コンパクトクロスオーバーの世界戦略車 Renault CAPTUR
更新日:2024.09.09
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ルノーのデザイン戦略である「サイクル・オブ・ライフ」の2番目にあたる「EXPLORE(旅に出る)」をイメージした「キャプチャー」が2月27日より日本でも発売される。今世界中の注目を集めるこの「コンパクトクロスオーバー」はどのようなクルマなのだろうか。
text:森口将之 photo:長谷川徹 [aheadアーカイブス vol.135 2014年2月号]
text:森口将之 photo:長谷川徹 [aheadアーカイブス vol.135 2014年2月号]
●走りの安定感と室内の快適性を求めて3ナンバーの車体を採用。最大トルクを僅か2,000回転で発生する1,200ccのターボエンジンと組み合わせる。1,600cc並みのパワーと2,000cc並みのトルクを実現したダウンサイジングモデルである。
今年はコンパクトクロスオーバーの当たり年になりそうだ。すでに国産メーカーからは昨年末に2台ほどニューカマーが登場しているが、今年は輸入車から数台がデビューする予定。そのトップを切ってルノー・キャプチャーが上陸した。
といっても一部の人は昨年、モーターショーの会場で目にしているだろう。僕も初対面の場は東京ビッグサイトだった。鮮やかなオレンジやブルーのボディにホワイトルーフというコーディネイトが鮮烈で、路上で出会ったら目立つだろうなあ、という第一印象を抱いた。
ところが今回、横浜の街に置かれたキャプチャーを見て、感じたのは大人っぽさだった。南欧の瓦屋根を思わせるオレンジの色合いしかり、アクセサリーと呼びたくなるシルバーの入れ方しかり、とにかく子供っぽくない。クロスオーバーといっても、土の匂いとは無縁。横浜の街を歩く男女のように洗練されている。
といっても一部の人は昨年、モーターショーの会場で目にしているだろう。僕も初対面の場は東京ビッグサイトだった。鮮やかなオレンジやブルーのボディにホワイトルーフというコーディネイトが鮮烈で、路上で出会ったら目立つだろうなあ、という第一印象を抱いた。
ところが今回、横浜の街に置かれたキャプチャーを見て、感じたのは大人っぽさだった。南欧の瓦屋根を思わせるオレンジの色合いしかり、アクセサリーと呼びたくなるシルバーの入れ方しかり、とにかく子供っぽくない。クロスオーバーといっても、土の匂いとは無縁。横浜の街を歩く男女のように洗練されている。
●「エフィシエントデュアルクラッチ」と呼ばれるクラッチシステムのオートマチックモードは、カージャーナリストに無段変速だと思わせるほどシームレス。6速のマニュアルモードは、瞬間的な素早い変速により鋭い加速を実現した。
ひと足先に日本にやってきたルーテシアとの血のつながりは、フロントマスクやボディサイドの造形を見れば一目瞭然。でもキャプチャーはそのルーテシアが、センスの良さや遊び心を忘れないまま大人に成長した感じを受けるのだ。
キャビンでもっとも目立つのは意外にも、シートバックポケットだった。ゴム製のコードを斜めに張って、ポケットもデザインの一部にしている。こういう洒落た小技、日本のクルマからはどう頑張っても出てきそうにない。
キャビンでもっとも目立つのは意外にも、シートバックポケットだった。ゴム製のコードを斜めに張って、ポケットもデザインの一部にしている。こういう洒落た小技、日本のクルマからはどう頑張っても出てきそうにない。
●有機的な柔らかいカーブを描くダッシュボード及びセンターコンソール。世界戦略車として、同サイズの日本車に比べて足元に余裕を持たせている。ひとクラス上の上質感と広さを併せ持つ。
ただそれ以外は、シートのファブリックに控えめに入るオレンジが目立つぐらい。いかにもフランスらしい、柔らかいラインで描かれたインパネからは、むしろリラックス気分をもらえる。一方でシート表皮はファスナーを開ければ外して洗えたりもする。日常と非日常のクロスオーバーと言いたくなる仕立てだ。
それ以上に実感するのは広さ。キャプチャーはルーテシアのプラットフォームを共有し、そこに30㎜長く、30㎜幅広く、120㎜背の高いボディを載せている。高さは長さの3倍広さに効くという先人の言葉どおり、1クラス上のハッチバックの空間を実感する。ファミリーユースも文句なく務まるだろう。
それ以上に実感するのは広さ。キャプチャーはルーテシアのプラットフォームを共有し、そこに30㎜長く、30㎜幅広く、120㎜背の高いボディを載せている。高さは長さの3倍広さに効くという先人の言葉どおり、1クラス上のハッチバックの空間を実感する。ファミリーユースも文句なく務まるだろう。
最大トルクでは自然吸気2ℓ級の19・4㎏mを出す1・2ℓ直噴ターボエンジンと、ルノーでは「エフィシエント デュアル クラッチ」と呼ぶデュアルクラッチ・トランスミッションのコンビは、ルーテシアと共通。キャプチャーの車両重量は1270㎏と、ルーテシア ゼンより80㎏(ルーテシア インテンスより60㎏)重いだけなので、、この日ドライブした横浜では、加速性能は十分すぎるほどだった。
しかもターボの躾がうまい。小排気量ターボとデュアルクラッチ・トランスミッションの組み合わせは、ヨーロッパ車に数例あるけれど、少し前にルーテシアとライバル車を乗り比べたら、力の盛り上がりが圧倒的になだらかだったのだ。
しかもターボの躾がうまい。小排気量ターボとデュアルクラッチ・トランスミッションの組み合わせは、ヨーロッパ車に数例あるけれど、少し前にルーテシアとライバル車を乗り比べたら、力の盛り上がりが圧倒的になだらかだったのだ。
●後席は前後に160mmのスライドが可能。ラゲッジ容量は、377ℓ〜455ℓに変化する。さらにリアシートを折り畳むと1,235ℓまで拡大できる。
ルノーは世界で初めてF1にターボを持ち込んだ会社として有名。それ以外のモータースポーツにも積極的にターボを導入した。その経験が、この扱いやすさに結実しているのかもしれない。たぶん同クラスの国産車から乗り換えても、いちばん違和感の少ない1台ではないかという気がする。
でもそのまま走り続けていると、国産クロスオーバーとは一線を画す、ルノーならではのテイストが存分に味わえることに気付く。
でもそのまま走り続けていると、国産クロスオーバーとは一線を画す、ルノーならではのテイストが存分に味わえることに気付く。
●コンセプトモデルから継承された「フロントシートバックコードポケット」 。 弾力性に富むゴム製のコードは、ペットボトルのドリンクホルダーとしてや、マガジンラックとして使用できる。車体色に応じてオレンジ、グレーの2色がある。
まずは乗り心地、クロスオーバーというと内外を問わず、大小も問わず、高めの車高をスポーティに走らせようとして、サスペンションを固める例が多い。でもルノーは、カングーを見れば分かるように、そもそも背の高いクルマの走らせ方を熟知している。キャプチャーにもその経験が生きている。
むやみに足回りを固めず、むしろ動かすことで、路面からのショックを絶妙にいなしてくれる。ルーテシアも似たような感触だけれど、キャプチャーはボディが心持ち大きい分、いなし方も心持ち大人っぽい。ここでも格上のクルマを思わせる。
むやみに足回りを固めず、むしろ動かすことで、路面からのショックを絶妙にいなしてくれる。ルーテシアも似たような感触だけれど、キャプチャーはボディが心持ち大きい分、いなし方も心持ち大人っぽい。ここでも格上のクルマを思わせる。
●「ジップシートクロス」と呼ばれるシートカバーは、取り外して洗濯が可能。標準色2色、オプション6色の計8色のデザインからカバーを付け替えることもできる。カバー裏側に突起があり、ベース側にはヘコみを設けてあるのでシートがズレることはない。
だからキャビンは平和なまま。ルノーの例に漏れず、直進安定性はバカンスのロングドライブも平然とこなせるぐらい盤石だから、軽快なリズムを刻むボサノバあたりを耳にしながら、何時間でも走っていきたいという気にさせてくれる。
なのにコーナーに入れば同じ足が、今度はしっとり踏ん張って、安心できるグリップ感を届けてくれる。ステアリングの切れ味は素直だし、そのステアリングやシートを通してタイヤの状況がしっかり伝わってくるから、乗りはじめて3分もすれば自分の手足の延長のように操れる。その意味でもまぎれもないルノーだ。
なのにコーナーに入れば同じ足が、今度はしっとり踏ん張って、安心できるグリップ感を届けてくれる。ステアリングの切れ味は素直だし、そのステアリングやシートを通してタイヤの状況がしっかり伝わってくるから、乗りはじめて3分もすれば自分の手足の延長のように操れる。その意味でもまぎれもないルノーだ。
●RENAULT CAPTUR
車両本体価格:¥2,598,000(INTENS) 全長×全幅×全高(mm):4,125×1,780×1,565
車両重量:1,270kg 定員:5人
エンジン:ターボチャージャー付 筒内直接噴射 直列4気筒DOHC 16バルブ
総排気量:1,197cc
最高出力:88kW(120ps)/4,900rpm
最大トルク:190Nm(19.4kgm)/2,000rpm
駆動方式:前輪駆動
車両本体価格:¥2,598,000(INTENS) 全長×全幅×全高(mm):4,125×1,780×1,565
車両重量:1,270kg 定員:5人
エンジン:ターボチャージャー付 筒内直接噴射 直列4気筒DOHC 16バルブ
総排気量:1,197cc
最高出力:88kW(120ps)/4,900rpm
最大トルク:190Nm(19.4kgm)/2,000rpm
駆動方式:前輪駆動
日々のパートナーとして、横浜のような都市を移動するシーンでは、キャプチャーは普通のハッチバックとして使える。でもスタイリングやインテリアのセンス、クルージングでの快適性、ペースを上げたときの楽しさは、むしろ特別感にあふれている。普通ではあるが平凡ではなく、むしろ非凡。そのあたりがなんとも、大人心をくすぐる。
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text:森口将之/Masayuki Moriguchi
1962年東京生まれ。モータージャーナリスト&モビリティジャーナリスト。移動や都市という視点から自動車や公共交通を取材し、雑誌・インターネット・テレビ・ラジオ・講演などで発表。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、グッドデザイン賞審査委員を務める。著作に「パリ流 環境社会への挑戦」「これから始まる自動運転 社会はどうなる!?」など。
text:森口将之/Masayuki Moriguchi
1962年東京生まれ。モータージャーナリスト&モビリティジャーナリスト。移動や都市という視点から自動車や公共交通を取材し、雑誌・インターネット・テレビ・ラジオ・講演などで発表。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、グッドデザイン賞審査委員を務める。著作に「パリ流 環境社会への挑戦」「これから始まる自動運転 社会はどうなる!?」など。