オンナにとってクルマとは Vol.38 タッチパネル・シンドローム

オンナにとってクルマとは

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「次にクルマを買う時は、絶対にタッチパネルのクルマにします」と宣言したのは、ファッション誌の編集をしている20代女性だ。現在はクルマを持っていないが、実家のクルマはスイッチが小さくてゴチャゴチャとたくさんあって、すごく使いにくいんだとか。

text:まるも亜希子  [aheadアーカイブス vol.132 2013年11月号]
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Vol.38 タッチパネル・シンドローム

Vol.38 タッチパネル・シンドローム

この女性だけでなく、今、私のまわりにいる女性たちはタッチパネルに夢中だ。軽自動車やコンパクトカーのオーディオやナビでも、スマートフォンのように操作できることがウリのひとつになっている。

ところが最先端とかプレミアムとか言われるクルマたちには、タッチパネル離れが起こっていると感じる。ダイヤルなどを指で動かしながら、その手元をいっさい見ることなく、画面を見て操作できるというインターフェースが増えてきた。

「メルセデス・ベンツ」や「アウディ」、「BMW」、「レクサス」といったプレミアムブランドに加えて、今度はマツダが新しいアクセラから導入するという。

はっきり言って、私はアレがどうも苦手だ。彼女たちも、タッチパネルの時には触って試してみるものの、ダイヤルには手を出したことがない。視線と手元が別々で、どっちにも意識がいってしまうから集中できないし、画面に出てくる選択肢にカーソルを合わせて、OKボタンを押したら次の選択肢が出てきて、またカーソルを合わせてOKを押して……と、かなりまどろっこしく感じてしまう。

以前、1週間ほどそうしたクルマと過ごした時には、あまりの苦痛にナビを使うことをあきらめ、アイフォンのアプリで代用した。やはり私も彼女たち同様、タッチパネルが好きだ。

ただ、子供はちがう。小学6年生の姪はすぐにダイヤル操作を覚え、面白いと言って乗るたびに「やらせて」と操作していたし、中学生の甥も一発でほぼ完璧に操作をこなしてみせた。

子供の頃は男女とも、こうした最新のインターフェースに興味津々で、すぐに操作をこなせる素質を持っているのかもしれない。でも、ある年齢を過ぎると男性はそのまま興味と素質を維持し、女性は拒絶するようになるか、退化してしまうのだろうか。インターフェースと女性の謎が、なにかありそうだ。

家電などにヒントがあるかもしれないが、リアルな女性たちの感覚と、クルマのAV関係インターフェース最前線との間に、これ以上の溝ができないように願うばかりである。

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text:まるも亜希子/Akiko Marumo
エンスー系自動車雑誌『Tipo』の編集者を経て、カーライフジャーナリストとして独立。
ファミリーや女性に対するクルマの魅力解説には定評があり、雑誌やWeb、トークショーなど幅広い分野で活躍中。国際ラリーや国内耐久レースなどモータースポーツにも参戦している。
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