なぜ車のタコメーターは「タコ」というの?

タコメーター

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エンジンの回転数を表示するタコメーター。スポーツカーには必要不可欠なタコメーターですが、そもそも「タコ」とはなにを指しているのでしょうか?

吉田 恒道|よしだ つねみち

1980年代、大学卒業後ファッション・モード専門誌「WWD Japan」編集部勤務を皮切りに編集者としてのキャリアを積む。その後、90年〜2000年代、中堅出版社ダイヤモンド社の自動車専門誌・副編集長に就く。以降、男性ライフスタイル誌「Straight’」(扶桑社)など複数の男性誌編集長を歴任し独立、フリーランスのエディターに、現職。著書に「シングルモルトの愉しみ方」(学習研究社)がある。

吉田 恒道
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タコメーターの「タコ」は、8本足の生き物ではない!?

タコメーターの「タコ」は、8本足の生き物ではない!?

タコメーターは、エンジンの回転数を表示することで、変速のタイミングやエンジンへの負荷を把握することがおもな役割です。AT車が多くなった昨今では、そもそもタコメーターを搭載していないモデルも増えていますが、スポーツカーなどでは依然として必須の装備となっています。

しかし、意外と知られていないのが「タコメーター」の「タコ」の意味です。日本語で「タコ」と言えば、まず思い浮かぶのが8本足の生き物(蛸)ですが、「蛸メーター」というのは少々不可解です。

結論から言えば、タコメーターの「タコ」とは、古代ギリシア語で「速度」を意味する「タコス」に由来しているようです。それが、英語に転じた際に「タコ」へと変化したというのが有力な説と言われています。

ただ、「速度」を表す英単語としては「スピード」がよく知られています。実際に、現代では「速度」を表す際にはまず間違いなく「スピード」が用いられています。

実は「スピード」というのは比較的新しい語で、「速度」の意味で使用されるようになったのは19世紀後半になってからのことのようです。
一方、「タコ」は19世紀前半には鉄道の速度を表す学術用語としてすでに使用されていたようです。ただ、いまでは一般教養の範囲とも言える速度や距離、時間の計算ですが、当時はあくまで専門的なものであり、一部の研究者によって行われるものでした。

学術用語には、古代ギリシア語が用いられるという慣習があったことから、「速度」に関しても「タコス」という古代ギリシア語が採用されたと考えられています。

当時のタコメーターは、現代で言うところのスピードメーターだったようです。しかし、その後、「速度」という概念が一般にも広がり、「スピード」という語のほうがひろく使用されるようになった結果、速度を表すものはスピードメーターと呼ぶようになりましたが、エンジンの回転数を表すものには、今でも「タコ」という言葉が使用されています。
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