フォルクスワーゲン ポロ GTIを試乗レビュー!GTIの古参ファンも満足な仕上がり?
更新日:2024.09.09
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今年6月8日、フォルクスワーゲン グループ ジャパン株式会社が日本国内市場に向けて新型「ポロ GTI」と「Up! GTI」、そしてゴルフ GTIの特別仕様車「ゴルフ GTI ダイナミック」を3台同時デビューさせたことは記憶に新しいことと思われるが、このほど早くも新型「ポロ GTI」のテストドライブを行う機会に恵まれた。
文・武田公実/Takeda Hiromi
文・武田公実/Takeda Hiromi
ポロ GTIを試乗レビュー①|「GTI」が支持され続ける理由
新型ポロ GTIのロードインプレッションに入る前に、まずはどうして「GTI」というブランドが長らく支持され続けているのか?あるいは、フォルクスワーゲンにとっての「GTI」がいかに重要なアイコンであるかについて解説させていただくことにしよう。
初代ゴルフ誕生の翌年に当たる1975年秋、その高性能モデルとして初の「GTI」、ゴルフ GTIがデビューした。スタンダードのゴルフでは最上級の1471cc版でも70psだったのに対して、GTIは1,582ccに拡大されたエンジンにボッシュ社製インジェクションを装備。
ほぼ6割増しに相当する110psのパワーと最高速度180km/h超級のスピードを獲得し、当時はまだ全線速度無制限だったアウトバーンでポルシェ911(2.7リッターのGシリーズ時代)やメルセデスSクラス(W116時代)などとも対等に渡り合うことにできる小型車として、デビュー早々から絶大な人気を得ることになる。
VWゴルフが「コンパクトハッチ」というカテゴリーのパイオニアであるように、「GTI」も「ホットハッチ」、かつては「ボーイズレーサー」と呼ばれたカテゴリーのパイオニア。さらに言うなら、例えばプジョー205や309に「GTI」を設定したように「GTI」というグレードそのものが、一つのカテゴリーとして認知されてゆくのだ。
初代ゴルフ誕生の翌年に当たる1975年秋、その高性能モデルとして初の「GTI」、ゴルフ GTIがデビューした。スタンダードのゴルフでは最上級の1471cc版でも70psだったのに対して、GTIは1,582ccに拡大されたエンジンにボッシュ社製インジェクションを装備。
ほぼ6割増しに相当する110psのパワーと最高速度180km/h超級のスピードを獲得し、当時はまだ全線速度無制限だったアウトバーンでポルシェ911(2.7リッターのGシリーズ時代)やメルセデスSクラス(W116時代)などとも対等に渡り合うことにできる小型車として、デビュー早々から絶大な人気を得ることになる。
VWゴルフが「コンパクトハッチ」というカテゴリーのパイオニアであるように、「GTI」も「ホットハッチ」、かつては「ボーイズレーサー」と呼ばれたカテゴリーのパイオニア。さらに言うなら、例えばプジョー205や309に「GTI」を設定したように「GTI」というグレードそのものが、一つのカテゴリーとして認知されてゆくのだ。
そしてこの「GTI」カテゴリーの拡大には、創造主であるフォルクスワーゲン自身も一役買うことになる。
ゴルフGTIは、現行のゴルフⅦまで各世代に設定されるのはもちろん、下位モデルの「ポロ」にも3代目前期時代の1998年に、先ずは欧州限定の限定車としてGTIが設定されたのち、3代目後期型からはカタログモデルとして各世代で用意。6代目に当たる最新モデルに至るまで「ポロ GTI」はシリーズのフラッグシップとなっている。
一方、2003年にはポロよりもさらに小さなAセグメントのスモールハッチ「ルポ」にもGTIが設定され、2006年まで販売。日本国内でも大きな人気を誇ったのである。
ゴルフGTIは、現行のゴルフⅦまで各世代に設定されるのはもちろん、下位モデルの「ポロ」にも3代目前期時代の1998年に、先ずは欧州限定の限定車としてGTIが設定されたのち、3代目後期型からはカタログモデルとして各世代で用意。6代目に当たる最新モデルに至るまで「ポロ GTI」はシリーズのフラッグシップとなっている。
一方、2003年にはポロよりもさらに小さなAセグメントのスモールハッチ「ルポ」にもGTIが設定され、2006年まで販売。日本国内でも大きな人気を誇ったのである。
ポロ GTIを試乗レビュー②|新型ポロGTIがデビュー!
かくのごとく、フォルクスワーゲンにとって文字どおりの名跡である「GTI」のニューカマーとして登場した新型ポロ GTIだが、予想どおりその名に相応しい速さと完成度を与えられてデビューしたようだ。
パワーユニットは、先代ポロ GTIの1.8リッター直噴ターボから2リッター直噴ターボに進化。これはゴルフ GTIと同じキャパシティながら、より世代が新しいエンジンとのこと。最高出力200ps/4,400~6,000rpmを発生するとともに、1,500~4,400rpmの広範囲で320Nmの最大トルクを発生するとのことである。
パワーユニットは、先代ポロ GTIの1.8リッター直噴ターボから2リッター直噴ターボに進化。これはゴルフ GTIと同じキャパシティながら、より世代が新しいエンジンとのこと。最高出力200ps/4,400~6,000rpmを発生するとともに、1,500~4,400rpmの広範囲で320Nmの最大トルクを発生するとのことである。
このスペック自体は最新の「ゴルフ GTI ダイナミック」の230ps/350Nmには劣るものの、ゴルフよりも90kgも軽い(DSG版で比較)1,290㎏のポロ GTIは、加速感が明らかにシャープであるとともに、フットワークも軽い。
また、この優れたこのフットワークをもたらしているだろうMQBアーキテクチャーの軽い車体は、同時に備えた剛性ゆえにサスチューンにも恩恵をもたらしている様子。もはや「リアアクスルが独立懸架ではない」なんて、アシの良し悪しを即断する理由とは言えないようだ。
例えばアスファルトがヒビだらけになっている箱根の旧道でも、後輪は路面をしっかりとらえ、トラクション能力に優れた前輪を巧みにサポートする。乗り心地だって、スタンダードの新型ポロと大差ない、実に快適なものである。
また、この優れたこのフットワークをもたらしているだろうMQBアーキテクチャーの軽い車体は、同時に備えた剛性ゆえにサスチューンにも恩恵をもたらしている様子。もはや「リアアクスルが独立懸架ではない」なんて、アシの良し悪しを即断する理由とは言えないようだ。
例えばアスファルトがヒビだらけになっている箱根の旧道でも、後輪は路面をしっかりとらえ、トラクション能力に優れた前輪を巧みにサポートする。乗り心地だって、スタンダードの新型ポロと大差ない、実に快適なものである。
ポロ GTIを試乗レビュー③|「GTI」としての素質をパーフェクトに満たす
やることなすこと優等生のポロ GTIに、もし注文を付けることがあるとすれば、現時点では本国でも設定が無いという6速MT版を早々に追加設定し、一日も早く日本導入を図ってほしい……!ということくらいか。つまり言いたいのは、マニュアルが欲しくなるほどのドライビングプレジャーの持ち主である、ということである。
先日、このCarMeに寄稿させていただいた新型ポロ TSI(スタンダードモデル)の試乗記では「かくしてセグメントBコンパクトの“世界基準”は、また一歩先の世界へと歩みを進めた」と締めくくったが、翻って新型ポロ GTIが、セグメントBホットハッチの世界基準を一歩進めるのは間違いないところである。
先日、このCarMeに寄稿させていただいた新型ポロ TSI(スタンダードモデル)の試乗記では「かくしてセグメントBコンパクトの“世界基準”は、また一歩先の世界へと歩みを進めた」と締めくくったが、翻って新型ポロ GTIが、セグメントBホットハッチの世界基準を一歩進めるのは間違いないところである。
古くからのファンが期待する、フォルクスワーゲンの「GTI」としての資質は、このポロ GTIならばパーフェクトに満たしていると言えるだろう。少なくとも、高速道路のスピードレンジが低い日本国内での使用状況では、ゴルフ GTIよりも好適と思われる。
ならば、これ以上に大柄でゴージャス、そしてパワフルなゴルフ GTIと言えばさらなる上の領域。誤解を恐れずに言えば、もはや高級グラントゥリズモの資質さえも帯びていると思うのである。
ならば、これ以上に大柄でゴージャス、そしてパワフルなゴルフ GTIと言えばさらなる上の領域。誤解を恐れずに言えば、もはや高級グラントゥリズモの資質さえも帯びていると思うのである。
武田公実|Takeda Hiromi
かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッドで営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、クラシックカー専門店などで勤務ののち、自動車ライターおよびイタリア語翻訳者として活動。また「東京コンクール・デレガンス」、「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントにも参画したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム」ではキュレーションを担当している。