トヨタの「GR」シリーズってそもそも何?「GRMN」「GRスポーツ」との違いは?

トヨタ GRシリーズ

トヨタが展開するスポーツカーであるGR 86やGRスープラ、GRヤリスなどが冠する「GR」というブランド

実は他にも、同じ「GR」を名前に含む「GRMN」や「GRスポーツ」というシリーズも存在するのです。

GR」「GRMN」「GRスポーツ」それぞれの意味の違いとは何なのでしょうか?

Chapter
市販車の頂点を目指した「GRMN」
誰でも運転できる本格スポーツの「GR」
最も手軽な「GRスポーツ」

市販車の頂点を目指した「GRMN」

「GRMN」は、走りの味を追求した究極のスポーツモデルを謳う、トヨタにおけるGRファミリーの頂点に立つブランドです。

これまでに販売されたのは、マークX GRMN(2015年モデル)・マークX GRMN・86 GRMN・ヴィッツ GRMN・ヴィッツ  GRMN ターボ・iQ GRMN・iQ GRMN スーパーチャージャーの7モデルとなっており、全てが台数限定。どのモデルも、瞬く間に完売してしまうほどの人気を誇っているのです。

ちなみに、名称となっている「GRMN」はGazoo Racingの“GR”と、2000GTやセリカ、AE86といった数々の名車開発に携わってきたスポーツカー開発の父、マイスターオブニュルブルクリンクの異名を取った、故成瀬弘氏から“MN”を取って「GRMN」としています。

「GRMN」を冠したクルマ達は、ベースモデルと比較すると全くの別物といえるまでにチューンナップが施されています。

例えば、2013年に発売されたヴィッツ GRMN ターボは、直列4気筒のエンジンにターボチャージャーを追加

ベースモデルよりも出力を43psも引き上げた最高出力152psを誇り、最大トルクも206Nmに。

制動力を高めるためフロントには対向4ピストンキャリパーを装着し、専用のBBS社製17インチアルミホイールを装備しています。

希少性・価格・性能全てがプレミアムなGRMNは、中古車市場でも未だ高騰が続いており、入手困難な憧れのブランドとなっているのです。

誰でも運転できる本格スポーツの「GR」

「GR」は、GRブランドの中でGRNMに次ぐヒエラルキーが与えられているブランドです。

「GRMN」ほどではないものの、ボディ剛性の向上やサスペンションのチューニングなど、細部にまで手が加えられているのが特徴です。

トヨタは「GR」のことを「操る喜びを日常的に実感できる本格スポーツ」としており、「GRMN」のモデルが台数限定でしか販売されないのに対し、GRはカタログモデルとしていつでも誰でも購入できるようになっています。

2021年7月現在、GRモデルとして販売されているのは、GRヤリス・GRスープラの2モデル。

また、2021年4月にワールドプレミアされ、今秋の販売を待つばかりとなっているGR 86がすでにアナウンスされています

GRブランド専用のファンクショナルマトリクスグリルを装備したフロントフェイスは、精悍そのもの。2.4Lにボアアップした水平対向4気筒エンジンは、86に更なる動力性能を与えました。

その姿はトヨタのGRラインナップにて確認することができるので、気になる方はチェックしてみるのも良いでしょう。

最も手軽な「GRスポーツ」

「GRスポーツ」は、2017年に登場した「GR」の下に位置するブランドです。

2010年より拡大していたG’sを前身としており、専用エアロの装着やボディ・シャシーの強化によってベースモデルとの違いを明確にしています

トヨタはこの「GRスポーツ」を”ライフスタイルに合わせて走りを楽しむエントリースポーツモデル”としており、ラインナップもC-HR・コペン・プリウスPHV・アクア・ノア・ヴォクシーとバリエーション豊か。

単なるスポーツ志向だけのブランドではないことがわかります。

また、「GRブランド」では最も下位に位置するとはいえ、ベースグレードとは比較にならないほど手が加えられています

ボディ剛性のアップやシャシーの強化は「GRMN」や「GR」ほど本格的ではないものの、特にボディが大型であるノアやヴォクシーにおいては最も顕著に恩恵を感じられる部分なのです。向上したスタビリティはミニバンであることを忘れさせてくれるほどで、人気モデルとなっています。

さらに、「GRMN」は本体価格がベースの倍ほどにもなるのに比べ、「GRスポーツ」はおよそ20、30万円ほどの上乗せで購入できる点もポイント。

価格と性能のバランスが良く、コストパフォーマンスも高いシリーズといえます。

「GRMN」「GR」「GRスポーツ」は、それぞれに異なるコンセプトが与えられたトヨタが誇るスポーツブランドです。

「GRMN」は台数限定のため、一度販売期間を逃すとなかなか入手できませんが、「GR」と「GRスポーツ」は誰でもGazoo Racingの走りを楽しむことができます。

一度は、Gazoo Racingが謳う「走りの楽しさ」を味わってみるのも良いかもしれません。

※2021年7月現在

吉田 恒道|よしだ つねみち

1980年代、大学卒業後ファッション・モード専門誌「WWD Japan」編集部勤務を皮切りに編集者としてのキャリアを積む。その後、90年〜2000年代、中堅出版社ダイヤモンド社の自動車専門誌・副編集長に就く。以降、男性ライフスタイル誌「Straight’」(扶桑社)など複数の男性誌編集長を歴任し独立、フリーランスのエディターに、現職。著書に「シングルモルトの愉しみ方」(学習研究社)がある。

吉田 恒道