車のピラーってなに?Aピラー、Bピラー、Cピラー、Dピラーの違いは?
更新日:2024.09.09
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日本の自動車用語でよく聞くピラーは、英語のPillar(柱)に由来し、クルマのウインドウ間に配置されている。Aピラー、Bピラー、Cピラー、Dピラーとは? 役割に違いがあるのだろうか。
文/写真・塚田勝弘
文/写真・塚田勝弘
Aピラー、Bピラー、Cピラー、Dピラーの違い①|ルーフとドアを支える役割から衝突安全性能での重要な柱に
応力外皮構造であるモノコックボディは、外皮全体で衝撃を吸収するとはいえ、とくにピラーがボディ(乗員の生存空間)を守るのに重要な役割を果たしている。ピラーはルーフを支えるだけでなく、前面衝突や側突(サイドへの衝突)、後突時などの衝突時にクルマの変形を抑制する役目も求められている。
万一の衝突時の安全性能(衝突安全性能、パッシブセーフティ)では、衝撃時にエネルギーを吸収したり分散させたりする役目が求められていて、ボンネットなどは潰れやすく、ドアなどは衝撃を吸収、分散しながらも潰れにくくする必要がある。さらに、前方衝突時には歩行者の頭部や脚部を保護することを目的に柔らかい素材を使ったり、ボンネットとエンジンの間に空間を設けたりしている。
Aピラー、Bピラー、Cピラー、Dピラーの違い②|前から順番に
前から順番にAピラー、Bピラー、Cピラー、Dピラーと呼ばれるピラーは、車種によってはAからDピラーまであり、AからCピラーまでしかないモデルもある。オープンカーなどにはBピラーまでしかないケースもある。また、三角窓がある車種には、Aピラーの後方、Bピラーとの間にもう1つピラーがあるケースもある。
ハードトップのセダンでAとCピラーはあるものの、Bピラーがない車種もあった。ほかにも、ピラーレス(Bピラー)を採用したミニバンもあるが、ピラーの代わりにドアにピラー構造を内蔵させたり、ドアを強化させたりするケースもある。つまり、ピラー(柱)がないように見えて、それ相応の対策が施されているのだ。
Aピラー、Bピラー、Cピラー、Dピラーの違い③|ピラーは事故発生時の車内の居住性と生存空間を守る役割も担っている
昔は、ルーフとドアを支えるのが主な役割だったピラーは、高い強度が求められていて、車内の居住(生存)空間を守る役割も担っている。
Aピラーは、主に前面衝突時やオフセット(スモールオフセットを含む)衝突時にボディの変形を防ぎ、BとCピラーは主に側突時、Dピラーは後方や斜め後方からの衝突での変形を防ぐ役割がある。BピラーやCピラーは、前後シートベルトを固定する役割もあり、柔な素材で強度を確保できない。
さらに、ピラーだけではなく、クロスメンバーや(フロアクロスメンバー/フロアアーク/リヤフロアアーククロスメンバー)など、高い強度が求められる部分には、クルマの中でも最も高強度である素材が使われ、近年では超高張力鋼板(ウルトラハイテン)などの引張強度の高い素材を使い、さらにホットスタンプ(熱間プレス成形)と呼ばれるプレス成形により強度を高める手法が一般的になっている。
車内の居住(生存)空間を守るのはもちろん、最近のピラーには、細くて視界を確保するという、強度と相反する役割も求められている。一般的に、ピラーは太くなるほど強度は高まるものの、太ければ太いほど視界や乗降性、デザインの自由度、重量増などの影響が出てきてしまう(サイドシルなども同様)。まさに、クルマの安全を支える大黒柱のひとつがピラーといえるだろう。
塚田 勝弘|つかだ かつひろ
自動車雑誌、モノ系雑誌の新車担当編集者を約10年務めた後に独立し、フリーランスライターとしても10年が経過。自動車雑誌、ライフスタイル雑誌、Web媒体などで新車試乗記事やカーナビ、カーエレクトロニクスなどの展開している。