およそ2年ぶりに復活を遂げた、新型 BMW Z4。その走りとインターフェースに迫る

BMW Z4 萩原文博

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2019年3月25日に発売を開始した3代目となるBMW Z4。トヨタ・スープラとコンポーネントを共有するなど話題性も高いがその実力も含め短時間ながら箱根周辺のワインディングを中心に試乗を行った。

文・高山 正寛/写真・萩原 文博

高山 正寛|たかやま せいかん

1959年生まれ。自動車専門誌で20年以上にわたり新車記事を担当しフリーランスへ。途中5年間エンターテインメント業界でゲーム関連のビジネスにも関わる。カーナビゲーションを含めたITSや先進技術のあらゆる事象を網羅。ITS EVANGELIST(カーナビ伝道師)として自ら年に数台の最新モデルを購入し布教(普及)活動を続ける。またカーナビのほか、カーオーディオから携帯電話/PC/家電まで“デジタルガジェット"に精通、そして自動車評論家としての顔も持つ。リクルート出身ということもあり、自動車をマーケティングや組織、人材面などから捉えるなど独自の取材スタンスを取り続けている。AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。2017-2018日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

高山 正寛
Chapter
Z4の歴史を振り返ってみる
基本コンポーネンツはスープラとシェア
走り味は、安定志向。さらにはオープンとは思えない剛性。そしてソフトトップの採用。
Z4にもAI技術。BMWインテリジェント・パーソナル・アシスタントを導入

Z4の歴史を振り返ってみる

およそ2年ぶりの復活と言っていいだろう。BMWのデザインに変革をもたらした1人であるクリス・バングル氏がデザインを担当した初代(E85/E86系)が日本に導入されたのが2003年。

同社のZ3の上位モデルと言うこともあり導入時は3L直6エンジンのみだったが、その後2.5L直4なども追加され、ロードスター/クーペといったバリエーション展開も積極的に行われた。


続いての2代目となるE89型は2009年に日本で発売開始。バングルの後継者とも言われたアドリアン・ファン・ボードイング氏のデザインは同社のデザインの流れを継承しつつ、より伸びやかなラインを特徴とした。

何よりも初代のソフトトップからアルミ製の電動リトラクタブルルーフが採用された点は最大の特徴。約20秒で開閉するルーフ構造により高速走行時などの快適性を向上させた点は時代の要求によるものでもある。


そして約2年ぶりに市販を開始したのがG29型となる3代目だ。すでに2017年の段階でコンセプトモデルが公開されていたが当時、市販モデルの噂はあまり聞こえてこなかった。中には「3代目はひょっとしたら発売されないのではないか?」という根も葉もない情報も流れたほどだ。

もちろんグローバルで見ればこの市場自体が縮小しているわけではない。各メーカーがオープンモデルを投入することは地域差があっても売れる土壌は十分にあるということの証明。さらにニュースとなったトヨタ・スープラへのエンジニアリングの共有化も含め、今回の登場、いや言い換えれば「復活」という表現の方がしっくりくるのである。

基本コンポーネンツはスープラとシェア


実車を見てまずボディサイズが拡大していることを強く感じる。全長で85mm、ここまではデザインの考えなどから納得するが、全幅も75mm拡大されている。一方で運動性能向上も狙いホイールベースは25mm短くなっている。

3代目のデザイナーはカルヴァン・ルーク氏だが8シリーズ同様、新時代のBMW車の礎ともなるモデルに仕上げてきたことを公言している。

特にホイールハウスを覆うようにデザインされたエンジンフードやボディ側面を空気の流れをイメージさせるキャラクターラインは従来の軽快さよりも安定感のある佇まいを感じさせる。


用意された試乗車は3L直6DOHCターボに8速ATを組み合わせる。最高出力:340ps(250kW)/5000rpm、最大トルク:500Nm(51.0kgm)/1600-4500rpmのスペックは申し分ないが、軽くアクセルを踏み込んだ際の印象は旧型とはやや異なる。

あくまでも「軽く踏んだ」状態では正直1570kgという車両重量からか、やや緩慢な印象を受けた。ただ誤解のないように言っておくとあくまでもZ4の旧型やライバル車として想定されるであろうポルシェ718ボクスターとの比較である。

もちろんそこからアクセルを踏み込めば振動が少なく滑らかかつ自分の気持ちに忠実によどみなくパワーが出てくることは間違いない。

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走り味は、安定志向。さらにはオープンとは思えない剛性。そしてソフトトップの採用。
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