サスペンションのショックアブソーバーの機能って?
更新日:2024.09.09
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自動車のサスペンションというと、コイルスプリングやスタビライザー、アーム等を思い浮かべる方が多いと思います。さらに、振動を吸収するものは?というと、ショックアブソーバーが浮かぶのではないでしょうか。今回は、このショックアブソーバーが、どういった役割を持っているのか、見ていきましょう。
ショックアブソーバーの機能とは?
凸凹のある道や、車道と歩道との間の段差などを走ると、タイヤから衝撃が入ります。クルマはこの衝撃を、コイルスプリングを縮めることで吸収します。ただしコイルスプリングは、いったん収縮すると元の位置に戻ろうと反発し、ボディを跳ね上げようとします。
スプリングだけでは、この一度付いた勢いは簡単に収まることなく、伸縮が繰り返されることになり、クルマはボヨンボヨンと上下に揺れながら進むことになります。この余分な振動を早く抑えて、ボディを安定させるのがショックアブソーバーの役割です。
スプリングだけでは、この一度付いた勢いは簡単に収まることなく、伸縮が繰り返されることになり、クルマはボヨンボヨンと上下に揺れながら進むことになります。この余分な振動を早く抑えて、ボディを安定させるのがショックアブソーバーの役割です。
ショックアブソーバがもつ3つの大切な役割
ひとつめは、先述したように、ボディの余計なふわふわした振動を抑制し、乗り心地を確保することです。コイルスプリングの揺れがいつまでも続くと、最悪、車酔いの原因となります。
ボディに入る衝撃をいなして縮んだコイルスプリングの振動を、できるだけ早く収斂させることで、すっきりとした乗り心地を得ることができます。
もうひとつの役割は、接地荷重の減少を抑え、走行安定性を高めることです。もし先ほどの振動が起きると、タイヤが地面と接地するところでの荷重(接地荷重)が抜け、タイヤのグリップ力が低下することで走行安定性が損なわれることになります。
たとえば、大きなうねりのある道を走ると、車体が左右にぶれたり、ハンドルの操舵力が低下したりと、怖い現象がおきます。接地荷重が抜けないよう、しっかりとサスペンションをストロークさせてタイヤを地面に追従させる役割を、ショックアブソーバーが担っています。
また、ブレーキをかけたときに、フロントが沈む動き(速さ)を抑え、クルマは安定した姿勢で減速できるようにもなります。昔のドラマで、急ブレーキを踏んだクルマが、大きく前のめりになってしまうのは、このショックアブソーバーが原因のひとつです。
ボディに入る衝撃をいなして縮んだコイルスプリングの振動を、できるだけ早く収斂させることで、すっきりとした乗り心地を得ることができます。
もうひとつの役割は、接地荷重の減少を抑え、走行安定性を高めることです。もし先ほどの振動が起きると、タイヤが地面と接地するところでの荷重(接地荷重)が抜け、タイヤのグリップ力が低下することで走行安定性が損なわれることになります。
たとえば、大きなうねりのある道を走ると、車体が左右にぶれたり、ハンドルの操舵力が低下したりと、怖い現象がおきます。接地荷重が抜けないよう、しっかりとサスペンションをストロークさせてタイヤを地面に追従させる役割を、ショックアブソーバーが担っています。
また、ブレーキをかけたときに、フロントが沈む動き(速さ)を抑え、クルマは安定した姿勢で減速できるようにもなります。昔のドラマで、急ブレーキを踏んだクルマが、大きく前のめりになってしまうのは、このショックアブソーバーが原因のひとつです。
最後は、ハンドリング時の操舵の効きを良くすることです。ちょっと難しくなりますが、ハンドルを左右に切ると、クルマには横加速度が発生し、車体はロール運動を起こします。
その際、前後の外輪側に荷重が移動し、外輪側タイヤのコーナリングフォースが増します(逆に、内輪側は荷重が抜け、コーナリングフォースは減ります)。
この接地荷重の変化をコントロールするのも、ショックアブソーバーの役割。さらに前後輪のショックアブソーバーをチューニングすることで、オーバーステア傾向やアンダーステア傾向を作り出すことができます。
その際、前後の外輪側に荷重が移動し、外輪側タイヤのコーナリングフォースが増します(逆に、内輪側は荷重が抜け、コーナリングフォースは減ります)。
この接地荷重の変化をコントロールするのも、ショックアブソーバーの役割。さらに前後輪のショックアブソーバーをチューニングすることで、オーバーステア傾向やアンダーステア傾向を作り出すことができます。
ショックアブソーバの”減衰力”とは?
上記のような役割のあるショックアブソーバーの内部は、本体の筒にオイルが入っていて、その筒のなかをピストンが移動してます。このピストンには小さな穴があけられており、サスペンションがストロークすることで、ピストンの穴をオイルが通過し、そのときの抵抗が「減衰力」となります。
また、ピストンの移動速度が速いほど「減衰力」は2次関数的に大きくなります。ただし実際は、ある程度のピストン速度で、減衰力が飽和するように解放バルブ特性を決めています。
たとえば、突起を通過するような、瞬間的に大入力が入るピストン速度のときに、減衰力が高すぎると、ストロークを妨げて車体を突き上げ、乗り心地が悪化してしまいます。
この減衰特性を適切に決め、ハンドリングと乗り心地をバランスさせることが、エンジニアの腕の見せどころ。ショックアブソーバーは、単に硬くすればよいというものではなく、適切な設計がなされてこそ、ハンドリングと乗り心地とを高度に両立できるのです。
また、ピストンの移動速度が速いほど「減衰力」は2次関数的に大きくなります。ただし実際は、ある程度のピストン速度で、減衰力が飽和するように解放バルブ特性を決めています。
たとえば、突起を通過するような、瞬間的に大入力が入るピストン速度のときに、減衰力が高すぎると、ストロークを妨げて車体を突き上げ、乗り心地が悪化してしまいます。
この減衰特性を適切に決め、ハンドリングと乗り心地をバランスさせることが、エンジニアの腕の見せどころ。ショックアブソーバーは、単に硬くすればよいというものではなく、適切な設計がなされてこそ、ハンドリングと乗り心地とを高度に両立できるのです。
吉川賢一
モーターエンジニア兼YouTubeクリエイター。11年間、日産自動車にて操縦安定性-乗心地の性能技術開発を担当。次世代車の先行開発を経て、スカイラインやフーガ等のFR高級車開発に従事。その後、クルマの持つ「本音と建前」を情報発信していきたいと考え、2016年10月に日産自動車を退職。ライター兼YouTube動画作成をしながら、モータージャーナリストへのキャリア形成を目指している。