トヨタに迫る勢い?韓国メーカーって世界でどんな評判?!現代(ヒョンデ)、起亜(キア)を徹底解説!

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日本において、韓国の自動車メーカー聞いてピンと来る人は少ないでしょう。韓国には「現代自動車(ヒョンデモーター)」「起亜自動車(キアモータース)」「韓国GM」「ルノーサムスン」そして「双竜自動車(サンヨンモーター)」と5つの乗用車メーカーが存在します。
その全メーカーあわせた国内生産台数(商用車や大型車も含む)は、2019年の1年間において395万台。さらに、現代と起亜の2大メーカーだけで388万台の海外生産をおこなったときけば、実は韓国車が世界で多く売られていることが理解できるでしょう。

文:工藤 貴宏/写真:萩原 文博

工藤 貴宏|くどう たかひろ

1976年生まれの自動車ライター。クルマ好きが高じて大学在学中から自動車雑誌編集部でアルバイトを開始。卒業後に自動車専門誌編集部や編集プロダクションを経て、フリーの自動車ライターとして独立。新車紹介、使い勝手やバイヤーズガイドを中心に雑誌やWEBに執筆している。心掛けているのは「そのクルマは誰を幸せにするのか?」だ。現在の愛車はルノー・ルーテシアR.S.トロフィーとディーゼルエンジン搭載のマツダCX-5。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。

工藤 貴宏
Chapter
現代起亜グループ、2019年度の世界総生産台数は719万台とトヨタに迫る企業へ
世界市場において韓国メーカーは、日本メーカーに割って入る勢いを見せる!
安いことが魅力だった時代は終了。欧州においてすでに韓国メーカーは市民権を得ている!
現代と起亜は、新興国でもシェア拡大に奮闘!!
韓国ブランドは世界での知名度はあれど、日本ではまだ少ないがそれは時間の問題?!

現代起亜グループ、2019年度の世界総生産台数は719万台とトヨタに迫る企業へ

韓国では現代と起亜の規模が他のメーカーを大きく引き離していますが、両者は同じグループとなっていて、「現代起亜グループ」としてカウントすれば世界総生産台数は719万台(2019年)とかなりの規模。

参考までに自動車販売で世界トップを競う「フォルクスワーゲン」や「トヨタ」の年間生産台数はそれぞれ1000万台を超えますが、「SUBARU」は100万台ほど。現代起亜グループの生産規模は、その7倍にもなるのです。
現代 (ヒョンデ) NEXO (ネッソ)
2019年の世界ランキングでは、フォルクスワーゲン、トヨタ、ルノー・日産・三菱グループ、そしてGMについで5位となっています。

韓国メーカーである現代や起亜のクルマは、いまや世界中でごく当たり前の存在。その存在にピンとこないのは日本人だけというのも、大げさではないのです。

世界市場において韓国メーカーは、日本メーカーに割って入る勢いを見せる!

現代(ヒョンデ)の中で人気車種のSonata(ソナタ)
それでは地域別の状況をチェックしてみましょう。

世界で2番目に大きな自動車マーケットになっているアメリカ合衆国には、現代と起亜が進出しています。2019年には現代が44万台、起亜が43万台を販売。規模感としては44万台を販売したSUBARUに近いところ。

ただし、現代と起亜は同じグループなので両社を合計すると88万台となり、97万台を販売したホンダの下で、75万台を販売した日産よりは上のポジション。127万台を売ったトヨタとの差は大きいとはいえ、規模としては充分に堅実に稼げる市場になっているのです。
2020年のWCOTY(ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー)を獲得した、起亜(KIA)テルライド(Telluride)
北米におけるラインナップ数は、現代が12モデル、起亜は14モデル(1つのボディを1車種としてカウント)。SUVを中心にセダンやコンパクトカー、そしてミニバンもそろえています。

2020年第3四半期(7月~9月)の北米販売台数ランキングをみると、韓国ブランドでもっとも売れた車はコンパクトクロスオーバーSUVの「ヒュンダイ・ツーソン」でランキング27位。3カ月で3万3198台を販売しました。以下41位のミドルクラスSUV「ヒュンダイ・サンタフェ」(2万6991台)、42位のコンパクトセダン「ヒュンダイ・エラントラ」(2万6653台)と続きます。
キア・フォーテ (Kia Forte)
起亜は52位のコンパクトセダン「キア・フォーテ」(2万3467台)がトップと少し控えめですが、とはいえ3ヵ月間で2万台(月平均7000台強)を販売した車種が5モデルもあるので地道に売れているといっていいでしょう。

安いことが魅力だった時代は終了。欧州においてすでに韓国メーカーは市民権を得ている!

現代(ヒョンデ) Sonata(ソナタ) 2003年
1990年代から本格的な北米輸出をスタートした韓国の自動車メーカーですが、2000年初頭は「安さで選ぶ」という選択肢にすぎませんでした。しかし地道な品質向上とデザイン力のアップにより、いまではそのイメージから脱却しつつあります。

また、北米市場で外せないのが、韓国メーカーのブランドとしては売っていないけれど韓国の拠点で開発されたモデル。たとえば「GM韓国」はかつて「大宇(デーウ)」呼ばれた韓国企業で、「シボレー・スパーク」や「シボレー・ソニック」など韓国で開発されたアメリカンブランド車も多く走っています。

アメリカにおける韓国車は、もはや完全に市民権を得た存在。現地生産もおこなわれ、実際に現地へ出かけると、日本車並みに頻繁にみかけるのです。

欧州の状況も北米に近いもの。現代や起亜が1990年代から進出してはいたものの、2000年代までは人気や高い評価を得られてはいませんでした。
現代(ヒョンデ) i20 2020年
しかし、2010年代にはいる頃になると状況はガラリと変化。

コンパクトカーを中心としたモデルを欧州市場向けに欧州で開発し、欧州メーカーから引き抜いたエンジニアやデザイナーによりデザインとクオリティを大幅に底上げし、魅力を高めていったのです。
ヒュンダイは、2000年〜2003年にアクセントWRCで世界ラリー選手権(WRC)に参戦。2014年から再参戦を果たし、ヒュンダイ・i20をベースにWRCに参戦している。
その戦略は大成功。徐々に商品性が高まり、さらには現代のWRC(世界ラリー選手権)での活躍も存在感の拡大に貢献しました。
2019年における欧州での販売台数は、現代が55.7万台でブランド別ランキング14位。起亜が49.9万代で15位。いずれも、日産の39万台より上位です。合計すれば105万台とトヨタの73.5万台を超えるボリュームとなり、「グループごとのカウント」では毎年5位以内に入っているのだから驚かずにはいられません。

欧州において韓国メーカー(現代&起亜)の浸透度は高く、今や韓国ブランドはすっかり受け入れられているといっていいでしょう。

現代と起亜は、新興国でもシェア拡大に奮闘!!

現代(ヒョンデ) Kona Electric
そして現代と起亜は、新興国でもシェア拡大に奮闘しています。代表的な場所は中国とインドです。

2019年の販売実績をみると、現代はブランド別ランキング8位でシェアは3.3%。シェアだけをみると小さなマーケットのように思えますが、中国は世界一の自動車マーケットであり、販売台数は70万台を超えているのだから凄いとしか言いようがありません。

起亜は29.1万台を販売してランキング20位、シェアは1.4%。両ブランドを合計すると年間100万台の販売となり、韓国車において最大の市場が中国なのです。

それだけ売れていると北京や上海といった街でも多く見かけますし、かつてはタクシー車両として現代のセダンが大量投入されたこともあったほどです。
2020年には、起亜(KIA)のSUV車両であるSONETをインドで発売した。
また、インドでも韓国車の存在感は大きくなっています。乗用車シェアをみるとスズキがトップで、次いで現代が2番手。

販売台数はスズキの3割以下と伸びる余地が多いといえる状況(とはいえシェアでは約15%あるのだから存在感は大きい)ですが、販売シェア50%を超える王者スズキの牙城をどこまで崩せるか楽しみな状態といっていいでしょう。

韓国ブランドは世界での知名度はあれど、日本ではまだ少ないがそれは時間の問題?!

かつて、日本でも発売されていた同社初の本格SUV、ヒュンダイ・サンタフェ。
ところで日本における韓国車の状況をみると、韓国車はメジャーな存在とはいえません。乗用車はヒュンダイが2001年に正規販売をはじめましたが、思ったほどは受け入れられず2010年をもって撤退しているのです(その後も大型バスは継続して販売)。

しかし実は、正規販売していた現代ブランドのほかにも、日本で販売されていた韓国製乗用車があるのをご存じでしょうか。

たとえばGMが2011年から18年において導入していたSUVの「シボレー・キャプティバ」は開発も製造も韓国GMが担当。日本向けも韓国製でした。

また2005年から2006年にかけてスズキが導入した「シボレー・オプトラ」ももとは大宇(のちの韓国GM)が開発し、韓国で生産した韓国車です。

さらにさかのぼれば、1986年から93年にかけて「オートラマ・フェスティバ」というヒットした3ドアコンパクトカーがありました。その車両自体はマツダによる日本製でしたが、派生モデルの5ドアやセダンは起亜が製造した韓国からの輸入車だったのです。
「ヒュンダイを知らないのは、日本だけかも知らない」の日本CMにも登場した、Hyundai XG 350 (2005)
「ヒュンダイを知らないのは、日本だけかも知らない」。

かつて現代はそんなキャッチコピーで日本進出を果たしました。それは紛れもなく事実であり、さらにその世界における認知度と存在感はさらに高まっているのです。

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