メルセデス・ベンツ 初代GLBクラス(5BA-247647M型)の乗り心地を各シートごとに解説

メルセデス・ベンツ GLBクラスは、2019年に欧米市場に投入され、翌年日本にやってきたメルセデス・ベンツの9台目となるSUVです。

発売から1年余りしかたっていませんがその人気は高いです。

高級SUVという分類にあたり、新車価格も最低でも500万円以上と高額ですが、機能性や使い勝手は十分に高いものがあります。

背景には、メルセデス・ベンツの最上位クラスのクルマであるSクラスが関係しています。

GLBクラス発売の少し前にフルモデルチェンジされたSクラスが市場に登場し、人気を博しました。

Sクラスにはメルセデス・ベンツが持つ技術を惜しげもなく使用しており、高い性能を有しています。

特に安全性能であるレーダーセーフティパッケージは、メルセデス・ベンツ史上最高の技術とも言われており、その機能は折り紙付きです。

GLBクラスはそのSクラスと同等の安全性能を有しており、非常に高い安全性を保障しています。

SUVに各社の最高ランクの安全性能が追加されることは稀で、さらに全車標準搭載となれば例がありません。GLBクラスは一切の妥協なく作られた新たなSUVと言えるでしょう。

7シーターというのも特筆すべき点です。全長4,650mm×全幅1,845mm×全高1,700mmという大きさはSUVの中では5シーターのスタンダードな大きさです。

プラットフォームをGLAクラスと共有している関係もあって大きさは一般的なサイズですが、ホイールベースをGLAクラスよりも長くすることで7シーターの配置に成功しました。

形状的にはミニバンのような形になり、荷室を有効活用するにもシートアレンジが必須になってしまいました。

しかし、常時7人が乗車でき、大きすぎないボディサイズが好評を博し、発売当初から高い人気を誇っているのです。

GLBクラスの乗り心地は全体的に見て非常に快適です。

さすがSクラスをベースに装備関係が組まれているだけのことはあります。

フロントシート(前席)はドアが開くと自動で後退し、乗り降りをサポートしてくれます。

GLBクラスのフロントシートは電動であり、シート位置やミラーの位置を含めて3パターンの記憶ができるようになっているのです。

家族共用の車の場合、運転手が変わるたびにシートを動かす必要もありません。

シートにはシートヒーターもついており、寒い時期でも快適に過ごすことができます。

足回りの空間は広くとられており、居心地のいい空間が出来上がっています。

センターコンソールボックスは大きなひじ掛け状のフタがついており、助手席側からも運転席側からも腕を乗せて休むことができるようになっているのです。

ドリンクホルダーも中央に配置されているため、座ったままの姿勢で飲み物を取ることができます。このドリンクホルダーはボトルタイプのガムを入れたりペンを立てたりすることも可能で、さまざまな使い方ができるように設計されているのです。

スマートフォンの充電は、1台がワイヤレス充電に対応していれば、付属のUSB接続タップを使って2台一気の充電もできます。

大型の液晶ディスプレイのナビは助手席からも操作しやすいよう配置され、タッチで操作できるため、各種アプリへのアクセスも簡単です。

エアコンも運転席側と助手席側で独立しているため、それぞれ異なった温度・風量の調整ができます。

居心地のいい空間に仕上がったフロントシートは、メルセデス・ベンツらしい装備であふれています。

GLBクラスの2列目シートの乗り心地も、フロントシートに負けず劣らず快適な仕上がりになっています。

シートは40:20:40の独立可倒式シートを採用しており、それぞれが独立してスライドするため自分に適した位置で座ることができます。

リクライニング機構も8段階から調整可能で、長時間のドライブでも疲れにくい構造になっているのです。

本来は3人掛けのシートですが中央のシートにはアームレストが格納されているため、2列目の乗車人数が2人の場合はアームレストを出して使用するといいでしょう。

足回りが非常に広く、最大140mmスライドする機構をフルに使えば、約250mmの足元空間が出現します。

3列目に誰も乗っていないことが前提になりますが、250mmもあれば足を伸ばしたり組み替えたりすることもできます。いかに大きなSUVであっても足元空間が250mmもあるクルマは珍しく、いかに広いかがよくわかるでしょう。周辺の収納機能を使えば快適なドライブを楽しむことができます。

エアコンの吹き出し口がついており、2列目シートでも室内温度を快適に保つことができます。

Sクラスにも搭載された音声認識システム「MBUX(メルセデス・ベンツ・ユーザー・エクスペリエンス)」でも操作が可能で、マイクに声をかければAIが自動で声の主を判断し、その位置に指示されたアクションを起こしてくれます。

エアコン操作もコントロール可能で、快適な室内空間を座りながらにして作り出すことができるのです。

GLBクラス最大の目玉である3列目シートの乗り心地は、フロントシート・2列目シートと比較するとそれほど高くありません。

シートの質感はまったく同じで高級感もあり、座りやすい高さに設定されています。

しかし、3列目シートが補助席的な立ち位置でもあるため、周辺の機能性は必要最低限に収まっているのです。

それでも普通のミニバンよりは乗り心地が良くなっているのが特徴です。

シートにリクライニング機構やスライド機構はありませんが、ヘッドレストの位置が調整できるため、快適な位置で頭を任せることができます。

シートベルトの位置も調整ができるので、小さな子どもや大人でも問題なく座ることができるでしょう。

構造上の問題で身長168cm以下の人しか乗らないようにメーカー側で忠告していますが、これは天井が2列目シートよりやや低いこと、すぐ後ろがリアゲートであることなど、安全上の問題でこのようになっています。大人7人でのドライブなどの時には要注意です。

周辺の装備はドリンクホルダーとポケットがそれぞれひとつずつ配置されており、くつろごうと思えばくつろげる空間ではあります。

ただ、やはり機能は必要最低限であり、かつ足回りの広さが2列目シートのスライド位置に大きく左右されるため、人によっては窮屈さを感じる人もいるでしょう。

できれば小柄な人や子どもがメインで座る席として活用したほうがいいです。もし普段から3列目シートを使わないのであれば、たたんでしまって荷室として使っておくのもありです。

GLBクラスは非常に乗り心地がいいクルマであることはわかりました。

しかし、快適なだけがメルセデス・ベンツの求めたことではありません。

高い安全性能でドライバーや同乗者を守ることを第一優先に考えているからこそ、Sクラスと同等の安全性能を有しているのです。

全車標準搭載された予防安全技術「レーダーセーフティパッケージ」がそれです。

周辺の道路状況に応じて自動で加速・減速を行い、かつステアリングアシストもしてくれるアクティブディスタンスアシスト・ディトロニック&アクティブステアリングアシストからはじまり、さまざまな装備を有しています。

ドアの開閉時にクルマや人、バイクが近づいてきていると警告音が鳴るアクティブブラインドスポットアシストや、ウインカー点滅と同時に周囲を確認して自動で車線変更をするアクティブレーンチェンジングアシストなどが該当します。

これらの機能はフルモデルチェンジされたSクラスに搭載されていたもので、GLBクラスは全車標準搭載となっているのです。

このほか、バック時にナビがクルマを上空から見た映像を映し出してサポートする360度ビューカメラや、荷物が山積みでも後方が確認できるデジタルルームミラーなどが搭載されており、安全性能の高さをうかがい知ることができます。

すべて標準装備であるため追加費用をかけることなく、高い安全性能を手にすることができます。

ただし、ドライブレコーダーに関してはオプション扱いなので注意が必要です。

メルセデス・ベンツ GLBクラスの乗り心地を、フロントシート、2列目シート、3列目シートに分けて紹介しました。

高いレベルで仕上がっているのは安全性能や見た目だけではなく、乗り心地に関する部分も同じです。

3列目シートは特性上仕方のない側面もありますが、7シーターの魅力は何者にも代えがたいものがあります。

高級SUVであるGLBクラスの歴史はまだ始まったばかりです。

今後の進化や仕様変更にも注目です。

※2021年7月現在