4WDの日産 キックスを試乗レビュー!良い点や欠点を紹介【プロ徹底解説】

日産 キックス

各メーカーが意欲作を導入して、激戦の国産コンパクトSUV市場。

元々、日産ジュークがパイオニアといえるカテゴリーですが、現行型のキックスにあまり熱量は感じられませんでした。

しかし、一部改良によって搭載するモーターの変更。そして4WDの追加によって勢力図は一変するかもしれません。

それほど高い実力をもつキックスX FOUR インテリアエディションに試乗することができました。

文・写真/萩原 文博

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良い点
改善して欲しい点

良い点

今回、試乗したのは一部改良後のモデルで、グレードは追加された4WD車の X FOURツートーンインテリアエディション。車両本体価格は317万1300円です。今回の試乗はテストコースで行いました。

一部改良前のキックスにも何度も試乗していますが、改良後のキックスに試乗してすぐに感じるのは、静粛性の高さと振動の少なさです。これは搭載するe-POWERが変更された効果です。一部改良前のキックスは先代ノートに搭載されていた第1世代のe-POWERが搭載されていました。

搭載している発電用のエンジンは一部改良後と同じですが、モーターは最高出力95ps、最大トルク260Nmを発生するE57型でした。しかし、一部改良後のキックスのフロントに搭載されるモーターは最高出力136ps、最大トルク280Nmを発生するE47型に変更されています。

最高出力で約5%、最大トルクは約7%向上させたノートオーラなどと同じ第2世代e-POWERを搭載することによって、より電動車らしい滑らかな発進加速そして高速などでの追い越しもスムーズに行えるパワフルな走りを実現しています。

モーターの出力向上に合わせて、低速走行時のエンジンの掛かる頻度を低減させたことによって静粛性が向上。そしてエンジン始動に伴う振動が減り、エネルギーフローメーターを見ていないといつエンジンが掛かったのかわからないくらいに仕上がっています。

また、アクセル操作だけで加減速をコントロールできるe-Pedal Stepの操作性がさらになめらかに進化し、これまでの電動車らしい急激な減速ではなく、これまで乗っていたガソリンエンジン車のような穏やかなフィーリングへと変更。これにより、乗り換えた際の違和感は感じなくなっています。

キックスは元々プロパイロットを全グレードで標準装備するなど国産コンパクトSUVの中で運転支援システムは充実していました。

今回の一部改良で、車両前方に搭載したミリ波レーダーによって、2 台前を走る車両の車間や相対速度を検知し、危険と判断した場合には、表示とアラームで注意を促し、衝突などの危険な場面の回避をサポートするインテリジェントFCW(前方衝突予測警報)を全車に標準装備し、さらに安全性を向上させています。

また良いポイントとして挙げられるのが4WD車の追加です。ノートやノートオーラでも採用されているe-POWER 4WDを採用。リアに最高出力68ps、最大トルク100Nmを発生する高出力モーターを搭載することで、オン・オフ問わない高い走行性能を実現しています。

車両重量は2WD車に対して120kg増の1,480kgとなりますが、この重量増を感じさせない軽快なハンドリングと走りが特徴です。リアに高出力モーターを搭載することで、コーナリング時などでも前後の駆動力配分を最適化することが可能で、思ったとおりのラインを走行することが可能です。

前後、左右の揺れも少なく、クルマの傾きも非常に抑えられているので、ドライバーは楽しく、そのほかの乗員は安心して移動することができるのはキックスの特徴と言えるでしょう。

改善して欲しい点

4WD車が追加されたことで、商品力が強化されたことは間違いありません。搭載するe-POWERも第2世代となったことで走行性能をはじめ静粛性も向上しています。こういった点において改善して欲しい点はありません。

今回の一部改良で、センターコンソールとシフトレバーのデザインを一新しています。リリースには「先進的で質の高い内装を実現しました」と書かれていますが、メーターパネルは改良前と同じ速度計はアナログメーターを採用しています。

ドライバーが必要とする情報を表示し、視認性の高さも納得できるのですが、先進性という言葉を使うのであれば、ノートなどと同じようにメーターパネルはすべてカラーディスプレイに変更してもらいたかったです。

そして、リアシートを倒す際にはショルダー部に設置されたレバーを引っ張るのですが、他社と同じようにラゲッジルームにレバーを設置するなどもう少し工夫が欲しいところです。

これまでのキックスは、SUVにもかかわらず2WD車しかないため、選択肢の一つに上がりにくかったです。

しかし今回4WD車が加わったことで、激戦の国産コンパクトSUVでの注目度は上がることでしょう。変更されたe-POWERそして2つのモーターによるe-POWER 4WDによる安定感抜群のキックスの実力はライバルを凌駕する実力をもっていると言えるでしょう。

萩原 文博|はぎはら ふみひろ

1970年生まれ。10代後半で走り屋デビューし、大学在学中に中古車情報誌の編集部にアルバイトとして加入。1995年より編集部員として編集作業に本格的に携わる。中古車の流通、販売店に精通し、「中古車相場師」として活動。2006年からフリーランスの編集者となり、中古車だけでなく、現在は日本で最も多くの広報車両を借り出して取材を行い、新車でもユーザー視点のバイヤーズガイドを中心に、人気車種の動向や流行りの装備の価値評価などを加味した、総合的に買いのクルマ・グレードの紹介をモットーとしている。

萩原 文博