「あのとき」の自分

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「クルマがなくても生活は成り立つでしょうけど、クルマがあれば、違う人生を送ることができるかもしれない。そうした自動車ライフの深さを伝えたかったのです」。チーフプロデューサーの佐藤明香(さやか)氏はそう語る。

text:山下敦史 写真提供 : BS日テレ [aheadアーカイブス vol.111 2012年2月号]
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「あのとき」の自分

「あのとき」の自分

BS日テレで好評放送中の番組、『おぎやはぎの愛車遍歴 NO CAR 、NO LIFE!』。「愛車遍歴を辿れば、人生が見えてくる!」をコンセプトにしたカートークバラエティだ。
 
著名人がゲストということもあって、羨望の名車や高級車の登場は少なくない。けれど、決して単なるクルマ自慢にならないのは、自身もクルマ好きで知られるおぎやはぎ両氏とおなじみの竹岡圭氏の話術、そしてゲスト自身の“クルマ愛”が見えてくるからだ。
 
例えばプレイボーイで知られる石田純一氏がフェラーリ遍歴を披露、と文字にするといかにもキザったらしいが、女性に対して以上に熱意を持ってフェラーリを語る彼の姿を見れば、印象が180度変わること請け合いだ。

一方、遅咲きの性格俳優・田中要次氏は対照的に国産車ばかりだ。決して派手とはいえないクルマ遍歴なのだが、愛車を手放すときに惜別の詩を作って自身のブログに載せ、収録時には思い出して涙ぐむなど、別の意味で熱いクルマ魂を持っていた。

「クルマに興味のない、免許のない人にも楽しめるクルマ番組」を目指したという佐藤プロデューサーの言葉通り、クルマという切り口ひとつで、ゲストの人となり、それもまず他の番組では見られない顔が見られるのも醍醐味だが、何より見終わった後、自分とクルマの関わり合いについて考えたくなる、そこにこの番組の魅力があるように思う。これまでの、あるいはこれからの自分の愛車遍歴を夢想したくなるのだ。

「以前フェラーリに乗っていた、とう視聴者からの声をいただいたことがあるんです」と佐藤氏。「事情があって手放したけど、この番組を見てもう一度乗りたくなった、一度は手に入れられたんだから、きっとまたやれるという気になった、と」。
 
クルマ好きでなくとも、クルマが大きな買い物であることには違いない。名車でなくてもいい。どんなクルマでも、そこには自分が置かれた状況や立場、その時々の《今の自分》が焼き付いているはずだ。この番組は、ホログラフィのように、あの時の自分を、こうありたい未来の自分を映し出してくれるのだ。
 
都会では、損得でいえばクルマを持つことは損かもしれない。でも、クルマを通じて誰かとつながる、過去と現在と未来が交錯する、そんな人生は素敵だと、僕は信じる。
おぎやはぎが、女性自動車評論家・竹岡圭さんとともにゲストを迎える『おぎやはぎの愛車遍歴 NO CAR, NO LIFE!』(BS日テレ)。ゲストがこれまで所有したクルマを、実際に見たり乗ったりしながら紹介する番組である。放送日時:毎週水曜22:00〜22:54。
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