刺激的な加速感と懐の広さが同居した日産 フェアレディZの試乗レポート!【プロ徹底解説】

フェアレディZ

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2022年から日産の誇るスポーツカーであるフェアレディZの販売が開始されました。その走りは、どのようなものなのでしょうか。ATモデルを借り出して、試乗してみたので、その印象をレポートします。

文・鈴木 ケンイチ/写真・PBKK

鈴木 ケンイチ

モータージャーナリスト。新車紹介から人物取材、メカニカルなレポートまで幅広く対応。最近は新技術や環境関係に注目。年間3~4回の海外モーターショー取材を実施。レース経験あり。毎月1回のSA/PAの食べ歩き取材を10年ほど継続中。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 自動車技術会会員 環境社会検定試験(ECO検定)

鈴木 ケンイチ
Chapter
街中で注目を集めるルックス
スポーツカーらしいストイックなインテリア
ゆったりと走れば紳士的
滑らかな変速と刺激的なV6のビート

街中で注目を集めるルックス

フェアレディZの試乗で、最初に報告すべきは、その注目度の高さでしょう。試乗車のボディカラーがイエローであったこともあり、街中でも高速道路でも、チラチラと他者からの視線を感じます。
個人的な考えでも、新型フェアレディZのルックスには強く心惹かれます。なぜなら、過去に憧れていたフェアレディZが、現代に蘇ったような思いを抱かせるからです。新しいフェアレディZは、過去のモデルを彷彿させるようなデザインを採用しています。
日本では珍しい手法ですが、海外ではBMWのニュー・ミニやフィアットの500など、古い名車をモチーフにモダンなデザインに仕立て直した車が存在します。新しいフェアレディZも同様の手法であり、その狙いは相当に成功を収めていると思います。古いフェアレディZ好きであれば、新型モデルのデザインを肯定的にとらえる人は、相当に多いのではないでしょうか。

スポーツカーらしいストイックなインテリア

試乗車は上位グレードのversion STでインテリアはブラックでした。本革とスエード調ファブリックのコンビのシートやステッチの入った内装など、上質感はありますが、華美というわけではありません。伝統の3連メーターがセンターコンソールの一番上の目立つところにあり、スポーツカーらしいストイックさを感じとることができます。
メーターがフルデジタルになっていて、センターディスプレイもタッチ式になっているように、最新のモダンな部分もありますが、全体としてはトラディショナルさの印象が勝ります。

ゆったりと走れば紳士的

外から見ればフェアレディZは、スポーツカーそのものです。しかし、ゆったりと街中の流れに乗って走る限りは、乱暴さはどこにも感じることはありません。エンジン音やタイヤのノイズは遠く、室内は静かで、乗員同士の会話もクリアに耳に届きます。また、19インチという大きなホイールに、後輪で扁平率35という薄いタイヤを履いていますが、路面の凹凸を越えるときのショックは、上手に緩和されています。不快な突き上げ感は、非常に小さなものとなっていました。
また、ステアリングの応答は、センターの微小舵が少し緩めです。そのため車がどっしりとして、直進性も良好。おおらかな動きで、高速道路の移動でも疲れにくいハンドリングと言えるでしょう。静かで乗り心地も悪くなく、移動の足としても優秀です。

滑らかな変速と刺激的なV6のビート

トランスミッションは9速AT。今どきの多段化ATであり、その変速は滑らかそのもの。ただし、アクセルを深く踏み込めば、エンジン音はとたんに大きくなり、V6らしい粒の揃ったビートを奏でます。
もちろん、加速の鋭さも、さすが最高出力298kW(405馬力)という最高級レベル。低回転域から、しっかりとトルクが出て、高回転まで一定に続くというのは、今どきの最新エンジンらしい特性です。とんでもなくパワフルですが、扱いやすいというのも、さすが最新モデルという美点です。
日産が誇るスポーツカーであるフェアレディZ。最高出力が298kW(405PS)もの、強烈なエンジンを搭載していますが、乗ってみれば、扱いの難しい車ではありませんでした。また、街中での移動という日常的な使い方で、不便や苦痛を強いることもありません。刺激的なパワーと快適な日常を両立させることを可能とするスポーツカーです。この懐の深さも、長年、多くのファンを獲得できた理由の一つに違いありません。
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