天ぷらナンバーというものをご存じですか？

私たちが公道を走行するためには、まず運転免許証が必要です。読んで字のごとく、公道を走るための「許可」を受けた証です。同様に、車輛にも車両情報、所有者情報を記したナンバープレートの装着が義務付けられます。

このナンバープレートがない状態、もしくは車検をとっていない状態で走ることは、仮ナンバーは別として明確に違法行為である、と断ずることができます。そもそも、ナンバーがついていない状態で走行するのであれば、走行中の車や歩行者、市民からの通報が必ず入るハズであり、悪目立ちするともいえます。

さて、悪知恵の働く者というのはいつの時代もいるもので、他のクルマのナンバーを取り付けてしまえば簡単にはばれないだろうと…

・盗難車
・車検切れ等でナンバーを返納していない車

上記のような車輛から、ナンバーを拝借して、車検切れの車輛等で公道を走る行為があるのも事実。こうした行為に使うナンバーを天ぷらナンバー、と呼ぶようなのです。封印のある登録車もさることながら、レンチで簡単に外せてしまうオートバイや軽自動車のナンバーなどはより注意が必要とも考えます。

前述のように、ナンバーを入れ替えて走る違法行為なわけですが、なぜ天ぷらナンバーと呼ぶのか。天ぷらは衣をつけて揚げますから、外見だけでは中身の判断が難しいため、食べてみないと中身がわかりませんよね。それと同様に、車検証などチェックしないと見分けられないことから、天ぷらナンバーという呼称になったようです。

さらに遡って調べると、昔「天ぷら学生」という呼称があったそうです。まだ大学生に制服があった時代、学生でない者が制服を着て講義を受講する、なんてことを指して天ぷら学生という造語になったようです。

そう考えると、天ぷら〇〇などのワードはなかなか古い語源といえますね。さておき、大学に制服がなくなった現在はともかくとして、天ぷらナンバーは明確な違法行為なので、絶対に行ってはなりません！

天ぷらナンバー装着のおもな理由は、所有者を明確にされない偽装にあるといえます。つまり犯罪など違法行為に使われる可能性が俄然高い、というわけなのです。なかには車検切れのクルマを走らせたい、という理由もあるかもしれませんが、いずれにせよ明確な故意の違法行為であり、罰則も大きなものになっております。

ナンバーの不正使用となると、道路交通法違反ではなく、道路運送車両法違反となります。同法98条によると…

『第九十八条　何人も、行使の目的をもつて、自動車登録番号標、臨時運行許可番号標、回送運行許可番号標、臨時検査合格標章、検査標章若しくは保安基準適合標章を偽造し、若しくは変造し、又は偽造若しくは変造に係るこれらの物を使用してはならない。

２　何人も、行使の目的をもつて、自動車登録番号標、臨時運行許可番号標、回送運行許可番号標、臨時検査合格標章、検査標章若しくは保安基準適合標章に紛らわしい外観を有する物を製造し、又はこれらの物を使用してはならない。

３　自動車登録番号標、臨時運行許可番号標、回送運行許可番号標、臨時検査合格標章、検査標章又は保安基準適合標章は、当該自動車以外の自動車に使用してはならない。』

と明文化されており、その罰則は…

『三年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。』

とあります。また自賠責が切れている車両を動かした場合は…

『自賠責保険(共済)に未加入で運行した場合は1年以下の懲役または50万円以下の罰金、自賠責保険(共済)の証明書を所持していなかっただけでも30万円以下の罰金が科せられます。 また無保険での運転は交通違反となり違反点数6点が付され、即座に免許停止処分となります。』

といったように、非常に重い罰則が課されることになります。

※ 国土交通省のHPより

このように、絶対に天ぷらナンバーの使用はしてはなりません。もし車検切れの車両を動かす場合には、仮ナンバーを申請し、整備工場や車検場へ移動して、適正な運用を行うべきです。ナンバーは公道を走る上で極めて重要なパーツ。くれぐれも手を加えることなく、楽しいカーライフを楽しんでくださいね。