埋もれちゃいけない名車たち VOL.18 1台で4つのライフスタイルを演出「日産 エクサ」
更新日:2024.09.09
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ヒトには帰属意識というものがあって、意識的であるにせよ無意識であるにせよ、例えば会社だとか家庭だとかあるいは民族だとか、そうした何らかの組織に自分が含まれていることである種の安心感を覚えるもの……らしい。
text:嶋田智之 [aheadアーカイブス vol.134 2014年1月号]
text:嶋田智之 [aheadアーカイブス vol.134 2014年1月号]
VOL.18 1台で4つのライフスタイルを演出「日産 エクサ」
そのせいか、対象がなんであれ、どこかに帰属してるモノはすんなりと認め、逆に何にも帰属しないモノは〝得体が知れない〟と判断して、訝しがったりする傾向がある。特に僕達日本人は何かにつけて、枠や型にハメ込みたがる。
それは安土桃山時代に秀吉が治安維持のための五人組制度を導入した頃も、本当に得体の知れないヒトがたくさんいる現在も、あまり変わってない。
けれどこの日本から、そうしたカテゴライズだとかジャンル分けみたいな小さく狭いモノに囚われがちな僕達の意識を気持ちよーく飛び越えたような、自由な心から創造されたクルマが生まれたことがあった。1986年登場の日産エクサである。
このクルマ、何がおもしろかったかといえば、とにもかくにもそのコンセプトである。1台のクルマをクーペ、ステーションワゴン、ピックアップトラック風、さらにはセミオープンカーとしても活用できるように考えられていたのだ。
その正体、基本構成としては、リアクォーターウインドーを残し、その窓の上端辺りからガバッと大きく開くハッチバックのボディ。他のハッチバック達とどこが決定的に異なっていたのといえば、そのテールゲートが2種類用意されていたこと、である。
つまりスラントしたフロントノーズにマッチしたノッチバック風のテールゲートが着いてるときにはあくまでもスポーティなクーペであり、〝キャノピー〟と呼ばれるワゴン風の四角いテールゲートに付け替えれば2ドアのワゴンに変身。
テールゲートを取り外せばピックアップトラックのように使うこともでき、ゲートと一緒にTバールーフを取り外せば開放感の高いセミオープンカーにも早変わり。1台で4台分のライフスタイルを演出できる、類稀なサブコンパクトカーとして評価され……るはずだった。本来ならば。
呆れたことに当時の日本のお役人達は今より遥かに頭がコチコチで、北米やオーストラリアでは問題なく認められたこの楽しい簡易型テールゲート着脱機構は、国内では認可が下りなかった。そのため日本仕様では、テールゲートがガッチリと固定された〝エクサ・クーペ〟と〝エクサ・キャノピー〟という別々のモデルとして市販されたのだった。
〝前例がない〟というコトナカレ主義が根底にあるお役所仕事につぶされはしたものの、あの時代に日産という大きな自動車メーカーからこんな素晴らしいアイディアを含んだ意欲作が生まれたことを、僕達は大いに賞賛するべきだろうと思う。
それは安土桃山時代に秀吉が治安維持のための五人組制度を導入した頃も、本当に得体の知れないヒトがたくさんいる現在も、あまり変わってない。
けれどこの日本から、そうしたカテゴライズだとかジャンル分けみたいな小さく狭いモノに囚われがちな僕達の意識を気持ちよーく飛び越えたような、自由な心から創造されたクルマが生まれたことがあった。1986年登場の日産エクサである。
このクルマ、何がおもしろかったかといえば、とにもかくにもそのコンセプトである。1台のクルマをクーペ、ステーションワゴン、ピックアップトラック風、さらにはセミオープンカーとしても活用できるように考えられていたのだ。
その正体、基本構成としては、リアクォーターウインドーを残し、その窓の上端辺りからガバッと大きく開くハッチバックのボディ。他のハッチバック達とどこが決定的に異なっていたのといえば、そのテールゲートが2種類用意されていたこと、である。
つまりスラントしたフロントノーズにマッチしたノッチバック風のテールゲートが着いてるときにはあくまでもスポーティなクーペであり、〝キャノピー〟と呼ばれるワゴン風の四角いテールゲートに付け替えれば2ドアのワゴンに変身。
テールゲートを取り外せばピックアップトラックのように使うこともでき、ゲートと一緒にTバールーフを取り外せば開放感の高いセミオープンカーにも早変わり。1台で4台分のライフスタイルを演出できる、類稀なサブコンパクトカーとして評価され……るはずだった。本来ならば。
呆れたことに当時の日本のお役人達は今より遥かに頭がコチコチで、北米やオーストラリアでは問題なく認められたこの楽しい簡易型テールゲート着脱機構は、国内では認可が下りなかった。そのため日本仕様では、テールゲートがガッチリと固定された〝エクサ・クーペ〟と〝エクサ・キャノピー〟という別々のモデルとして市販されたのだった。
〝前例がない〟というコトナカレ主義が根底にあるお役所仕事につぶされはしたものの、あの時代に日産という大きな自動車メーカーからこんな素晴らしいアイディアを含んだ意欲作が生まれたことを、僕達は大いに賞賛するべきだろうと思う。
日産 エクサ
最初の“エクサ”は小型車パルサーのクーペ版として“パルサー・エクサ”を名乗ったが、2代目は完全な独立車種として1986年にデビュー。
最大の特徴はリトラクタブルヘッドランプを持つモジュラー型ボディであり、日本国内では認可が下りなかったものの、海外ではユーザーが自由に“着せ替え”を楽しめるということで人気を博した。
ちなみに日本仕様は1.6の直4DOHCエンジンを搭載、適度にクイックなハンドリングもあって、スポーティな走りが楽しめるモデルでもあった。残念ながら販売台数も少なく、今や希少車である。
最大の特徴はリトラクタブルヘッドランプを持つモジュラー型ボディであり、日本国内では認可が下りなかったものの、海外ではユーザーが自由に“着せ替え”を楽しめるということで人気を博した。
ちなみに日本仕様は1.6の直4DOHCエンジンを搭載、適度にクイックなハンドリングもあって、スポーティな走りが楽しめるモデルでもあった。残念ながら販売台数も少なく、今や希少車である。
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text:嶋田智之/Tomoyuki Shimada
1964年生まれ。エンスー系自動車雑誌『Tipo』の編集長を長年にわたって務め、総編集長として『ROSSO』のフルリニューアルを果たした後、独立。現在は自動車ライター&エディターとして活躍。
text:嶋田智之/Tomoyuki Shimada
1964年生まれ。エンスー系自動車雑誌『Tipo』の編集長を長年にわたって務め、総編集長として『ROSSO』のフルリニューアルを果たした後、独立。現在は自動車ライター&エディターとして活躍。