唯一無二を極める“陸の王者” 5代目へと進化したレンジローバーをジャーナリストが徹底解説!

ジャガーランドローバー鈴鹿 レンジローバー試乗

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1970年に初代が誕生した「レンジローバー」は、高い悪路走破性を誇るクロカン四輪駆動車に初めて高級車並みの「快適な乗り心地」、「ラグジュアリーな室内空間」という付加価値をもたらした、現在のSUVの“元祖”というべきモデル。

5代目へと進化したレンジローバーを徹底解説する。

河西啓介|かわにし けいすけ

「NAVI CARS」「MOTO NAVI」「BICYCLE NAVI」などの編集長をつとめ、その後フリーランスの編集者、モータージャーナリストとして活動。自動車のハードウェア面だけでなく、衣・食・住を含めたライフスタイル商品として捉えるという視点を重視する。同時にアーティスト、タレントとしての活動も行っており、テレビ、ラジオ、イベントなどへの出演も多い。

河西啓介
Chapter
5代目に進化したレンジローバーは“多様性”を持つ
どこが変わった? 拘りのエクステリアデザイン
豪華というより“上質”なインテリア
大きさを感じさせない走りの俊敏さ

5代目に進化したレンジローバーは“多様性”を持つ

新型レンジローバーは、2012年に登場した先代モデルから骨格を一新して開発された。

その主な目的はプラグインハイブリッドやピュアEV(電気自動車)への対応。それを可能にするランドローバーの新世代プラットフォーム、「MLA-Flex」を初採用している。
搭載されるパワーユニットは4.4リッターV8ガソリンエンジン(530PS/750Nm)、3リッター直6ディーゼルエンジン・マイルドハイブリッド(300PS/650Nm)、3リッター直6ガソリンエンジン+プラグインハイブリッド(PHEV)という3種のパワーユニットが用意される。

このうちPHEVには510PS仕様と440PS仕様の2種類を用意。さらに2024年にはランドローバー初となるEVモデルも登場する予定だ。
ボディタイプはスタンダードホイールベース(SWB)とロングホイールベース(LWB)の2種類。

ボディサイズはSWBで全長5065mm✕全幅2005mm✕全高1870mmと、かなりの大きさだ。

LWBは全長が200mm長い5265mm、ホイールベースもSWBの2995mmに対しLWBは3195mmと長く、そのサイズを活かしてレンジローバー初の3列シート7人乗り仕様もラインナップする。

どこが変わった? 拘りのエクステリアデザイン

新型レンジローバーのデザインは基本的に先代からのキープコンセプト。

ボクシーなスタイリング、ブラックアウトされたピラーにより屋根が浮かんでいるように見える「フローティングルーフ」、フロントからリアに向けて上昇していくサイドのウィンドウグラフィックなど、パッと見では新旧を見間違えてしまいそうなほど、その外観はよく似ている。
しかしいざ実車を前にすると、不思議なことに先代との“違い”がはっきり感じられる。

その質感やディテールが大きく進化しているからだ。とくに顕著なのはボディ面のフラッシュサーフェス化。ボディパネルの合わせ目、ガラスとパネルの段差などが徹底的に詰められていて、そのためボディ全体がツルンとした滑らかな面で構成された “塊”のように見えるのだ。
ドアハンドルも普段は格納され、開けようと近づくと自動的にポップアップする「フラッシュドアハンドル」を採用。

ボディの凹凸を徹底的に排除することでデザイン性を高めると同時に空力特性も向上させている。

このエアロダイナミクス性能は最高速度250km/h、0−100km/h加速4.8秒という動力性能にも寄与している。

豪華というより“上質”なインテリア

インテリアもエクステリア同様、先代モデルのデザインを踏襲している。

ウッドとレザーで構成された水平基調のダッシュボード、スイッチ類を極力廃したシンプルな操作系統。

ミニマルなコンセプトを引き継ぎつつ、新型ではさらにそれを推し進めている印象。

豪華というよりは“上質”と言うべき内装は、機能性を前面に打ち出すドイツ系高級車のインテリアとは対象的だ。

先代からの明らかな変化は、丸いダイヤル式だったシフトセレクターがPCのマウスのようにつまんで操作するタイプに変わったこと。個人的には新型のほうが操作しやすく感じた。
レンジローバーの伝統と言える、運転席からボンネットの先まで見渡せる「コマンドポジション」はもちろん、しっかりと受け継がれている。

上質な革がふんだんに使われた分厚いレザーシートのかけ心地は抜群で、室内の居心地のよさという点では、ライバルたるラグジュアリーSUVと比べてもアタマひとつ抜けたアドバンテージがあると感じられた。

またキャビンに伝わるノイズをリアルタイムでモニターしながら、13個のスピーカーから逆位相の音を出してノイズを打ち消すという「アクティブノイズキャンセリング」も新機軸だ。その効果も相まってか室内の静粛性の高さは圧倒的だ。

大きさを感じさせない走りの俊敏さ

初代から受け継がれるレンジローバーの美点は、オフロードでは本格クロカン四駆としての高い走破性を発揮しながら、オンロードでは高級セダンのような走りや乗り心地を実現していること。もちろん新型はそれを最高の次元まで磨き上げている。

舗装路、悪路、泥濘、雪などさまざまな路面状況に応じてモードを選ぶことで、エンジン、トランスミッション、サスペンション、駆動力などを最適化してくれる「テレインレスポンス2」はすでにランドローバー車ではお馴染みの機構。

加えて新型では最大7.3度まで後輪を操舵する「オールホイールステアリング」が備わるため、大きな車体から想像するよりずっとハンドリングは軽快で、市街地などでの取り回しもいいはずだ。
今回試乗したのは3リッター直6ディーゼルエンジン・マイルドハイブリッド(300PS/650Nm)を積むモデルだったが、いざ走らせるとディーゼル特有の太いトルクで2.6tのボディーを軽々と走らせた。最大毎秒500回挙動をモニターする連続可変ダンパーとエアサスが生む乗り心地はまさに優雅というべきものだった。

新型レンジローバーの価格は1687万円〜となっているが、オプション装備など含めれば、実際に購入するさいは2000万円近いプライスになるだろう。

それでもこの圧倒的な性能と唯一無二のキャラクターは世界中から引く手あまたで、すでに4.4リッターV8ガソリンモデルについては早々に3年分の生産予定を受注してしまい、現在オーダーできない状態となっている。

新型レンジローバー唯一の泣きどころとは、その人気ゆえの「手に入り難さ」と言えるかもしれない。
今回ご紹介した車両は「ジャガーランドローバー鈴鹿」で取材、撮影させていただいたもの。

車両の詳細はYouTubeチャンネル「CARPRIME」「コレデチャンネル」でも解説しているので、動画もぜひご覧いただきたい。
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