日本唯一のフェラーリ本社公認クラブ…フェラーリ・ブランチ改め、FOCJブランチって?

フェラーリブランチ2019年

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洋の東西、あるいは年齢や性別を問わず、フェラーリに憧れるクルマ好きは枚挙にいとまがない。そんなフェラーリファンが、長年の夢をかなえてついにオーナーとなった時、まずは愛車とともに行ってみたいイベントの筆頭格とされてきたのが、日本におけるフェラーリの聖地とも言われる「ミュゼオ御殿場(旧松田コレクション フェラーリ美術館&スポーツカーガーデン)」を舞台とする「フェラーリ・ブランチ」である。

文/写・武田公実
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「新体制のもと、新たなスタート」
「半日限定のフェラーリ・ミュージアム」

「新体制のもと、新たなスタート」

フェラーリ・ブランチの源流は、当時のフェラーリ日本総代理店コーンズ&カンパニー・リミテッドと、のちに世界最高レベルのフェラーリコレクターとなる松田コレクションによって1984年に開催された「Ferrari Days in Japan」まで遡ることができる。

そして、日本初のフェラーリ本社公認クラブ「フェラーリ・クラブ・オブ・ジャパン(FCJ)」の創立と時を同じくする1990年から、同クラブと松田コレクション(ヴィンテージカーズ)の共催による、毎年恒例のイベントへと発展。その後は開催母体や協賛社などに変遷はありながらも、現在に至るまで日本のフェラリスタたちの憧れであり続けてきた。

ちなみに筆者は、スタート間もない時期のFCJに事務局員として参画。創成期のフェラーリ・ブランチでは見習いスタッフとして会場を走り回ったことも、今では楽しい思い出となっている。そんな折、2019年1月1日より日本唯一のフェラーリ本社公認クラブとなった「フェラーリ・オーナーズクラブ・ジャパン(FOCJ)」およびフェラーリ・ジャパンより、今年のフェラーリ・ブランチへのお誘いを受けた筆者は、新たな時代に移行するフェラーリ公認クラブと「ブランチ」を見届けたいという思いから、久方ぶりにお邪魔させていただくこととしたのだ。

2014年にFOCJが創立されて以来、昨2018年までのフェラーリ・ブランチは、同クラブの発起人の一人で、現在では顧問を務める松田コレクション主宰、松田芳穂氏との共同開催だったという。ところが、本年より松田氏本人の意向を受けてFOCJの単独主催という形式に移行。イベント名も「FOCJブランチ」に変更されることになった。

このことについて旧知の松田氏に伺ってみたところ、日本のフェラーリ愛好家の世代交代を図るためにも、非常に好ましいことと考えていると応えてくれた。また、FOCJの創立以来5年に亘って会長を務めている川崎徳来氏は、これまでの5年間にメンバーみんなで苦労を重ねて、ようやく現在のかたちにできたこと。

そして、日本唯一のフェラーリ本社公認クラブとなった今でも非常にアットホームなクラブであることを、熱意を込めて強調していた。

「半日限定のフェラーリ・ミュージアム」

「フェラーリ・ブランチ」改め「FOCJブランチ」には、関東・中部のみならず全国から約180台のフェラーリとそのオーナーが集結した。その大半はFOCJメンバーだったのだが、ここ数年はクラブメンバー限定イベントだったものが、今年からはフリー参加者にも門戸が開かれることになったという。しかし旧FCJ会員を含む大方のフリー参加者たちも、ここに改めてFOCJへの加入を希望したとのことである。

また参加車両の内容も素晴らしいもので、古くは1970年代初頭の365GTB/4デイトナやディーノ246GTなどに端を発し、「スペチアーレ」と呼ばれる限定モデルもF40、F50、エンツォ・フェラーリ、ラ・フェラーリなど。あるいは599GTOやF12TdFなど、ほぼ全モデルが揃い踏みを果たすことになった。
一方の最新モデルでは、松田氏のもとに数日前に納車されたばかりの車両をはじめとする複数の488ピスタやポルトフィーノなど、まだ日本国内での正式デリバリーが始まって間もないモデルたちに至るまでが並び、まさしく近現代の跳ね馬たちを集めた、半日だけの野外フェラーリ・ミュージアムの様相を呈していたのだ。

朝10時頃から三々五々ミュゼオ御殿場に集まってきたフェラーリとエントラントたちだが、ここで行われるのは美味しいランチを食べながら、仲間たちとフェラーリ談議に花を咲かせるのみ。お昼すぎには散会となる。でもそれがフェラーリ・ブランチの伝統であり、しかもとても和気あいあい。ハイエンドブランド愛好家の集まりとは信じがたいほどに長閑な雰囲気は、筆者が携わっていた創成期のFCJによるフェラーリ・ブランチと変わらない。川崎会長の言われたとおり、実にアットホームなクラブとして成長していることが確認できて、とても嬉しく思われたのである。
ところで、今回のブランチに参加されたフェラーリ・オーナーたちについては、もう一つ特記しておきたいことがある。この日御殿場の会場に向かう際、そして帰途にも利用した東名高速道路においてもブランチ参加車両と思しきフェラーリを数多く見かけたのだが、この種のスーパーカーがグループ走行する際にしばしば見られがちな品の無い走行。例えば三車線をまたぐかのように猛スピードで車線変更を繰り返したり、いわゆるあおり走行したりするような輩は、ただの一台として見られなかった。それどころか、車線変更してくる他車に対しても積極的に進路を譲るなど、とても紳士的な様子であった。

たまたま筆者が見かけたフェラーリ・オーナーに限定されたことだったのかもしれないが、FOCJブランチにおける好印象に加えて、こんな小さな出来事も「良いクラブ」という実感を再確認させてくれるには、充分な要因となったのである。
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