レクサスNXとライバル比較!マツダCX-60と比べてみると...?【プロ徹底解説】

NX

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レクサス初のコンパクトSUVとして2014年に初代が誕生したNX。2021年秋にはフルモデルチェンジを実施。PHEV(プラグインハイブリッド)をはじめ、ハイブリッドやターボ・エンジンなど多彩なパワートレインを擁するのが特徴です。そこで、同じように多彩なパワートレインを用意するマツダのCX-60をライバルとして、2台の違いなどを比較してみました。

文・鈴木 ケンイチ/写真・PBKK

鈴木 ケンイチ

モータージャーナリスト。新車紹介から人物取材、メカニカルなレポートまで幅広く対応。最近は新技術や環境関係に注目。年間3~4回の海外モーターショー取材を実施。レース経験あり。毎月1回のSA/PAの食べ歩き取材を10年ほど継続中。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 自動車技術会会員 環境社会検定試験(ECO検定)

鈴木 ケンイチ
Chapter
ミッドサイズSUVは世界的な人気のジャンル
多彩なパワートレインを用意する両車
両者のパワートレインのスペックを比較してみる
駆動方式によるプロポーションの違い
価格帯の違い

ミッドサイズSUVは世界的な人気のジャンル

NXは、「レクサス初のコンパクトSUV」としてデビューしていますが、その寸法は全長が約4.7mもあり、日本車としては、コンパクトというよりもミッドサイズと言った方が実感に近いでしょう。また、レクサスはNXの後に、もう少し小さいUXをデビューさせていますから、やはりNXはミッドサイズSUVという方がしっくりきます。

そして、全長が4.7m前後のミッドサイズのSUVは日本だけでなく、世界中で人気となっているジャンルで、世界中の自動車メーカーがさまざまなモデルをリリースしています。たとえばトヨタでいえば、RAV4やハリアーが同クラスとなります。
とはいえNXはレクサスというプレミアム・ブランドのため、その価格は455~738万円。同価格帯と考えるとライバルはぐっと少数になります。特にPHEV(プラグインハイブリッド)とエンジン車の両方を用意するという意味で、マツダのCX-60をライバルと考えるのがよいのではないでしょうか。

多彩なパワートレインを用意する両車

新型NXの特徴は、多彩なパワートレインを持っていることです。2.5リッター・エンジンと組み合わせたPHEV(プラグインハイブリッド)に、やはり2.5リッター・エンジンのハイブリッド、そして2.4リッターのターボ・エンジン、最後に2.5リッターのエンジンという4種類のパワートレインを用意します。

同じようにCX-60も、2.5リッター・エンジンと組み合わせたPHEV(プラグインハイブリッド)に、3.3リッター・ディーゼル・エンジンを使うハイブリッド、3.3リッターのディーゼル・エンジン、そして2.5リッターのエンジンを用意します。
2台ともPHEV(プラグインハイブリッド)は2.5リッターという同排気量であり、エントリー側も同じ2.5リッターの自然吸気のガソリン・エンジンを搭載しています。ただし、ハイブリッドに関しては、NXはガソリン・エンジン、CX-60はディーゼル・エンジンとの組み合わせとなります。また、高性能エンジンに関しては、NXは2.4リッターのガソリン・ターボ・エンジンで、CX-60は3.3リッターのディーゼル・ターボ・エンジンという違いがあります。

両者のパワートレインのスペックを比較してみる

PHEV(プラグインハイブリッド)の比較

NXとCX-60のパワートレインのスペックを比較してみましょう。

まず、PHEVで言えば、「NX450h+」は最高出力136kW(185PS)の2.5リッターのエンジンに、フロント134kW(182PS)、リヤ40kW(54PS)のモーター、18.1kWhのリチウムイオン電池を組み合わせ、システム最高出力227kW(309PS)を発揮させます。満充電状態でのEV走行距離は88㎞(WLTCモード)。ハイブリッドモードでの燃費性能は19.8km/l(WLTCモード)となっています。

一方、CX-60のPHEV(プラグインハイブリッド)である「CX-60 PHEV」は最高出力138kW(188馬力)の2.5リッターのエンジンに、フロント129kW(175PS)のモーター、17.8kWhのリチウムイオン電池を組み合わせます。満充電状態でのEV走行距離は75㎞(WlTCモード)。ハイブリッドモードでの燃費性能は14.6km/l(WLTCモード)となっています。
ちなみにシステム最高出力というのは、エンジンと複数のモーターを同時に稼働させて、システム全体で生み出せる最高出力となります。エンジンとモーターでは、最高出力が出る回転数が異なる上、モーターに電力を供給するバッテリーの性能も関係するため、単純なエンジン+モーターの馬力とはなりません。CX-60のシステム最高出力は公開されていませんが、エンジンやフロントモーター、バッテリーのスペックを見る限り、NXと同じように300馬力クラスを望めるのではないでしょうか。

ただし、満充電からのEV走行での航続距離と、充電電力を使い切った後の燃費の両方では、NXの方が勝っています。

システム的には、前と後ろの2つのモーターで4WDとするNXに対して、CX-60の4WDはプロペラシャフトを使うエンジン車と同じという部分も2台の違いとなります。4WD用のプロペラシャフトを有するという点が、CX-60の燃費性能にネガティブに表れているのかもしれません。

ハイブリッドの比較

ハイブリッドを比較すると、どのような違いがあるのでしょうか。

NXのハイブリッドである「NX350h」は、PHEV(プラグインハイブリッド)と同じように、2.5リッターのガソリン・エンジンと前後の2つのモーターを組み合わせます。エンジンの最高出力は140kW(190PS)に、フロントモーターが134kW(182PS)、リヤモーターが40kW(54PS)。システム最高出力が179kW(243PS)。燃費性能は22.2km/l(WLTCモード)となります。

一方、CX-60のハイブリッド「CX-60 XD-HYBRID」は、3.3リッター直列6気筒ディーゼル・ターボ・エンジンに小さなモーターと電池を組み合わせる、48Vマイルドハイブリッドとなります。エンジンの最高出力は187kW(254PS)でモーターは12kW(16.3PS)。燃費性能は21.2km/l(WLTCモード)となります。
NXは、強力なモーターを備えており、モーター駆動のみのEV走行モードがあります。一方、CX-60のモーターは非常に小さく、あくまでもアシスト行うという存在。そのため、いかにもハイブリッド然とした走りを見せるNXに対して、CX-60は“ほぼエンジン車”と呼んでいい走り味になります。また、CX-60は直列6気筒のディーゼル・エンジンということで、エンジンのフィーリングが非常によいのも特徴です。最大トルクもエンジンだけで550Nmもあるのです。また、燃料は軽油で安いというメリットもあります。NXとCX-60の燃費性能は数字上同等ですが、ランニングコストという面では、CX-60が圧倒します。

電動走行フィーリングが欲しいならNX、エンジンを楽しみたい&ランニングコストを重視したいという人はCX-60がおすすめでしょう。

エンジン車同士で比較すると

最後にエンジン車同士の比較です。

NXは2.4リッターのターボ・エンジンと2.5リッターの自然吸気エンジン仕様が用意されています。2.4リッターのターボの「NX350」は、最高出力205kW(279PS)・最大トルク430Nmで、燃費性能は12.2km/l(WLTCモード)。2.5リッターの「NX250」は、最高出力148kW(201PS)・最大トルク241Nmで燃費性能はFFで最高14.4㎞/l(WLTCモード)、4WDで最高13.9㎞/l(WLTCモード)となります。

CX-60は3.3リッターの直列6気筒ディーゼル・エンジンと2.5リッターの自然吸気エンジンの2つ。3.3リッターのディーゼルである「CX-60 XD」は、最高出力170kW(231PS)・最大トルク500Nm、燃費性能が2WDで最高19.8km/l、4WDで最高18.5km/l(WLTCモード)。2.5リッターのターボ「CX-60 S」は138kW(188PS)・最大トルク250Nmに燃費性能が2WDで最高14.2km/l(WLTCモード)、4WDで最高13.1㎞/l(WLTCモード)となります。

NXの2.4リッター・ターボは、最高出力でCX-60の3.3リッター・ディーゼルを上回りますが、トルクと燃費では負けています。一方、2.5リッターではNXがパワーも燃費も勝っています。

駆動方式によるプロポーションの違い

NXとCX-60は、同じように多彩なパワートレインを誇りますが、根本的な違いも存在します。それがエンジンレイアウトです。NXはエンジンを横置きするFFプラットフォームを基本とするのに対し、CX-60はエンジンを縦置きするFRプラットフォームを採用します。そのため2WDになると、NXは前輪駆動のFFになりますが、CX-60は後輪駆動のFRとなるのです。

そうした駆動方式の違いは、2台のプロポーションにも表れています。簡単に言えばNXよりもCX-60の方が、ボンネット部分が長いのです。そのためNXは、ボディとキャビンが一体化したようなプロポーションになりますが、CX-60はボディの後ろ側にキャビンが乗っているような恰好となります。これが2台のデザイン、見た目の印象の違いの源泉となっているのです。

価格帯の違い

最後にNXとCX-60の価格を比較してみましょう。

NXのPHEV(プラグインハイブリッド)となる「NX450h+」の価格は、714~738万円です。一方、「CX-60 PHEV」の価格は、539~626万4500円です。

ハイブリッドで比較すると、「NX350h」は520~635万円。「CX-60 XD-HYBRID」は505万4500~547万2500円。

エンジン車で比較すると、「NX350」は599万円に対して、「CX-60 XD」は323万9500~465万8500円。「NX250」は、455~570万円。「CX-60 S」は299万2000~407万円。
同じようなサイズで、同じようにPHEV(プラグインハイブリッド)からエンジン車までを幅広く用意するNXとCX-60。ただし、基本となるプラットフォームはFFとFRのように異なります。それでも、同じような排気量のパワートレインでの性能に、あまり差が出ていないのというのは面白いものではないでしょうか。
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