トヨタ「ランドクルーザー(300シリーズ)」の試乗インプレッション！大船に乗ったような安心感と快適度！【プロ徹底解説】

更新日：2023.09.18

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トヨタで最も長く続くモデルであり、SUVラインナップの頂点に立つのが「ランドクルーザー(300シリーズ)」です。その走りはいかがなものなのか？実際に走らせた印象をレポートします。

文・鈴木ケンイチ／写真・PBKK

鈴木ケンイチ

モータージャーナリスト。新車紹介から人物取材、メカニカルなレポートまで幅広く対応。最近は新技術や環境関係に注目。年間3～4回の海外モーターショー取材を実施。レース経験あり。毎月1回のSA/PAの食べ歩き取材を10年ほど継続中。日本自動車ジャーナリスト協会（AJAJ）会員　自動車技術会会員　環境社会検定試験（ECO検定）

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Chapter: 威風堂々の巨躯と押し出し感; ランクルならではのオフロード装備; 大きな船に乗っているような、ゆったりとした乗り味

威風堂々の巨躯と押し出し感

現物の「ランドクルーザー(300シリーズ)」を前にすると、誰もが最初に思うことは同じでしょう。それは「なんて大きいんだ」ということ。海外には、もっと大きなトヨタ車は有りますが、国内では「ランドクルーザー(300シリーズ)」は、最上級というだけでなく、トヨタSUVの最大モデルでもあります。全長4985×全幅1980×全高1925mmという寸法は、Lサイズミニバンである「アルファード」と、ほぼ同じ。というか、「ランドクルーザー(300シリーズ)」は、「アルファード」よりも、全幅がさらに130mmも幅広く、まさに陸の王者という、大きな存在感を放っています。

面白いのは、乗車した時の目線の高さです。「ランドクルーザー(300シリーズ)」の目線は非常に高いのですが、室内の上下寸法は意外と小さく、ひとまわりもふたまわりも小さい「RAV4」と変わりません。車が大きいのに、上下に狭いのは、床下にラダーフレームという太い骨格があって、その上にキャビンが乗っているのが理由です。ある意味、この眺めと室内空間のバランスが「ランドクルーザー(300シリーズ)」の特徴とも言えるでしょう。

ランクルならではのオフロード装備

もうひとつの「ランドクルーザー(300シリーズ)」ならではの室内の眺めが、数多く用意された走りの装備たち。シフトノブの前には、フルタイム4WDのギヤを高速側と低速側に切り替える「H4/L4」スイッチと、デフロック(オプション)のボタン、そして、走行モードを変化させるドライブモードセレクト／マルチテレインセレクトのスイッチが並びます。これらの機能を理解することが、「ランドクルーザー(300シリーズ)」を乗りこなす、最初の一歩と言えるでしょう。

ただし、実際のところは、それほど難しいものではありません。街乗りであればフルタイム4WDのスイッチは「H4」を選ぶだけでOK。本当のひどい悪路に行った時だけ、「L4」と「デフロック」を使います。また、ドライブモードセレクト／マルチテレインセレクトのスイッチは、共用になっており、街中の舗装路ではドライブモードセレクトとして使い、悪路のときだけマルチテレインセレクトに切り替えます。つまり、街中では、ECOやコンフォート、スポーツなどを切り替える、普通のドライブモードセレクトと同様に扱います。

ボタンがたくさんあるので、最初にまごつくかもしれませんが、内容を理解すれば、意外と難しいものではありません。

ちなみに、「ランドクルーザー(300シリーズ)」に乗ったら、ぜひともメーター内の表示をチェックしてみましょう。今どき珍しい「電圧」の表示があります。これは歴代モデルに受け継がれてきた伝統のひとつ。「どんな厳しい状況からも、必ず、無事に帰る」と言われる「ランドクルーザー」シリーズの歴史を感じられるポイントです。

大きな船に乗っているような、ゆったりとした乗り味

「ランドクルーザー(300シリーズ)」は世界屈指のオフローダーです。それだけを聞くと、なんとも荒々しいキャラクターを想像してしまうかもしれません。しかし、実際に街中を走る「ランドクルーザー(300シリーズ)」には、一切、粗暴な印象はありません。エンジン音や振動は小さく、加速感も滑るよう。乗り心地も非常にソフト。まさに高級車そのものの乗り味です。

試乗したのはガソリン車なので、エンジンは3.5リッターのV6ツインターボ。最高出力305kW(415馬力)・最大トルク650Nmもありますから、パワーは十分。車重量約2.5トンもある車体を、驚くほど俊敏に走らせます。

ただし、オフロード走行を基本とするのでしょう。油圧のパワーステアリングの最初の操舵感はゆったりとしています。また、加速も「ガツン」とぶつけるようなものではなく、一瞬のタメの後に加速が始まります。スポーツカーではなく、ラグジュアリーカー色の強い乗り味です。また、サスペンションのストローク感がたっぷりあるので、乗り心地はフラットではなく、もっとゆったりと動きます。大きな船に乗っているようなイメージに近いでしょう。これもセダンではなく、大型SUVならではの乗り味です。ちなみに、兄弟車のレクサス「LX」は油圧ではなく電動パワーステアリングを採用して、もう少しオンロードのハンドリングの手応えがタイトになっていました。

今回の試乗は、残念ながら街乗りだけでした。「ランドクルーザー(300シリーズ)」は、世界屈指のオフローダーですから、未舗装路を走らなければ、その実力は半分も確認できたとはいえません。

ただし、街乗りの印象では、トヨタSUVの最上位の存在を実感できる走りだったと言えるでしょう。パワートレインはパワフルかつジェントル。ハンドリングと乗り心地は、ゆったりと安心感に溢れたものでした。もちろん、質感の高いインテリアと、充実した快適装備類も魅力となります。実際のところ、日本国内で使用するのであれば、そのほとんどが舗装路を走ることになるはず。そうした使い方でも、「ランドクルーザー(300シリーズ)」は、最高のSUVと言っていいでしょう。

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