吉田 恒道|よしだ つねみち

1980年代、大学卒業後ファッション・モード専門誌「WWD Japan」編集部勤務を皮切りに編集者としてのキャリアを積む。その後、90年〜2000年代、中堅出版社ダイヤモンド社の自動車専門誌・副編集長に就く。以降、男性ライフスタイル誌「Straight’」(扶桑社)など複数の男性誌編集長を歴任し独立、フリーランスのエディターに、現職。著書に「シングルモルトの愉しみ方」(学習研究社)がある。

吉田 恒道
Chapter
Honda eの乗り心地について①|ホンダ 新型Honda eが持つEVならではの強み!
Honda eの乗り心地について②|ホンダ 新型Honda eは室内空間も快適
Honda eの乗り心地について③|ホンダ 新型Honda eの重量配分はさながらスポーツカー

Honda eの乗り心地について①|ホンダ 新型Honda eが持つEVならではの強み!

ホンダ 新型Honda eの特徴は、何と言っても電気で動くEVであること。ガソリンエンジン車やハイブリッド車のように大きな振動源であるエンジンが無くなったことは乗り心地にも大きな影響を与えます。

エンジンはクルマの中でもっとも重たい部品であり、それを支えるために通常はエンジンとボディーの隙間にゴム製のクッションが装着されています。しかし、エンジンの発する振動は非常に大きいため、クッションで完全に振動をなくすことはできません。特に加速中などのエンジン回転数が上昇するタイミングではエンジンの振動は大きくなります。
さらに、ガソリンエンジン車などではエンジンの動力をタイヤへ伝えるためにトランスミッションと呼ばれる部品が必要となり、加速時にはギアチェンジ、すなわち変速操作を行わなければなりません。

特にMT(マニュアルトランスミッション)では変速時にはエンジンの駆動力が途切れ、再度伝わるために、変速ショックが乗り心地に悪影響を与えることも少なくないとされています。

しかし、新型Honda eはEVであるためエンジンがなく、さらに他メーカーにおける多くのEVと同じくトランスミッションも存在しないため、変速ショックをはじめとするガソリンエンジン車にありがちな不快な振動がほとんどありません。

Honda eの乗り心地について②|ホンダ 新型Honda eは室内空間も快適

新型Honda eは振動面のみならず、静粛性においても優れたポテンシャルを備えています。

ガソリンエンジン車やハイブリッド車は構造上エンジンの発する排気音を減少させるために消音機能を持つマフラーを装備していますが、それでも排気音を完全に消し去ることはできません。一方で新型Honda eにはエンジンが無いため高い静粛性を誇ります。
もちろんEVのエンジンと言えるモーターも騒音を発しますが、エンジンに比べて騒音の種類や音量は限定的で、エンジンの振動の少なさと相まって優れた乗り心地を実現しています。

また、上級グレードの「Advance」では17インチホイールを装着していますが、ベースグレードは小径の16インチアルミホイールを装着し、タイヤの厚みにあたる扁平率を大きくすることで路面からの衝撃を小さくするなど、上級グレードよりも乗り心地を重視する工夫が伺えます。

Honda eの乗り心地について③|ホンダ 新型Honda eの重量配分はさながらスポーツカー

ホンダ 新型Honda eは専用プラットフォームが奢られ、ホンダの既存ガソリンエンジン車やハイブリッド車よりもEVに適した設定となっています。

重量物であるバッテリーはフロントシート(前席)のつま先からリヤシート(後席)後方のフロア部分にびっしりと敷き詰められ、それによってボディーの重心を下げ、前後重量配分は50:50を実現。運動性能とともに乗り心地にも配慮されています。
エンジンにあたるモーターはリヤにマウントされ、リヤシートとラゲッジスペースの間に詰め込まれています。

そして動力はリヤタイヤ(後輪)に伝えられますが、このレイアウトはドイツを代表するスポーツカー、ポルシェ「911」と同じRR(リヤエンジン・リヤドライブ)レイアウトであり、リヤタイヤを地面に押し付けることで無駄のない加速力を発揮できるとされています。

また、新型Honda eと同様のボディーサイズを持つコンパクトカーでは、リヤサスペンションにシンプルなトーションビーム式を採用することが少なくありませんが、新型Honda eでは乗り心地や路面の追従性に優れる4輪独立懸架方式のストラット式サスペンションを備えている点も見逃せません。
新型Honda eは低重心化やRRレイアウトなど、コンパクトなボディーながら優れた重量配分やスポーツカーのようなレイアウトを持ち、結果としてその1つ1つが乗り心地にも貢献していると言えるでしょう。
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