1970年代に実現したBMW伝説の名車「E26(M1)」を解説

BMW M1中古1

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みなさんもご存知のとおりBMWといえば、伝統の直列6気筒エンジンとFRの駆動方式に磨きをかけ、駆け抜ける喜びを実現し続けるドイツの車メーカーです。特に無振動エンジンと言われる直6エンジンをラインナップしているのは現在BMWのみです。

そんなBMWが約40年前に、走りを愛する車好きにとって理想とも言える車を作っていました。その名も「E26 M1」。それではどのような車だったのか見ていきましょう。
Chapter
打倒ポルシェ!!開発ストーリー
あのシルキーシックスをリアミッドに搭載!
ランボルギーニと手を組んで正解!?BMW唯一のMR誕生!
日本でも走っていたM1 グループ5仕様
今となっては、超希少車
次期M1コンセプトモデル!
最後に

打倒ポルシェ!!開発ストーリー

1976年、FIA公式レースカテゴリーであるグループ4ではポルシェ934が、グループ5(通称:シルエットフォーミュラ)ではポルシェ935が圧倒的な強さを見せており、他のメーカーが参入できないほどでした。

特にポルシェ935は、ひとつ上のカテゴリーであるグループ6の車より最高速が早く、ストレートで抜いてしまうほど。そのようなワンサイドゲームに異を唱え、BMWのM社が動き出します。新しく開発する車両のエンジンとして、当初想定されていたのはBMW製V型12気筒4.5Lエンジンでしたが、大きくて重いこのエンジンは、エコロジーとは無縁であった為、オイルショックの影響を受け、葬り去られました。

あのシルキーシックスをリアミッドに搭載!

代わりに搭載されたのは、「BMW ENGINE KING」の異名をとる Paul Rosche氏が新開発したM-88 3,453cc直列6気筒DOHCエンジン。潤滑方式をドライサンプ式にすることで、エンジン搭載位置を大幅に下げ、重心位置を低くすることに成功しました。クランク軸と地上との距離はわずか18.5cm。

それまで主流であったキャブレターを廃し、機械式インジェクションを採用したり、動弁系にはタイミングチェーンを採用するなど、現代エンジンの主流となっている技術が採用されています。Mモデル伝統の6連スロットルや等長タコ足もここから始まりました。

仕様は3種類用意され、圧縮比9.0で277馬力/6,500rpmを発生する一般販売用のロード仕様、圧縮比11.5で470馬力/9,000rpmを発生するグループ4仕様、3,153ccにKKK製ターボを装着した850馬力/9,000rpmを発生するグループ5仕様が用意されました。

運動性能を高めるために、このエンジンをリアミッドに搭載し、MR駆動にすることになったのですが、それまで頑なにFRの哲学を貫いてきたBMWには、その経験がありませんでした。そこで、あのメーカーと手を組むことになります。

ランボルギーニと手を組んで正解!?BMW唯一のMR誕生!

MRの駆動方式は全く未経験であったBMWは、ミウラやカウンタックなどで名を上げていたランボルギーニに開発とシャシー関連の製造を委託。開発には、後にレーシングカーのシャシー製作会社を興したジャンパオロ・ダラーラ氏が担当しました。

シャシーは角型鋼管で形成されたマルケージ製セミスペースフレーム構造を採用し、全ての応力を強靭なフレームのみで受け止めるので、応力のかからない外板は全てFRP製で、ボルトオンと接着を併用して取り付けられています。

湾岸ミッドナイトに出てきたブラックバードの最終形態のような造りですね。サスペンションはダブルウィッシュボーンを採用し、直6エンジンを積んだことからホイールベースは2560mmと目標より長くなりました。ですが、現代のGTカーが2700mm超である事を考えると短く感じます。

開発は順調に進み、1977年夏には最初の試作車が走行。しかし生産段階に入ったランボルギーニの作業が遅延し、BMWは1978年4月に提携を解消し生産を急ぎました。この時、ランボルギーニは一時倒産してしまいます。

イタリアとドイツを跨いだ生産工程はとても効率の良いと言えるものではなく、月に3台生産するのがやっとでした。そのため、グループ4参戦条項である「連続する12ヶ月に400の生産」は守られませんでしたが、1980年に400台目が完成し、81年に特別免除でグループ4に参戦することができたのです。

日本でも走っていたM1 グループ5仕様

当時、日本でもシルエットフォーミュラが人気を博しており、グループ1~4の市販車にオーバーフェンダーを張り付けただけの身近な車が、サーキットをガンガン爆走する姿に憧れたはず。グループ5のエキゾチックなラインは特に魅力的でした。中でもスピードスターだったBMW M1が、鈴鹿の最終コーナーから立ち上がってくる時のエンジン音には、多くの人がシビれさせられたのではないでしょうか。

今となっては、超希少車

生産効率の悪さと、レースカテゴリー改正の為、M1によるモータースポーツ活動は短命でした。そのため、総生産台数は477台のみであり、中古市場に現れるとニュースになるほどです。最近のニュースになった個体は350馬力にモディファイされており、価格は約3227万円でした。

次期M1コンセプトモデル!

現在、BMWによって次期M1のコンセプトが公表されています。

「BMW M1 オマージュ」一体どんな車に仕上がるのでしょうか。BMWエンジニアによる紹介映像がありますのでご紹介します。

最後に

最後にその走りをご覧下さい。ベース車でも相当早く走っています。直6NAエンジンにMR駆動、1300kgの車重と軽量フレームボディに低重心でロー&ワイドなスタイルとガルウィング、ダブルウィッシュボーンの足回り。


今でも車好きを刺激する要素の塊のような車ですね。まさにBMWが造った理想の車と言えるでしょう。生でお目にしたい方は、栃木県にある魔方陣スーパーカーミュージアムでご覧になれます。
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