モタスポ見聞録 Vol.6 サンデーレースのあり方

アヘッド サンダーレース

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ナンバー付きのいわゆるNゼロと呼ばれるカテゴリーのレースにいま僕は参戦している。モータースポーツ界の裾野を広げているといっていいそのクラスのクルマは、保安基準にも適合しており一般道を走ることも可能。おかげでサーキットへの往復はレースカーで行き来ができるし、それを自宅ガレージに収めることだってOKなのだ。

text/photo:橋本洋平 [aheadアーカイブス vol.178 2017年9月号]
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Vol.6 サンデーレースのあり方

Vol.6 サンデーレースのあり方

だからこそレースに復帰してみようと再挑戦を始めた。理由はアラフォーに差し掛かった時、自らのドライビングの衰えを感じたからだ。職業柄、仕事で新型車をサーキットで走らせることが度々あるのだが、その際に走り出しですぐにクルマを乗りこなせない自分がいたのだ。このままではマズい……。そんな思いを抱いていたところに登場したのが、GAZOO Racing 86/BRZ Raceだった。

ディーラーに駆け込み、ローンで購入した86には、はじめは多少の協賛スポンサーのステッカーが貼られるくらいだったが、次第に協力して頂ける企業が広がり、いまでは本格的なレーシングカーのような出で立ちになった。

周囲にも見た目は同様のクルマは多く存在するが、ドライバー自らがオーナーだというクルマは稀だ。新車ディーラーやスポンサーが所有者であるレースカーは、万全なメンテナンスとクラッシュ時の修復などは朝飯前。サーキットの往復はもちろん積載車という力の入れようだ。

こうなると僕もそれに対抗しようと無理をして体制はエスカレート。クルマを万全にしておこうとメンテナンスにお金を注ぎ、移動するのは各部を温存するために積載車(運転は自分だが……)。おかげでアマチュアドライバーが参戦するクラブマンクラスではあるが、昨年は優勝することができたし、今年は表彰台に乗る機会も多くなっている。

レースは接近戦が当たり前で、つい先日は他車との接触によってクルマが壊れてリタイアという事態に巻き込まれた。勝つことに拘り、だからこそレースをするのではあるが、ここまでシビアな世界に足を突っ込んで果たして良かったのだろうか? 動かなくなった愛車を前に、いまそんな疑問と壁にぶつかっている。

せっかくのナンバー付きでありながら公道を走らず、本来はホノボノした世界のアマチュアレースのはずが、プロさながらにギスギスした争いを行っている現状は疑問だ。5シーズン目に突入し参加者が成熟したからこその悩みなのだろうが、明らかにエスカレートしすぎだ。主催者は自走で来ることを義務付けたり、ペナルティの取り方も見直すべきだ。

僕ら参加者も考え直す時に差し掛かっているのは言うまでもない。レースがしたい、勝利を掴みたい、そんな気持ちを持つ前に、一人のクルマ好きだった自分を思い返す必要があると思う。

子供のころから英才教育をされたプロのレーシングドライバーの中には、クルマ自体には一切興味がないという人もいる。けれども、少なくとも僕らサンデーレーサーは違うはず。戦うクルマだが、もっとクルマに愛を持ってドライバーは接するべきではないだろうか。

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text:橋本洋平/Yohei Hashimoto
自動車雑誌の編集部在籍中にヴィッツ、フォーミュラK、ロドスターパーティレースなど様々なレースを経験。独立後は、レースにも参戦する“走り系モータージャーナリスト”として活躍している。走り系のクルマはもちろん、エコカーからチューニングカー、タイヤまで執筆範囲は幅広い「GAZOO Racing 86/BRZ Race」には、84回払いのローンで購入したトヨタ86 Racingで参戦中。
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