ディーゼルエンジンのメリット・デメリットを徹底解説!ガソリンとの違いと最新事情
更新日:2025.08.05

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力強い走りと優れた燃費性能で、根強い人気を誇るディーゼルエンジン。しかし、「うるさい」「黒煙を出す」といった過去のイメージや、世界的な電動化の流れの中で、その将来性を疑問視する声も聞かれます。実際のところ、現代のディーゼル車はどのような進化を遂げ、どのような魅力と課題を抱えているのでしょうか。
本記事では、ディーゼルエンジンの基本的な仕組みから、ガソリンエンジンとの明確な違い、具体的なメリット・デメリット、そして気になる維持費や最新の市場動向まで、解説します。
- Chapter
- ディーゼルエンジンとは?ガソリンとの基本的な違い
- ディーゼルエンジンの5大メリット
- メリット①:圧倒的な燃費性能と燃料代の安さ
- メリット②:低回転から力強い、大排気量のようなトルク
- メリット③:高圧縮に耐える頑丈な設計と長いエンジン寿命
- メリット④:長距離ドライブや高速巡航が得意
- メリット⑤:CO2排出量が比較的少ない
- ディーゼルエンジンの5つのデメリットと注意点
- デメリット①:車両価格が割高になる傾向
- デメリット②:特有のメンテナンスと維持費
- デメリット③:特有の振動と騒音
- デメリット④:寒冷地での燃料凍結リスク
- デメリット⑤:世界的な排出ガス規制強化と将来性
- ディーゼル車の維持費と税金の特徴
- 現在日本で選べる主なディーゼル車
- 国産車
- 輸入車
- ディーゼルエンジン豆知識コラム
- 発明者はルドルフ・ディーゼル
- 意外な活躍の場
- 日本のディーゼル浄化の歴史
- まとめ:ディーゼル車はどんな人におすすめ?
ディーゼルエンジンとは?ガソリンとの基本的な違い
ディーゼルエンジンとガソリンエンジンは、どちらも燃料を燃やして動力を得る内燃機関ですが、その「燃料」と「点火方法」に根本的な違いがあります。
- ガソリンエンジン
- ディーゼルエンジン
この「圧縮自己着火」という仕組みが、ディーゼルエンジンのあらゆる特性の源泉となっています。ガソリンが常温でも気化しやすく火を近づけると燃えるのに対し、軽油は引火点が高く、高温高圧の環境でなければ着火しにくいという燃料の性質を巧みに利用しているのです。
ディーゼルエンジンの5大メリット
メリット①:圧倒的な燃費性能と燃料代の安さ
ディーゼル最大の魅力は、その経済性です。熱効率(燃料の持つエネルギーを動力に変換できる割合)がガソリンエンジンよりも高く、一般的に約2割〜3割も燃費性能に優れます。
さらに、燃料である軽油は、ガソリンに比べて1Lあたり10円〜30円ほど安く設定されています。この「燃費の良さ」と「燃料単価の安さ」という二つの要素が組み合わさることで、走行コストを大幅に抑制できます。
特に走行距離が伸びるほどその恩恵は大きくなり、長距離通勤やドライブが多いユーザーにとっては非常に大きなメリットとなります。
さらに、燃料である軽油は、ガソリンに比べて1Lあたり10円〜30円ほど安く設定されています。この「燃費の良さ」と「燃料単価の安さ」という二つの要素が組み合わさることで、走行コストを大幅に抑制できます。
特に走行距離が伸びるほどその恩恵は大きくなり、長距離通勤やドライブが多いユーザーにとっては非常に大きなメリットとなります。
メリット②:低回転から力強い、大排気量のようなトルク
ディーゼルエンジンは、その構造上、低いエンジン回転数から非常に大きなトルク(タイヤを回転させる力)を発生させます。 これは、ガソリンエンジンよりもはるかに高い圧縮比で力強く燃焼させているためです。
アクセルを少し踏み込むだけで、まるで排気量の大きなクルマのようにグッと前に押し出される力強い加速感が得られます。そのため、多くの乗員や重い荷物を積んだ状態での走行、急な坂道の発進や高速道路での追い越しなど、パワーが必要な場面でも余裕のあるスムーズな走りを実現します。特にSUVやミニバンといった車重のあるクルマとの相性は抜群です。
アクセルを少し踏み込むだけで、まるで排気量の大きなクルマのようにグッと前に押し出される力強い加速感が得られます。そのため、多くの乗員や重い荷物を積んだ状態での走行、急な坂道の発進や高速道路での追い越しなど、パワーが必要な場面でも余裕のあるスムーズな走りを実現します。特にSUVやミニバンといった車重のあるクルマとの相性は抜群です。
メリット③:高圧縮に耐える頑丈な設計と長いエンジン寿命
ディーゼルエンジンは、常に高い圧力に耐えながら動いているため、エンジンブロックやピストン、クランクシャフトといった主要部品がガソリンエンジンよりも頑丈に作られています。
この堅牢な設計により、一般的に耐久性が高く、エンジン寿命が長いとされています。適切なメンテナンスを行えば、乗用車でも20万km、30万kmといった長距離を走り切ることが可能です。
実際に、ディーゼルが主流である大型トラックやバスでは、50万〜100万km、中には200万km以上も走行する車両が存在し、その耐久性の高さを証明しています。
この堅牢な設計により、一般的に耐久性が高く、エンジン寿命が長いとされています。適切なメンテナンスを行えば、乗用車でも20万km、30万kmといった長距離を走り切ることが可能です。
実際に、ディーゼルが主流である大型トラックやバスでは、50万〜100万km、中には200万km以上も走行する車両が存在し、その耐久性の高さを証明しています。
メリット④:長距離ドライブや高速巡航が得意
前述の燃費の良さと力強いトルクは、長距離・高速走行で真価を発揮します。高速道路を一定の速度で巡航するような場面では、エンジン回転数を低く抑えたまま静かに、そして力強く走り続けることができます。燃料補給の回数を減らせるため、移動の快適性も向上します。
例えば、ランドクルーザープラドのガソリン車(2.7L)とディーゼル車(2.8L)を比較すると、WLTCモード燃費はそれぞれ8.3km/Lと11.2km/Lと大きな差があります。試算によっては、1,000km走行あたりの燃料代がディーゼル車の方がおよそ4割も安くなるケースもあり、長距離を走るユーザーにとってのメリットは計り知れません。
例えば、ランドクルーザープラドのガソリン車(2.7L)とディーゼル車(2.8L)を比較すると、WLTCモード燃費はそれぞれ8.3km/Lと11.2km/Lと大きな差があります。試算によっては、1,000km走行あたりの燃料代がディーゼル車の方がおよそ4割も安くなるケースもあり、長距離を走るユーザーにとってのメリットは計り知れません。
メリット⑤:CO2排出量が比較的少ない
同じ距離を走る場合、燃焼させる燃料が少ない(=燃費が良い)ため、地球温暖化の原因とされる二酸化炭素(CO2)の排出量がガソリン車よりも少なくなる傾向があります。環境性能というと排出ガス(NOxやPM)のイメージが強いですが、CO2削減という観点ではメリットがあるのです。
ディーゼルエンジンの5つのデメリットと注意点
デメリット①:車両価格が割高になる傾向
ディーゼル車は、同じ車種のガソリン車と比較して新車価格が高めに設定されています。マツダCX-5の場合、ガソリンモデルに対してディーゼルモデルは約30万円高くなるなど、数十万円の価格差があるのが一般的です。
これは、高圧縮に耐えるための頑丈なエンジン構造や、軽油を精密に噴射するための高価な「コモンレール式燃料噴射装置」、そして後述する高度な排出ガス浄化装置など、製造コストの高い部品が多く使われているためです。この初期費用の差を燃料代の安さで回収するには、ある程度の走行距離が必要になります。
これは、高圧縮に耐えるための頑丈なエンジン構造や、軽油を精密に噴射するための高価な「コモンレール式燃料噴射装置」、そして後述する高度な排出ガス浄化装置など、製造コストの高い部品が多く使われているためです。この初期費用の差を燃料代の安さで回収するには、ある程度の走行距離が必要になります。
デメリット②:特有のメンテナンスと維持費
ディーゼルエンジンは、その性能を維持するために特有のメンテナンスが必要です。
- エンジンオイル
- DPF(粒子状物質除去フィルター)
- AdBlue®(アドブルー/尿素水)
デメリット③:特有の振動と騒音
ディーゼルエンジンは、高い圧縮比で燃料を爆発的に燃焼させるため、どうしても特有の振動や「ガラガラ」という燃焼音が発生しやすくなります。特にアイドリング時や加速時に、その音や振動が気になるという人もいます。
ただし、この点は技術の進化によって劇的に改善されています。燃料を一度に噴射せず、複数回に分けて噴射することで燃焼を穏やかにする「コモンレールシステム」の進化や、エンジン自体のバランスを取る「バランサーシャフト」の採用、そして遮音材や吸音材の多用により、最新のクリーンディーゼルでは、車内にいればガソリン車とほとんど区別がつかないほどの静粛性を実現したモデルも増えています。
ただし、この点は技術の進化によって劇的に改善されています。燃料を一度に噴射せず、複数回に分けて噴射することで燃焼を穏やかにする「コモンレールシステム」の進化や、エンジン自体のバランスを取る「バランサーシャフト」の採用、そして遮音材や吸音材の多用により、最新のクリーンディーゼルでは、車内にいればガソリン車とほとんど区別がつかないほどの静粛性を実現したモデルも増えています。
デメリット④:寒冷地での燃料凍結リスク
軽油は低温になると流動性が低下し、成分が固まってシャーベット状になる(凍結する)性質があります。特に気温が氷点下になる寒冷地では、通常の軽油を使用していると燃料フィルターが詰まり、エンジンがかからなくなるトラブルが発生する可能性があります。
そのため、雪国などの地域では、冬になるとガソリンスタンドで販売される軽油が、凍結しにくい「2号軽油」や「3号軽油」といった寒冷地仕様の燃料に切り替わります。寒冷地へ出かける際は、現地で寒冷地仕様の軽油を給油することが重要です。
そのため、雪国などの地域では、冬になるとガソリンスタンドで販売される軽油が、凍結しにくい「2号軽油」や「3号軽油」といった寒冷地仕様の燃料に切り替わります。寒冷地へ出かける際は、現地で寒冷地仕様の軽油を給油することが重要です。
デメリット⑤:世界的な排出ガス規制強化と将来性
環境性能が大幅に向上したクリーンディーゼルですが、世界的に見ると排出ガス規制は年々強化されており、ディーゼル車を取り巻く環境は厳しさを増しています。特に欧州では、過去の「ディーゼルゲート事件」の影響もあり、主要都市でのディーゼル車乗り入れ規制や、将来的な販売禁止を表明する国(フランス、イギリスなど)も出てきています。
日本国内でも、トヨタやホンダが乗用車向けのディーゼルエンジン開発から撤退・縮小するなど、電動化(EV、ハイブリッド)へのシフトが進んでいます。今後、数十年という長いスパンで見ると、ディーゼル車の選択肢が減っていく可能性は念頭に置いておく必要があります。
日本国内でも、トヨタやホンダが乗用車向けのディーゼルエンジン開発から撤退・縮小するなど、電動化(EV、ハイブリッド)へのシフトが進んでいます。今後、数十年という長いスパンで見ると、ディーゼル車の選択肢が減っていく可能性は念頭に置いておく必要があります。
ディーゼル車の維持費と税金の特徴
維持費や税金の面でも、ディーゼル車にはいくつかの特徴があります。
- 自動車税
- エコカー減税など
現在日本で選べる主なディーゼル車
縮小傾向にあるとはいえ、現在でも魅力的なディーゼル車が国内外のメーカーから販売されています。
国産車
- マツダ
- トヨタ
- 三菱
輸入車
メルセデス・ベンツ、BMW、アウディ/フォルクスワーゲンといったドイツ車メーカーは、セダンからSUVまで多くの車種に高性能なクリーンディーゼルモデル(TDI, BlueTECなど)を導入しています。
その他、プジョー、シトロエン、ボルボ、ジャガー・ランドローバーなど、ヨーロッパの多くのメーカーがディーゼル車を日本市場に投入しています。
その他、プジョー、シトロエン、ボルボ、ジャガー・ランドローバーなど、ヨーロッパの多くのメーカーがディーゼル車を日本市場に投入しています。
ディーゼルエンジン豆知識コラム
発明者はルドルフ・ディーゼル
ディーゼルエンジンは、1892年にドイツ人技術者ルドルフ・ディーゼルによって発明されました。彼は当初、石炭の粉を燃料にすることを考えていましたが、最終的に1900年のパリ万博でピーナッツ油を燃料にしたエンジンを実演し、世界を驚かせました。植物油でも動くこの特性は、現代のバイオディーゼル燃料の思想に繋がっています。
意外な活躍の場
乗用車だけでなく、その高トルクと耐久性から、鉄道車両(ディーゼル機関車)、船舶、建設機械、農業機械、大型発電機など、社会のあらゆる場面で活躍し、産業や物流を支える重要な動力源となっています。
日本のディーゼル浄化の歴史
1990年代、特に東京都心部でディーゼル車の排ガスによる大気汚染が深刻な社会問題となりました。これを受け、石原慎太郎都知事(当時)が主導し、2003年に世界で最も厳しい排出ガス規制(ディーゼル車NO作戦)が施行されました。これをきっかけに、DPFなどの浄化装置を備えた「クリーンディーゼル」の開発が加速し、日本のディーゼル技術は大きく進化しました。
まとめ:ディーゼル車はどんな人におすすめ?
燃費の良さや力強い走り、頑丈さなど、ディーゼル車には今なお色褪せない多くの魅力があります。一方で、特有のメンテナンスや将来性といった課題も存在しますが、技術の進歩によってかつての欠点は着実に改善されてきました。
これらの特性を踏まえると、ディーゼル車は特に以下のような方におすすめの選択肢と言えるでしょう。
これらの特性を踏まえると、ディーゼル車は特に以下のような方におすすめの選択肢と言えるでしょう。
- 年間の走行距離が長い方(通勤、レジャーなど)
- 高速道路を頻繁に利用する方
- SUVやミニバンなど、車重のあるクルマで力強い走りを求める方
- 荷物を多く積んだり、アウトドアでタフな使い方をしたりする方