ルノー的 クルマ生活

アヘッド ルノー

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取材で、そしてプライベートでルノーに乗りながら思うのは、柔らかいブランドということだ。シートや乗り心地のことだけを言っているのではない。もちろんそれらもソフトタッチだけれど、もっと根源的な部分、クルマ作りの考え方が柔かい。モノづくりというハードな部分だけでなく、バックグラウンドにある生活や社会といったソフトな部分まで考えているような気がする。

text:森口将之 photo:長谷川徹 [aheadアーカイブス vol.151 2015年6月号]
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ルノー的 クルマ生活

ルノー的 クルマ生活

チーフデザイナーのローレンス・ヴァン・デン・アッカーが提唱した「サイクル・オブ・ライフ」、クルマと人のつながりを描いたデザイン戦略は、その象徴だろう。

人の一生とラインアップをつなげて考えるというコンセプトを最初に聞いたとき、なんともスケールの大きな話だと思ったけれど、僕たちはクルマそのものだけでなく、クルマと共に過ごす生活、つまりカーライフにも魅力を感じて愛車を迎え入れるわけで、理に叶ったコンセプトじゃないかと思うようになった。

そこで描かれるカーライフは、たとえば恋人同士でいるときと、結婚し子供ができたときでは違う。だからパッケージングやデザインも別物になる。

カップルとファミリーでクルマに求めるものが違うのだから当然だ。逆にスポーツモデルからミニバンまで共通のデザインで統一するようなブランドには違和感を覚える。

クルマはドライバーひとりのものじゃない。パートナーやファミリーと時間や空間を共有しながら移動を楽しむツール。だからライフスタイルに合わせたデザインを提案するルノーに、ひとりの人間として共感できる。

グレード名にも注目だ。R.S.やGTラインなど、スポーツモデルには分かりやすい称号を与える一方で、それ以外の車種についてはインテンスやゼンといった言葉を起用している。

ちなみにインテンスは「熱烈な」、日本語の禅がルーツのゼンは「冷静な」という意味。人の気持ちを表す言葉を使っている。生活に寄り添うブランド、ルノーらしい。

走りではまずダウンサイジングターボの扱いやすさを挙げたい。同じクラスのライバルと乗り比べると、ルノーのターボはとにかく唐突感がない。3気筒も4気筒も、気がついたら効いていたというフィーリングだ。

ルノーはF1やWRCなどモータースポーツの頂点でいち早くターボエンジンを導入し、勝利につなげてきた。こうした経験も生きているはずだ。

でもその技術を活かすも殺すも人間次第。幸せなカーライフを送ってもらいたいという気持ちが、スペック第一ではなく人間第一と言えそうなターボエンジンに宿っているような気がする。

しかもトランスミッションにはデュアルクラッチタイプを積極的に投入。国産車から乗り換えた人でも、リラックスした気分の中でその恩恵を味わえる。

乗り心地についてもう少し踏み込んでチェックしてみると、柔らかいだけでなく、揺れないことにも気付く。そして速度を上げた際の直進安定性に優れている。どちらも数字で表すのが難しい性能だが、快適性には大きく寄与している。

だからドライビングを楽しめる。疲れる楽しさではない。疲れないから楽しめるのがルノースタイルなのである。

ルノーのクルマ作りはとにかく自然体だ。日々の生活がそのままクルマになったかのような、ナチュラルな手触りにあふれている。もちろんクルマは機械だから、ここまで人に寄り添うキャラクターに仕立てるには、大変な努力が必要とされるはず。

でもルノーは、この難しいテーマを探求し続ける。だからドライバーもパッセンジャーも、老いも若きも、女性も男性も、国産車派も輸入車派も、クルマに乗ったすべての人が移動の喜びを味わえる存在であり続けているのだろう。
フランスのタブロイド紙をイメージしたという『RENAULT PRESSE』(ルノープレス)は、正規ディーラーでルノーを購入したユーザーに送付されている。

クルマに関わる情報だけではなく、「花」や「チョコレート」など、クルマとは直接関係のない話題を通して、フランス的な生活を垣間見られる内容となっている。

「ルノーと暮らすと、日常生活がちょっと豊かになる」そんなことが感じられる内容。ルノーユーザーでなくても、ルノーの正規ディーラーで無料で入手できる。

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text:森口将之/Masayuki Moriguchi
1962年東京生まれ。モータージャーナリスト&モビリティジャーナリスト。移動や都市という視点から自動車や公共交通を取材し、雑誌・インターネット・テレビ・ラジオ・講演などで発表。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、グッドデザイン賞審査委員を務める。著作に「パリ流 環境社会への挑戦」「これから始まる自動運転 社会はどうなる!?」など。
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