マグネシウム、超超ジュラルミン、アルミ鍛造ホイールの違いを解説

ブカッティ ヴェイロン 16.4

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ホイールの軽量化は、昔からスポーツカーにとっての課題のひとつでした。最初にアルミホイールを装着したクルマとして有名なブガッティ タイプ35が誕生したのは1924年のこと。その後、第二次大戦を挟んで、1950年代になると、アルミにくわえてマグネシウムホイールも登場。現在では、ひと昔前には考えられなかったジュラルミンといった素材も使われるようになってきています。今回は、鉄やアルミ以外の金属素材を使ったロードホイールについて、長所と短所を紹介します。

文・吉川賢一
Chapter
マグネシウムホイール
超超ジュラルミンホイール
アルミ鍛造ホイール

マグネシウムホイール

マグネシウムホイールは軽量ホイールの代表で、その名の通り、マグネシウム合金がおもな材料です。マグネシウム合金は、重量がアルミニウム合金の約3分の2と、非常に軽量です。ロードホイールが軽くなることは、「ばね下重量」の軽量化になりますので、運動性能の向上に寄与します。

おもに、レーシングカーや軽量スペシャルモデルに採用されており、トヨタ 2000GTに純正装着されていたことは有名な話です。その他にも、ポルシェ 911 カレラRS(タイプ964)、フェラーリ F355、ポルシェ カレラGT、ブカッティ ヴェイロン 16.4などに装着されています。

デメリットは、腐食に弱い金属のため、傷がついて塗装や防錆処理が剥がれてしまうと、すぐに錆びてしまうこと。また、アルミニウムに比べて衝撃や負荷に弱く、耐久性の面でも劣ります。そのため、熱処理回数を増やし、表面処理の仕方を工夫するなどの取り組みがなされています。

ちなみに、販売当時”世界最速の車”としてギネスに認定されたブガッティは、「時速400キロクラスの速度に挑戦する際には、ホイールとタイヤを新品にすること」とアナウンスされていたそうです。

超超ジュラルミンホイール

超超ジュラルミンとは、アルミニウム合金の一種で、強度に優れたアルミニウム合金のなかでも、最高の強度と耐久性を持つアルミニウム7000系合金のA7075でできたロードホイールです。

ジュラルミンは、徹底した温度管理の下、熱を入れたり冷やしたりして生産されますが、ホイールのような複雑な形状になると、均一にジュラルミンを変化させることが難しく、量産化への障害となっていました。

しかし2011年、BBS社が、当時世界で唯一、その障害を乗り越え量産化に成功しました。軽さではマグネシウムホイールに分がありますが、強度・耐久性では超超ジュラルミンが勝ります。

デメリットは、水分、特に海水に腐食されやすいといったことですが、これは防錆処理対策が施されていますので、ホイールの場合はそれほど心配する必要はないでしょう。

アルミ鍛造ホイール

アルミは、スチールの約3分の1の比重で、熱伝導度は約4倍という素材です。そのため、アルミホイールはスチールに比べて軽量で、ブレーキディスクの熱を放熱しやすいという特性があります。

一般的なアルミホイールの製造法である鋳造では、高温で溶かした金属を鋳型に流し込みホイールの形に成形します。複雑なデザインに対応しやすく、大量生産できることから、コストを抑えやすいというメリットがある一方で、この製法では金属の密度が低いため強度が出しにくく、強度を出すためには各部の厚みが必要になり、結果、それほど軽量化につながらないという悩みが発生します。

それに対して鍛造は、素材を加熱し、大きな圧力をかけながら成形するプレス製法です。メリットとしては、圧力をかけながら成形する際に、金属がホイールの型に伸び固められるので密度が増し、薄くても、強く軽いホイールが作れることです。ただし、デザイン重視の複雑な形状を作るのは難しく、特殊な生産設備が必要で、コストが上がること。また、製造工程が多く、大量生産に不向きなことが欠点です。

軽さや強度などの機能性を重視する競技ユースなら鍛造、デザインやファッション性を重視する方には鋳造が好まれています。


これらのほかにも、さらに軽量で強度のあるカーボンファイバー製のホイールもあります。非常に高価なため、ケーニグセグ アゲーラSやポルシェ 911ターボS(エクスクルーシブシリーズ)、フォード GT、フェラーリ488ピスタといった特別なスーパーカーに、オプションとして用意されています。

今後は、どんな新素材を使ったホイールが出てくるのか、非常に楽しみですね。

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