世界5位の韓国自動車メーカーヒョンデが仕掛けるSUV 「NEXO(ネッソ)」を徹底解説!これであなたもBTSになれるかも?!

どれだけクルマ好きでも、「ヒョンデ(現代)」という自動車メーカーについて詳しい日本人は少ないでしょう。とはいえそれも当然。日本市場では(今現在は)販売されていないメーカーなのですから。

でも実は、「現代自動車(ヒョンデモーター)」は、世界的な超メジャーブランド。傘下の「起亜(キア)」も含めれば2019年の総生産台数約719万台で世界ランク5位。ホンダよりも生産規模が大きいのだから、ちょっとびっくりですよね。ヒョンデとキアは韓国内における新車販売の8割を占める韓国ナンバーワンというだけでなく、世界的な自動車メーカーとなっているビッグネームなのです。

文:工藤 貴宏/写真:萩原 文博

Chapter
世界中で評価の高いヒョンデ(現代)の水素燃料電池自動車 NEXO(ネッソ)に試乗してみた!
ヒョンデ(現代) ネッソ(NEXO)とは一体どんなクルマ?!
ヒョンデ「NEXO(ネッソ)」のエクステリア(外装)を解説!
ヒョンデ「NEXO(ネッソ)」のインテリア(内装)を解説!
ヒョンデ「NEXO(ネッソ)」インテリア(内装)の質感は良い意味で"普通"
モーターのトルクは395NmとNAエンジンで排気量4.0L並みを発揮する「NEXO(ネッソ)」の走りは?
日本のSUVのハリアーやRAV4と比較してヒュンダイNEXOはどんなレベルなのか?
動画で知ろう!ヒョンデ「NEXO(ネッソ)」を深く知るにはCARPRIME!

世界中で評価の高いヒョンデ(現代)の水素燃料電池自動車 NEXO(ネッソ)に試乗してみた!

そんなヒョンデはかつて、日本でも正規販売をしていたこともありました。上陸は2001年。しかし、乗用車は2010年に撤退。その後もバスは販売しているものの、乗用車に関しては途絶えたままです。だから日本に浸透していないのは無理もないでしょう。

しかしこのところ、眠りから覚めたかのように日本での動きが活発に。乗用車について記載された公式ウェブサイトや公式Twitterが始動し始めたのです。おや?!これは気になる動きじゃないですか。

そこで今回、同社から「ネッソ(NEXO)」というクルマを借りてチェックしてみました。

ヒョンデ(現代) ネッソ(NEXO)とは一体どんなクルマ?!

ヒョンデ「NEXO(ネッソ)」をひとことでいえばミドルクラスのSUV。車体は全長4670×全幅1860mmだから日産エクストレイルとほぼ同じ。これだけあれば室内も荷室も広くて、世界的にも売れ筋になっているクラスです。

ただ、普通じゃないのはパワートレイン。ガソリンでもディーゼルでもEV(電気自動車)なく、燃料電池なのです。燃料電池とは、水素をエネルギー源とし、酸素と反応させることで電気を取り出す仕掛けのこと。

ヒョンデ ネッソは、 水素を燃料として走る、燃料電池自動車

むかし学校で「水の電気分解」といって、水に電気を流すと水素と酸素が作られたのを覚えていませんか。その逆で、水素と酸素を反応させることで電気を起こし、その電気でモーターをまわして走る仕掛けが燃料電池。

まだまだ一般的ではないけれど、トヨタ・ミライとかホンダ・クラリティFCVのように日本でも市販しているクルマもあります。ネッソも一般的な市販車とはちょっと違う存在だけれど、ヒョンデが日本でこれを走らせているのはちょっと意味深ですよね。

ヒョンデ「NEXO(ネッソ)」のエクステリア(外装)を解説!

ヒョンデ「NEXO(ネッソ)」、実車を目の前にすると、外観のフォルム自体はけっこう普通。だけど、普通じゃないのが顔つき。このところのヒョンデのトレンドに従った、どれがヘッドライトなのかわからない(上部にあるのはデイライト/ウインカー/ポジションランプでヘッドライトはバンパーの左右にある三角形の部分)デザインはきっと好き嫌いが分かれるところ、でも個性的なのは間違いないわけで面白いです。

三菱のデザインテーマである「ダイナミックシールド」を、ちょっとソフトにしたようなイメージですね。

夜になると、ボンネット先端とバンパーの境目は左右にわたって一直線に細長く光るようになっていて、これは水平線をイメージしたのだとか。

ヒョンデ「NEXO(ネッソ)」のインテリア(内装)を解説!

でも、その前にキーが面白い。ヒョンデ「NEXO(ネッソ)」はもちろん非接触式のスマートキーなんだけど、ドアロック/アンロックだけじゃなくて離れた場所からシステムを起動するリモコンスターターが組み込まれているし、クルマの前進/後進ボタンまでついています。

これは車外からクルマを前後に動かす操作をするためのもので、狭い駐車スペースでは広い場所で乗り降りしてから遠隔操作で直進の入庫/出庫ができる仕掛け(さらにリモートパーキングも車を降りた後にできるから凄い)。キーだけでもかなりのハイテク度にいきなりビックリさせられます。

そんなキーを持ってクルマに近づいたら、車体から、それを検知してドアノブがニュキニョキッ!とせり出してくる。このあたりのギミックもジャガーなど他車で見かけることはあるけれど、凝っていますね……。

そんなヒョンデ「NEXO(ネッソ)」のドアノブを引いて乗り込んでみると、驚いたのが独特の世界観。やるなヒュンダイ、と思わずにはいられません。まずメーター(7インチ)とセンターディスプレイ(12.3インチ)で2枚の液晶を並べたインパネは見るからに先進的。

ベンツっぽい感じはするけれど、日本のSUVでこういう演出はまだないですね。

それでいて、センターコンソールはワイドかつなだらかなスロープ状になっていて、そこにスイッチが並ぶ飛行機のコックピットっぽい演出。

スイッチが並びすぎてどこにどのスイッチがあるのかわかりにくいのは否めないけれど、それさえ考えなければ悪くはない。ちなみにシフトセレクター(というか前進と後退の切り替え)もボタン式です。

いずれにせよ、SUVなのにここまで明確に運転席と助手席を分けるレイアウトも珍しいですね。

ヒョンデ「NEXO(ネッソ)」インテリア(内装)の質感は良い意味で"普通"

ヒョンデ「NEXO(ネッソ)」の質感は……“悪くない”といったところ。自慢するほどいいわけではないけれど、これなら納得です。

いっぽう後席は開放的で、居住性良好。ひざ周りスペースは足を組めるくらいの余裕があるし、リクライニングも細かく調整できる。着座姿勢も自然だし、よく考えられています。

ところで荷室は、ごくごく普通。これは悪い意味ではなく、燃料電池車としてのネガがないということ。床面こそちょっと高いものの、後席を倒したときは段差のないフラットなフロアになるなど実用的で、燃料電池車という特殊事情を感じさせないのは見事です。

容量的には461Lとライバルに比べてちょっと狭いけど、荷物をギュウギュウに詰め込むような状況さえなければ、少なくとも日常生活で困ることはないでしょう。

使い勝手での結論は、空間は広く、コックピットの雰囲気は未来的で、荷室も満足できる実用性。よくできています。

モーターのトルクは395NmとNAエンジンで排気量4.0L並みを発揮する「NEXO(ネッソ)」の走りは?

ヒョンデ「NEXO(ネッソ)」のプッシュボタンを押してもエンジン音はなくあくまで静寂(そもそもエンジンがついていないのだから当然)。アクセルを踏めば滑り出すようにスーッと加速し、モーターのトルクは395Nmと自然吸気ガソリンエンジンでいえば排気量4.0L級だから加速も十分。

動力を生み出すのは完全にモーターだから、走行感覚自体はEVと変わらない好印象です。

そして、ヒョンデ「NEXO(ネッソ)」の走行性能を感じる前に衝撃的だったのが細部の作りこみ。メーターをはじめ液晶ディスプレイの表示はすべて日本語になっているし、右ハンドルというだけでなくウインカーレバーが右側についているし(輸入車は一般的に右ハンドルでも左側)、つまりは完全に日本仕様になっているのです。

ヒョンデ側からはネッソを日本で一般販売するというアナウンスはまだないし、そもそも日本で売ったとしても燃料電池車がたくさん売れるわけではないけれど、日本向けを作るにあたってかなりの手間とお金をかけているのがわかるわけです。

そもそも、日本で普通に公道を走行できる「型式」を取得していることからして驚きなんですけどね。

話を走行フィーリングに戻すと、印象はとにかく静かで滑らか。電動車だから当たり前だけど。

ただしリーフe+(電気自動車)みたいなシャープなレスポンスとか盛り上がりみたいなのはなくて、出だしは力強いけどそこから上の加速感の高まりはちょっと控えめ。十分な加速だし速いんだけど、エモーショナルな感覚はもうちょっとあると嬉しいところです。

いっぽうで予想外に良かったのが、乗り心地とかコーナリングのしっかり感。もちろん重量物が比較的低い位置に配置されていることの低重心というのはあるけれど、それだけでなく車体の作りこみとかサスペンションの剛性感自体がかなりいい感触。

このあたりの出来栄えは正直なところ感心した。本気度がじわじわ伝わってきた気がします。

ちなみに、燃料計が半分となった時点での後続可能距離は307kmだったから、フルタンクでの巡行距離は600kmほど。タンクは3本合計で156.6L入ります。

日本のSUVのハリアーやRAV4と比較してヒュンダイNEXOはどんなレベルなのか?

ヒョンデ「NEXO(ネッソ)」は燃料電池なので、国産車に直接ライバルはいないネッソ。だけど無理やり比べてみると、パッケージングに関しては同じサイズの国産SUVと比べて遜色ないし、実用性も互角。

乗り心地やハンドリングに関しては、トヨタRAV4とかハリアーみたいな最新モデルには少し届いていないけれど、設計が古い同クラス車よりは安定感とか挙動の静かさで勝っている部分もあると感じました。

いずれにせよ、「韓国車だから」みたいな前置きは必要ない出来栄えといっていいでしょうね。

とはいえ、このネッソはまたまだ日本での正式な市販車ではない(というかヒュンダイが再上陸するのかも不明だ)し、そもそも燃料電池という特別なクルマ。

これだけ可能性を感じさせるのですから、1日もはやく普通のモデルが正式に導入され、比較したい気がします。ネッソの感触だと、そうとう期待できそうですよ。

動画で知ろう!ヒョンデ「NEXO(ネッソ)」を深く知るにはCARPRIME!

ヒョンデ日本再上陸したらライバル車になり得る?世界5位の韓国自動車メーカーが仕掛けるSUV ヒュンダイ「NEXO(ネッソ)」を徹底解説!これであなたもBTSになれるかも?!

工藤 貴宏|くどう たかひろ

1976年生まれの自動車ライター。クルマ好きが高じて大学在学中から自動車雑誌編集部でアルバイトを開始。卒業後に自動車専門誌編集部や編集プロダクションを経て、フリーの自動車ライターとして独立。新車紹介、使い勝手やバイヤーズガイドを中心に雑誌やWEBに執筆している。心掛けているのは「そのクルマは誰を幸せにするのか?」だ。現在の愛車はルノー・ルーテシアR.S.トロフィーとディーゼルエンジン搭載のマツダCX-5。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。

工藤 貴宏|くどう たかひろ