ハードルを打ち砕いた意欲作 KTM 690DUKE
更新日:2024.09.09
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僕は常々、KTMほどシングルエンジンに拘りを持ち、精通しているメーカーは他にないのではと思っている。もちろん、いまだに2ストロークモデルもラインアップしているし、RC8Rや990アドベンチャーなどのツインエンジンも造っているのではあるが、その活動の中心はシングルエンジンだ。
text:鈴木大五郎 [aheadアーカイブス vol.115 2012年6月号]
text:鈴木大五郎 [aheadアーカイブス vol.115 2012年6月号]
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ハードルを打ち砕いた意欲作 KTM 690DUKE
昨年の暮れに30数時間かけて、スペインはカナリア諸島に行ってきた。誰よりも早く、新型690DUKEに乗るためである。このDUKEは、オフロードメーカーであるKTMの考えるロードスポーツマシン。そんなイメージで1994年に登場した。
その車体にはデビュー当時より、LC4(リキッドクールド4バルブ、つまり水冷4バルブの意味)と呼ばれるシングルエンジンが搭載されているのだが、このLC4こそ、KTMが長きに渡り愛してやまないシングルのベース的エンジンである。兄弟車であるオフロードのコンペティションモデルに搭載されたものとほぼ同じエンジン。
つまりレーシングの血統が色濃く継承されたスパルタンなエンジンが、時代とともに熟成され、扱いやすさも増している。さらに新型においては、ほとんどのパーツを新作するという力の入れよう。実はシングルエンジンは、それも大排気量でパワーも搾り出すとなると、騒音や排ガス等、規制値に納めるハードルは非常に高くなるという。
しかしこのエンジンはそれらをしっかりクリアした。乗り味は、700㏄近くあるからして、ドコドコした鼓動感を予測してしまうのだけれど、クランクマスが軽い=排気量を感じさせない軽い吹け上がりでビュンビュン! 回る。実際のトルクはあるのだけれど、トルク感がない。よって、低回転で走らせるとガクガクしてしまった従来型に比べ、最新のテクノロジーで、低速域でのフィーリングも向上。扱い易さは、もはや根底にレーシングエンジンがあるとは思えないほど。それでいて滅法速い。
さらには、このエンジンを包み込むフレームや足回りも高いバランスで仕上げられており、意のままに操れる感は過去最高級だ。
エキスパート達には支持されるが、一般のライダーにはちょっと敷居の高かったビッグシングルがこんなに扱いやすくなったなんてちょっと驚きだ。しかもこの低価格。高かったハードルを見事に打ち砕くことに成功した意欲作である。
その車体にはデビュー当時より、LC4(リキッドクールド4バルブ、つまり水冷4バルブの意味)と呼ばれるシングルエンジンが搭載されているのだが、このLC4こそ、KTMが長きに渡り愛してやまないシングルのベース的エンジンである。兄弟車であるオフロードのコンペティションモデルに搭載されたものとほぼ同じエンジン。
つまりレーシングの血統が色濃く継承されたスパルタンなエンジンが、時代とともに熟成され、扱いやすさも増している。さらに新型においては、ほとんどのパーツを新作するという力の入れよう。実はシングルエンジンは、それも大排気量でパワーも搾り出すとなると、騒音や排ガス等、規制値に納めるハードルは非常に高くなるという。
しかしこのエンジンはそれらをしっかりクリアした。乗り味は、700㏄近くあるからして、ドコドコした鼓動感を予測してしまうのだけれど、クランクマスが軽い=排気量を感じさせない軽い吹け上がりでビュンビュン! 回る。実際のトルクはあるのだけれど、トルク感がない。よって、低回転で走らせるとガクガクしてしまった従来型に比べ、最新のテクノロジーで、低速域でのフィーリングも向上。扱い易さは、もはや根底にレーシングエンジンがあるとは思えないほど。それでいて滅法速い。
さらには、このエンジンを包み込むフレームや足回りも高いバランスで仕上げられており、意のままに操れる感は過去最高級だ。
エキスパート達には支持されるが、一般のライダーにはちょっと敷居の高かったビッグシングルがこんなに扱いやすくなったなんてちょっと驚きだ。しかもこの低価格。高かったハードルを見事に打ち砕くことに成功した意欲作である。