SPECIAL ISSUE スクーターでいこう!

プジョー、ADIVA、ランブレッタ…と相次いでヨーロピアンブランドのスクーターのショールームがオープンし、にわかにスクーターが盛り上がりを見せる気配が!実際に乗ってみると、スクーターはクルマとバイクの中間的存在にも感じられる。クルマの持つ利便性と、バイクの持つ爽快感と。3人の女性が集まって、シティコミューターとしてのスクーターの可能性に、あれやこれやと話に花が咲きました。

text・構成:サトウマキ photo:藤村のぞみ  [aheadアーカイブス vol.187 2018年6月号]

Chapter
そもそもスクーターってなに?
スクーターならオシャレに乗れる?スクーター×バイク×ファッション!!
ヨーロピアンスクーターを見に行こう!

そもそもスクーターってなに?

アヘッド スクーターでいこう!

ヨーロッパでのスクーターのイメージといえば、ビジネスマンがスーツを着込んで、颯爽と通勤に使っている、というスタイリッシュなイメージが強い。

イタリアのミラノなどでは、空きスペースはバイクの駐輪場となっており、街角にスクーターやバイクがずらりと並び、自然と街に溶け込んでいる風景をよく見かける。

そもそもスクーターとは、そんな生活の足として、バイクとは違う役割を担って開発されていた。スクーターはバイクと同じジャンルではあるのだが、開発された背景も育った環境も、実はバイクとはちょっと異なった生い立ちを持っているのだ。

では、スクーターとは何か?

「スクーターとは、原動機を座席の下に設け、前方に足踏み台のある、車輪の直径が22インチ以下であるような2輪自動車を指す」と、1953年に通商産業(現・経済産業省)、日本小型自動車工業会及び各スクーターメーカーが協議して決めた定義とされている。

現在のスクーターは、これに加えて、変速機のないATであることが一般的とされているのだ。

スクーターの原型となるモデルが登場したのは1910年代のこと。キックスケーターにエンジンを積んだスタイルのアメリカで作られたAUTOPEDが最初とされている。

その後1919年にイギリスで発売されたSKOOTAMOTAでシートが搭載され、1920年代前半はこれに似たモデルがヨーロッパ中で大流行した。そして1945年のプロトタイプを経て1946年にベスパ98が登場。

これがスタイルを決定付けたと言われるほどに完成度が高く、その精神を途絶えさせることなく受け継いできたベスパは、スクーターの代名詞となるまでに成長した。

アヘッド スクーターでいこう!

▶︎1945年に完成したVespa のプロトタイプ、「MP6」。

このベスパが誕生した背景には、第2次世界大戦終了後のイタリアで、航空機メーカーであるピアジオ社が、工場再建のためにバイクの製造を選んだことに始まり「モーターサイクルより実用的な大衆の足に成り得るものでなくてはならない」としてその製造に着手したことがある。

それと同時に日本でも1946年6月に日本初のスクーター、ラビットが富士重工業にて開発され、同年8月には日本重工業がシルバーピジョンの生産を開始。

1947年にはイタリアのイノチェンティ社がランブレッタを、1953年にはフランスのプジョー社がプジョー203を彷彿させるデザインのスクーターを発売。

航空機や四輪メーカーが、クルマよりコンパクトで気軽に扱える〝大衆の足〟として、トランクのような積載スペースを持ち、アメ車を思わせるようなテールや色使いを採用したスクーターを開発していた。

そう、スクーターはバイクというよりは、クルマにコンセプトが近かったのだ。

アヘッド スクーターでいこう!

▶︎1962年に制作された「VespaGS」の広告。

当時、スクーターがさまざまなカルチャーに影響を与えていたのはご存じの通り。1953年に公開された映画「ローマの休日」では、オードリー・ヘップバーン演じるアン女王がローマ市内をベスパで走るシーンに誰もが憧れ、1950年代後半から60年代にイギリスで流行したモッズと呼ばれる労働階級の若者たちが、ランブレッタやベスパといったスクーターを乗り回していた。

これらに共通するのは〝洋服に気を使わなくても乗ることができる〟という点。当時、スクーターは大衆の足に加え、ファッションの一部としての地位も確立していたのだ。

日本では、1958年に発売されたホンダのスーパーカブC100の大ヒットに伴いスクーターは衰退してしまっていたが、1977年になると、ヤマハからパッソルが、1980年にホンダからタクトが発売され、原付スクーターブームに突入。

1984年には50㏄が主流だったマーケットにホンダがスペイシー250㏄を投入。1995年にヤマハがマジェスティを発売すると、そのデザイン性と便利性が受け、若者に絶大な人気を博しビッグスクーターブームの到来となったのだ。

その後、排ガス規制や、駐車規制の影響などにより、このブームも下火となり、現在は機動力の高い125㏄のスクーターが注目を浴びている。ヤマハからは転ばないバイクとして、新しいコンセプトの三輪スクーター、トリシティが発売され、バイク好きだけではない、異なる層にもアピールを始めている。

一方、ランブレッタやプジョースクーターといった、ヨーロッパのスクーターが日本に正式に上陸するなど、ヘリテージ感漂うヨーロピアンスクーターの進出も見逃せなくなっている。

現在、バイクの駐車規制緩和や125㏄まで普通自動車免許で乗ることができるといった免許制度の見直しなどが行われている最中だが、これが現実になれば、スクーターの利便性はもっと上がることになるだろう。便利なシティコミューターとして、スクーターが街中に溢れ、活躍する日がやってくるのは、そう遠くはないはずだ。

アヘッド スクーターでいこう!

▶︎1980年に発売されたホンダ初の原付スクーター「TACT DX」。

アヘッド スクーターでいこう!

▶︎イタリアのランブレッタ博物館に保管されている貴重なスクーター。

▶︎スバル研究実験センターに保管されている、富士重工の「ラビット」。

▶︎ドイツで開催された"Vespa World Days 2017"に集まった愛好者たち。

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