日産の「スカイライン」という存在
更新日:2024.09.09

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日本車のなかでスカイラインほど話題に事欠かないクルマはないだろう。リーダーのGT-Rだけでなく、廉価グレードにも先進的なメカニズムを時代に先駆けて採用し、話題を振りまいてきた。また、多くの神話と伝説に彩られている。広告やグッズまでもがニュースになってしまうのもスカイラインならではだ。
text:片岡英明 [aheadアーカイブス vol.139 2014年6月号]
text:片岡英明 [aheadアーカイブス vol.139 2014年6月号]
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- 日産の「スカイライン」という存在
日産の「スカイライン」という存在
1970年式ハコスカ
1972年式ケンメリ
日本人にとってスカイラインは、高性能車の代名詞的な存在である。スカイラインGTの誕生以降、レースでの活躍と連動してブランドイメージを飛躍的に高めた。
特徴のひとつは、長い間、排気量の上限は2.0リットル、エンジンレイアウトは直列6気筒にこだわり続けたことだ。小型車枠の中で最高、最良のクルマを追求し続けたのだ。
そのために日本初、世界初の高度なメカニズムやアイテムを積極的に採用している。走りのポテンシャルを高めるだけでなく、快適で安心感のあるユーザーフレンドリーなクルマを実現するためにも新技術を積極的に導入した。
便利なトランクオープナーやドライブガイド、減衰力調整式のアジャスタブルショックアブソーバーなどは、スカイラインが最初に採用した装備だ。
歴代のスカイラインは運転するのが楽しいだけでなく、設計者と対話できるクルマとしての顔も持っている。これはスカイラインの魅力のひとつだ。運転していると、設計者の思い入れや設計哲学を感じ取ることができる。安全に、気持ちよく走るクルマに育てるため、開発者は徹底的なこだわりを見せた。
GTを名乗っているだけに、スカイラインはロングドライブでも疲れを誘わない。高性能車だが、乗り手に優しいクルマだ。モデルチェンジのたびに快適性と安全性を引き上げ、冷や汗をかかない大人のスポーツセダンへと成長している。
21世紀になり、スカイラインは直列6気筒エンジンと決別した。世界を意識して排気量も拡大している。当然、直列6気筒エンジンと丸型テールランプを信奉する熱狂的なファンからは「スカイラインらしくなくなった」という声があがった。
だが、最新のV37型スカイラインを運転してみると、スカイラインのDNAとスピリットを感じる。ちょっと荒削りだが、ワクワクする楽しさは健在だ。ただし、日本のファンに対する「愛情とこだわり」が希薄になったことは否めない。
皆が期待しているのは、メイド・イン・ジャパンの誇りを掲げ、日本人を第一に考えた「愛のスカイライン」である。走りにしてもデザインにしても、期待を大きく上回るクルマでないと認めてくれない。日本刀のような、日本発信の独創のスポーツセダン、それがスカイラインだ。
だが、最新のV37型スカイラインを運転してみると、スカイラインのDNAとスピリットを感じる。ちょっと荒削りだが、ワクワクする楽しさは健在だ。ただし、日本のファンに対する「愛情とこだわり」が希薄になったことは否めない。
皆が期待しているのは、メイド・イン・ジャパンの誇りを掲げ、日本人を第一に考えた「愛のスカイライン」である。走りにしてもデザインにしても、期待を大きく上回るクルマでないと認めてくれない。日本刀のような、日本発信の独創のスポーツセダン、それがスカイラインだ。