各メーカーのフロントグリルの特徴は?

アルファロメオ ジュリア

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BMWのキドニーグリル、ボルボのアタッチメントバーなど、プレミアムメーカーでは当たり前になったクルマのフロント部の意匠合わせ。さらに最近では、レクサスのスピンドルグリルやアウディのシングルフレームグリルなど、同じコンセプトのグリルを装着するようになっています。今回は、特徴的なグリルを付けているメーカーを、9社紹介します。

文・吉川賢一
Chapter
BMW:キドニーグリル
アウディ:シングルフレームグリル
アロファロメオ:盾形グリル
ボルボ:アイアンマーク
ジープ:丸型ヘッドライト&縦7本のスリット
テスラ:グリルレス
ランチア:T型グリル
レクサス:スピンドルグリル
マツダ:逆さ5角形グリル

BMW:キドニーグリル

フロントグリルといえば、BMWの「キドニーグリル」が有名でしょう。

BMWはキドニーグリルを、セダンやSUV、クーペはもちろん、ル・マン24時間耐久レースに出場したレーシングマシンに至るまで、一貫して使い続けています。その効果は、クルマ好きならBMWは一目でそれとわかるほど。それほどユーザーにも、キドニーグリルのイメージは定着しています。

このキドニーグリルを最初に使用したモデルは、1933年にデビューした303。それから現在にいたるまで、縦横比や大きさを変えながら使用されてきました。

最新のキドニーグリルの意匠は、X2に採用されたフレーム外側が凸形状になったものです。2018年3月に公開された、コンセプトM8グランクーペも同様のグリル意匠をまとっており、今後のBMWグリルの方向性を表しています。

ちなみに、本来グリルを必要としない電気自動車、i8とi3にもキドニーグリルが使用されていますが、通気のための穴はありません。

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アウディ:シングルフレームグリル

フォーシルバーリングスと呼ばれる4つの輪を組み合わせたエンブレムは、かつてのアウトウニオン(自動車連合)のエンブレムのデザインを加工したもので、アウトウニオン設立に参加した4社の団結を象徴しています。

グリル形状は、2000年代前半は上下二段のダブルでしたが、その後2005年頃から、現在の「シングルフレームグリル」へと変化し、そこから現在まで、アウディのアイデンティティとなっています。

エントリーグレードのA1から始まり、A4、A6、A8などの高級セダン、Q5やQ7などのSUV、そしてR8といったスポーツカーまで、面積や形状は車種ごとにアレンジをしながら、共通の形状を採用しています。

アロファロメオ:盾形グリル

逆三角形の盾形をしたグリルでおなじみのアロファロメオ。グリル上部にあるエンブレムは、ミラノ市の市章である白地に赤の十字架と、かつてミラノを支配したヴィスコンティ家の紋章である、サラセン人を呑み込む大蛇ビッシオーネを組み合わせたものです。

このグリル形状は、なんと1937年の8C 2900に装着されていました。このころはまだ、はっきりとした盾形ではありませんが、下部が鋭角になったデザインです。その後、逆三角形の大きさや、角度など、少しずつ形状を変えながら、同様のコンセプトのグリルを採用してきました。

このグリルデザインは、最新のジュリアからミドシップスポーツカーの4C、コンパクトカーのミトまで、装着されています。ボディサイズや形状を問わず、同様のグリルが採用されているので、街で見かければすぐにアロファロメオと認識することができ、ブランドの浸透におおいに役立っています。

ボルボ:アイアンマーク

スウェーデンの自動車メーカーであるボルボは、1926年に誕生。“ボルボ設計の基本は常に安全でなければならない”という理念をもとに、世界一安全なファミリーカーと評価されてきました。

丸と矢印を組み合わせたロゴは「アイアンマーク」と呼ばれており、スウェーデンでは製鉄を表すマークとしても古くから知られています。そのマークをセンターに、グリルの対角線をつなぐように配置されたアタッチメントバーが、ボルボ車のアイデンティティです。

この意匠を最初に使ったのは、1927年に初めて量産されたOV4(ヤコブ)で、当初のアタッチメントバーはアイアンマークをグリルセンターに配置するために用いられたものでした。

その後、アタッチメントバーが無い時代を経て、現在は乗用車からトラックまで、同様のデザインがフロントに使用されています。

ジープ:丸型ヘッドライト&縦7本のスリット

ジープの文字エンブレムはシンプルですが、丸型ヘッドライトに縦7本のスリットが刻まれたグリルがジープのアイデンティティです。

スリットの長さは、車種によってバラバラですが、昨今の大型ヘッドライトと合わさったことで、迫力あるフロントフェイスを形成しています。こちらも、ひと目見れば、ジープだとわかるデザインです。日本でも発売されているレネゲート、コンパス、ラングラー、ゲランドチェロキーにも、もちろん7スリットグリルが採用されています。

ちなみにジープは、第2次大戦の連合国軍の軍用車として開発され、その高い耐久性と悪路走破性で、陸上軍事戦でも大変重用されました。その後、このタイプの形状をした車種の総称として"ジープ"という名前が知れ渡るほど有名になったのです。

テスラ:グリルレス

アメリカ合衆国にあるシリコンバレーを拠点に、EVを開発している自動車メーカー テスラ。このメーカーの特徴は、グリルレス。現在、テスラのラインナップにあるモデルS、モデルX、モデル3ともに、このグリルレスが採用されています。

EVなのでエンジンを冷却するラジエーターを装着する必要がないためグリルも必要なく、つるっとしたフロントマスクは、はるか昔に描いていたEVそのものです。

ちなみに、同じEVである日産リーフや、GMのボルトのグリルデザインは、従来のエンジン付き自動車に似せた意匠を採用しています。ただし、エンジンルームとは貫通しておらず、従来のエンジン車のデザインとかけ離れないよう、違和感を極力なくすデザインを織り込んでいます。

ランチア:T型グリル

ランチアは現在、イタリア国内でのみ販売しているメーカーです。ランチアはイタリア語で「槍」という意味であり、ロゴの中央にはLANCIAの文字が配置されています。ストラトスや、デルタインテグラーレなど、WRCでの活躍によって、その名前を覚えている方もおられるかも知れません。

ランチアのグリルは、上側中央にブランドロゴを配置し、そのロゴを中心にT字型をかたどったグリル形状をしています。このスタイルが最初に使用されたのは、1933年ごろ。ただしBMWやアルファロメオほどのこだわりはなかったのか、レース用車両には使われていません。

ちなみに、現在のグリルにはTを型どる縦の棒が消えています。

レクサス:スピンドルグリル

トヨタの高級車チャンネルのレクサスは、2012年ごろからスピンドルグリルという、砂時計のような形状のグリルを採用しました。

現在その形状は、派手さを増してきており、これ以上ないくらいにフロントバンパーを覆うようになりました。新型LSもまた巨大なスピンドルグリルを装着しており、大迫力な顔つきをしており、賛否両論の対象となっています。

市場にインパクトを与えるという目的は達成しており、この意匠を長く続けていくことで、さらに印象付けることができていくと思われます。

マツダ:逆さ5角形グリル

マツダは、積極的にグリルの意匠を合わせています。5角形のグリルの中央にマツダエンブレムを配置し、これをコンパクトーカーのデミオから、大型SUVのCX-8まで、同様のコンセプトを織り込んでいます。ちなみにマツダは、テーマカラーもレッドで統一しており、日本メーカーのなかでは統一感を狙った、稀有な存在のメーカーです。

唯一、ロードスターのみエンブレムの中央配置を採用していませんが、ナンバープレートのレイアウトのためにスペースを作り、フロントのデザインを低く構えようと割り切ったと考えられます。

グリルはブランドの統一感を高めるために、おおいに役立っています。あなたはどのメーカーのグリルがお気に入りですか?

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