日産 新型セレナ(C28型)を試乗レビュー|穏やかでゆったりとした走り
更新日:2024.09.09
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日産の人気ミニバンであるセレナが、昨年11月にフルモデルチェンジしました。まずは、エンジン車から市場投入され、ハイブリッドの「e-POWER」は2023年春の発売となっています。今回は、エンジン車の「ハイウェイスターV」のFFを試乗してみました。どんな 車であったのかをレポートします。
文・鈴木 ケンイチ/写真・PBKK
文・鈴木 ケンイチ/写真・PBKK
新型セレナの視界の良さに好印象
新型セレナに乗り込んで、すぐに気づいたのが視界の広さです。
特に 車のウエストラインが低く、運転席横の窓が低いのに驚きました。窓を開ければ、座ったままドアに肘をかけることもできそうなほど。非常に開放感があります。
また、Aピラーが細く、ドアとの間の三角窓も大きいのも、斜め前の視界確保に貢献しています。そして、運転席からボンネットの先もしっかりと見えます。ボディがスクエアで車幅感覚がとりやすいこともあり、「取り回しやすい 車」という印象を得ました。運転しやすいというのも、ファミリーのための 車であるセレナにとって、重要な美点と言えるのではないでしょうか。
新型セレナの滑らかな加速と穏やかな挙動
試乗車は、最高出力110kW (150PS)・最大トルク200Nmの2リッター・エンジンを搭載するグレードです。トランスミッションはCVT。パワーの数値は、ハイブリッドの「e-POWER」グレードに若干劣ります。しかし、足りないわけではありません。逆に、加速が滑らか。速いわけではありませんが、扱いやすいパワートレインでした。
ちなみに、エンジンのパワーはアクセル操作に対して、若干鈍感にセッティングされています。スポーツカーであれば、レスポンスに物足りなさを感じることでしょう。しかし、ファミリーカーであるセレナでは、このゆったりとした反応が正解です。なぜなら、多少ラフにアクセル操作しても、 車がギクシャクすることはありません。 車の前後の揺れが少ないのです。
また、カーブを曲がるときのロールも抑えられています。つまり、 車全体の動きが穏やかそのもの。こうした動きの特徴は、助手席や後席の乗員にとっては嬉しいものとなります。
新型セレナの使い勝手の良さを実感
止まっている状態でセレナの室内をチェックしてみました。そこで気づくのは、使い勝手の良さに配慮した、細かな工夫の数々です。運転席と助手席の間にあるコンソールボックスが、1列目から2列目まで自由に動かすことができるのは、とても便利な機能です。
また、シートバックにあるテーブルや、2列目シートの窓にあるサンシェード、3列目に乗っている人が自分でスライドドアを電動開閉するためのスイッチ、ガラス面だけ開くバックドアなど、細かいけれど、実際のドライブでは嬉しい装備が数多く用意されています。
ちなみに、電制スイッチとなったシフトギヤは、使ってみると、それほど間違えそうにはなりません。 車を停めて、しっかりとスイッチを視認して、それから操作をする。逆に手順をかける分、間違いが減るかもしれません。
走らせてみれば、やっぱり新型セレナは、ファミリーのための 車でした。視界の良さは、運転手だけでなく、後席に乗る乗員の 車酔い防止にも役立ちます。また、滑らかな加速、穏やかな動きも、同乗者にとって好ましい振舞い。しっかりと、“ファミリーカー”という目的にあわせた走り味になっていました。次に登場するハイブリッドは、もっと静かで上質な世界を見せてくれることでしょう。個人的には、後輪もモーター駆動する4WDが追加されると、降雪エリアの人が喜ぶのではないでしょうか。追加を期待するばかりです。