オンナにとってクルマとは Vol.74 「よろしくメカドック」

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目の前でいつになく興奮している夫の話に、まったくピンとこないままだったある日の夕食どき。なにやら、約30年前に夫が夢中になって読んだマンガ、『よろしくメカドック』がHONDA COMICSとして復活したらしい。同じくマンガの大ファンだった、ホンダのとある広報マンの熱意で実現した新たなストーリーで、その広報マンの愛車が登場していることをしきりに羨ましがっていた。

text : まるも亜希子 [aheadアーカイブス vol.168 2016年11月号]
Chapter
Vol.74 「よろしくメカドック」

Vol.74 「よろしくメカドック」

もちろん、自動車メディア業界に20年もいれば、『よろしくメカドック』という人気マンガがあったことは知っていたし、ほかにも『サーキットの狼』『湾岸ミッドナイト』『頭文字D』といったマンガを崇拝しているほぼ同年代の男性も、身近にたくさんいる。

私が子どもの頃に、発売日が待ちきれないほど夢中だったマンガといえば、『なかよし』『リボン』などの月刊少女マンガ誌に連載されていたものたち。魔界のプリンセスと人間界の男性との恋を描いた『ときめきトゥナイト』や、バスケットボールを通したラブストーリーの『月の夜 星の朝』なんかはとくにドップリと浸っていたのを思い出す。

でもそういえば、その中に憧れを抱くようなクルマが出てきた記憶はまったくない。バイクが出てくる『ホットロード』、スポーツがテーマの『キャプテン翼』や『タッチ』にはかなり熱中したのに、なぜかクルマが主役のマンガたちは素通りしてきてしまった。

遅ればせながらそうしたマンガたちをいくつか読んだのは、社会人になってから。さすがに夢中にはなれなかったけれど、ちゃんとそれぞれの面白さは伝わってきた。

それは、どれもクルマを媒介としてはいても、描かれているのは友情や愛憎、あきらめずに努力する素晴らしさやチャレンジ精神。私が夢中になっていたマンガたちと、根底に流れるものはほとんど変わらない世界だったからだ。きっと子どもの頃に読んでいたら、私も熱中しただろうなと想像はつく。

そして、例えば『キャプテン翼』でオーバーヘッドキックを決める時の迫力ある描写と同じように、ロータス・ヨーロッパがとんでもないターンを決める描写が興奮をあおる。

「実際はこうはいかないでしょう」と頭のどこかでは分かっていても、マンガの良さはその描写の隙間に自分なりの妄想が加えられるところ。読み進む間合いも、効果音の響きも決めるのは自分。だから、より深く心に刻まれるのかもしれない。

件の『よろしくメカドック』は、ホンダの販売店で配布しているという。懐かしさに涙する大人たちだけでなく、男の子も女の子も、たくさんの子どもの目に触れるといいなと思う。

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まるも亜希子/Akiko Marumo
エンスー系自動車雑誌『Tipo』の編集者を経て、カーライフジャーナリストとして独立。ファミリーや女性に対するクルマの魅力解説には定評があり、雑誌やWeb、トークショーなど幅広い分野で活躍中。国際ラリーや国内耐久レースなどモータースポーツにも参戦している。

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