トリプルターボエンジンを搭載する車3選

エンジンというのはガソリンとエアクリーナーから取り込んだ空気を混ぜた混合気がピストン内で圧縮・爆発することで発生するエネルギーを利用して動き、駆動系に力を伝えることでクルマは走ります。よりパワーを求めるならピストンの容積が大きい、つまり排気量が大きいエンジンを搭載するか、ターボ(過給器)と呼ばれる排気ガスのエネルギーをタービンによって回収し、タービンと直結したコンプレッサーによってエンジンに吸入される空気をより圧縮することで多くの混合気をピストンに押し込み大きなパワーを得られます。

文・栗原淳

Chapter
トリプルターボエンジンを搭載する車3選
BMW M50d/750d XDrive
ボルボ ハイパフォーマンス・ドライブ-E エンジン
アウディ SQ7 TDI(本国仕様)
電動ターボはこれからのトレンドとなる

トリプルターボエンジンを搭載する車3選

近年ではただピークパワーを求めるだけではなく、燃費向上を目的に搭載されている低排気量エンジンのパワーを補助する「ダウンサイジングターボ」として利用されています。過給器の要であるタービンは回転数が落ちると圧縮する力も落ちてしまいパワーを発揮できません。これを「ターボラグ」といいます。

これはタービンが大きいほど顕著に出ます。それを回避するために、小さいタービンを2個装着し、ターボラグ低減と出力アップを狙ったツインターボがあります。

更に高出力を追求するために、トリプルターボやクワッドターボシステムを組み込んだエンジンなんかも登場しています。クワッドターボシステムを搭載したクルマというと、最高出力1500馬力、最高速420km/hを記録する「ブガッティ シロン」があります。

ではトリプルターボはどうでしょう?今回はトリプルターボシステムを採用しているクルマを紹介していきます。

BMW M50d/750d XDrive

BMW X6 M50d

BMWは、過去に日本未導入ですがSUV「M50d」、フラッグシップモデル7シリーズの「750d XDrive」には3.0L直列6気筒ディーゼルエンジン+トリプルターボのユニットが搭載されていました。

仕組みとしては2個の小型タービン+1個の大型タービンで、エンジンの回転域によって使い分けます。小型タービンは3気筒ごとの排気で可動するパラレルとなっています。

またこちらも日本未導入モデルですが、BMWのチューニングコンプリートカーを生産しているアルピナ社の「D5 S」というBMW 5シリーズをベースにしたコンプリートカーは、3つのターボチャージャーを搭載した3.0L直列6気筒ディーゼルエンジンを採用しています。

これはアルピナ独自のエンジンで全回転域でスムーズかつパワフルな加速を味わえるユニットで、最高出力388馬力、最大トルク800Nmと強力です。BMWそのものは、過去にトリプルターボエンジンを搭載したモデルがありました。小さなタービン2つと大きなタービン1つで回転域で使い分ける方式でした。

ちなみにBMWの多くの現行モデルに搭載されている「ツインパワー・ターボ・エンジン」は、ツインターボを指しているのではなく、タービンの排気ガス導入経路を2つにしてターボ圧が低い低回転域でも力を発揮できるようにした「ツインスクロールターボ」を指しています。

余談になりますが、アルピナの本国仕様の「XD3」と「XD4」(X3とX4をベースにしたモデル)には大小2個ずつのターボチャージャーを搭載したクワッドターボディーゼルエンジンを採用しています。

ボルボ ハイパフォーマンス・ドライブ-E エンジン

ボルボ ドライブ-E エンジン 4気筒 T6

スウェーデンの自動車メーカー・ボルボが低燃費・高性能をうたう新世代エンジン「ドライブ-E エンジン」。

2014年、同社の高性能モデルやモータースポーツ活動をサポートするポールスターと共同開発した「ハイパフォーマンス・ドライブ-E エンジン」は、2.0L 直列4気筒エンジンに3つのターボチャージャーを搭載しています。最高出力は450馬力、つまり1リッターあたり225馬力という高性能エンジンになります。

エンジン本体に組み合わせている3つのターボチャージャーのうち、2つは従来のツインターボエンジンと同じです。あと1つのターボチャージャーは排気ガスで動くのではなく電動なのです。2つのターボをサポートする形で作動し、ターボラグを最小限に留めながらさらなるパワーアップを実現しています。

アウディ SQ7 TDI(本国仕様)

アウディ SQ7 TDI

日本未導入モデルですが、アウディの大型SUV「SQ7 TDI」の2016年に発表された初代モデルには、最高出力435馬力/最大トルク900Nmを発揮する4.0L TDI(ディーゼル)エンジンが搭載されていました。

このエンジンのターボシステムは、先に紹介したボルボ ドライブ-E エンジンと似ており、低〜中負荷域で加給するターボと高負荷域用のターボに加えて電動式のコンプレッサーが装着されています。電動コンプレッサーは高負荷域のみ作動し力強いトルクを発揮します。

電動ターボはこれからのトレンドとなる

今回の記事で登場した、電動ターボのメリットは、回転数に応じてフレキシブルに作動できるので高効率で、排気ガスを利用するわけではないのでレイアウトの自由度が高い、といったものがあります。

一方デメリットとしては、重量、コスト、消費電力が挙げられます。電力については近年欧州車で導入が進んでいる48V駆動電源システムによって解消されつつあります。