)」…。どれも個性的かつ美しいものですが、かつてのクラウンのイメージでは「あり得ない」展開と考えます。

いまでも「クラウン」であり続ける、というのは本当に大変な事、なのかもしれません…。

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