車で煽られた時はどうすればいい? 危険を避ける対処法は?

男性ドライバー

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車を走らせていると時々遭遇する、煽ったり、煽られたりという場面。単に車間を詰められるだけのものから、かなり悪質なものまで様々ではありますが、もし自分が煽られる状況になってしまった場合はどうするのがよいのでしょうか?
Chapter
煽り運転について
下記のような対処をする人も…
やってはいけない対処法
煽られる原因もなるべくつくらない
煽られた時の最良の対処法

煽り運転について

一般的に煽り運転とは、前方を走行する車両に対して車間距離を異常に詰めてプレッシャーをかけたり追い回したり、ハイビーム、クラクション、幅寄せなどによって嫌がらせをする行為を指します。そのような行為をする理由としては、通常、前走車に進路を譲るように強要するというものが多いかとは思いますが、中には単に面白がってやるような悪質なケースも存在します。

さて、この煽り運転ですが、道路交通法26条が禁止する車間距離不保持に該当し、前走車との十分な車間距離をとらなかった場合には「車間距離保持義務違反」が適用されます。また、そのような危険運転をした結果、相手を事故や死傷などに追いやった場合には「危険運転致死傷罪」が適用され、最長で20年以下(加重によっては最長30年以下)の懲役など、重い処分を受ける可能性があります。

この「危険運転致死傷罪」が2001年に新設される以前は、危険行為に起因する事故の加害者に対して「業務上過失致死傷罪」が適用されていましたが、度重なる飲酒運転や故意による危険運転行為に対する厳罰化のために「危険運転致死傷罪」が新設されました。

下記のような対処をする人も…

それでは、皆さんがもし煽られる側の立場になってしまった場合にどんな対処をするでしょうか。煽られた場合の対処法が質問されたQ&Aサイトにおける、一般ユーザの回答を中心にいくつかの対処法を挙げてみたいと思います。

・急ブレーキや意図的なブレーキングでやり返す。
・ブレーキランプが点かないサイドブレーキやエンジンブレーキでやり返す。
・性能で自分の車両が勝るなら、速度を上げてブッちぎる。
・ウォッシャー液を大量噴射で嫌がらせ。
・後ろの車の事など気にせず、そのままマイペースで走行し続ける。
・さっさと道を譲ってしまう。

こんな感じの対処法が比較的多く見られましたが、皆さんが煽られた時に行う方法も含まれていましたでしょうか。では、これらの対処方法についての危険性等について考えてみましょう。

やってはいけない対処法

それでは前述の対処方法の中で、やってはいけない対処方法はどれでしょうか。基本的に絶対にやってはいけないのはブレーキングや嫌がらせでやり返す方法です。ネット上でも「煽った側が悪いからやり返して当然」というような意見が多くみられますが、事は単純にどちらが正しい・正しくないという問題ではありません。

そもそも煽り運転を仕掛けてきたドライバーは、十中八九イライラしており冷静な精神状態ではありません。そんな状態の相手にやり返すようなことをしたらどうなるか、賢明な方ならお分かりですよね。やり返せばますます火に油を注ぐようなもの。煽り行為ももっとひどくなる可能性が容易に考えられます。
「煽り運転する方が悪いし、追突したって追突した方が悪いから問題ない」という風に考える方もいらっしゃるようですが、それは大きな間違いです。仮にやり返したり、張り合ったりした結果、事故が起きたとしましょう。

物損だけで済めば、まあよしというところですが、仮に死亡事故等の重大事故になった場合、必ずしも煽った側の100%過失になるとは限りません。実際にそういった事故における裁判の判例では以下のようなものがあります。

【煽られた側の急ブレーキで煽った側のドライバーが死亡】
これは、まさに煽られた側がブレーキングによってやり返した結果起きた事故です。もちろん、煽った側が元々悪い事には間違いありませんが、問題は煽られた側も「嫌がらせ・威嚇的な意味合いで意図的にブレーキを掛けた」という点です。このケースでは、「未必の故意」が認定され、煽られた側のドライバーも懲役5年の「傷害致死罪」が適用となりました。

このケースでの「未必の故意」は、「事故直前の両車の間隔は非常に狭く、急停止すれば後続車が衝突し、運転者が傷害を負う可能性が高いことは容易に想像できる。にもかかわらず、急ブレーキをしたということは、相手を負傷させることも構わない、と考えたということ。」と解釈されたのです。

【張り合って猛スピードで逃げた結果の事故】
これも事故が起きた場合には煽った側のみが有罪になるとは限りません。逃げた側にも「路側帯などに入ってやり過ごすことができたにもかかわらず大幅な速度超過をし、そのような行為に対して緊急避難は成立しない。」という解釈が認められたケースもあります。逃げた側が事故を起こした場合、煽った側が罰せられるのはもちろんですが、煽られた側も罰せられるケースがあるのです。

煽られる原因もなるべくつくらない

また、煽る側にも煽られる側にも問題があるケースもよく見られます。よく見かけるのが、高速道路における追い越し車線での煽り。煽られている側の主張としてよく見られるのが、「法定速度で走っているのだから何も悪くない」というものですが、本当にそうでしょうか。

このケースでも場合によっては、煽られた側にも問題があります。煽っている側の「車間距離保持義務違反」はもちろんですが、煽られている側も状況によっては「通行帯違反」が適用されます。そもそも高速道路において、追い越し車線は「追い越し時」以外は走行してはいけない事になっています。法定速度を守っていようが、走行車線が空いているにもかかわらず追い越し車線を走り続けた場合は立派な違反なのです。

また、法定速度を守っているからゆっくり走っても構わないという解釈も、法を犯していなくてもマナー的な観点から見て問題があるケースもあるかと思います。例えば、友人同士と思われる複数の歩行者が歩道を並列にだらだら歩いていて、後ろの歩行者の障害となっている場合、どちらが悪く見えるでしょうか。おそらく多くの方が並列で歩いている歩行者がマナー違反だと思われるでしょう。

ちょっと例が飛躍しているかもしれませんが、これを車に当てはめると制限速度40km/hの道路を30km/hで走って渋滞を引き起こしている自称安全運転のドライバーも上記のマナー違反の歩行者と似たりよったりではないかと思うのです。時速40km/hで走行していい以上、後続車も少なからずイラっとはしますよね。

煽られた時の最良の対処法

大前提として煽り運転は悪い事なのですが、安全運転を心掛けるのであれば、「事故を起こさない。事故を起こさせない。事故に合わない。」ことが原則だと思います。よく煽られるという方は、時に自身の運転が周囲の車に煽りなどの行為をさせるような運転でないか、家族や同乗者に客観的に判断してもらうのもいいかもしれません。

たとえ相手の方が悪くても、もし事故が起きて自分が死亡するような事にでもなったら、相手が悪くて罪に問われようが、自身にとってはそんなことに何の意味もなくなってしまいます。まさに「試合に勝って勝負に負ける」といったところでしょうか。同じ道路上を走っている者同士が、お互いに配慮し合うという事が一番です。

そういった事を踏まえて考えると、煽られた際の最良の対処方法は、間違いなく「さっさと道を譲ってしまう」です。煽り運転をしてくるようなドライバーは恐らく人格的に問題がある可能性が高いでしょうし、関わり合いにならない事が一番です。「君子危うきに近寄らず」、「逃げるが勝ち」。ケチなプライドや負けず嫌いの精神で張り合っては、煽る側と同じ精神レベルになってしまいます。いい大人なら人間的な器の大きさを見せて、煽りドライバーなどやり過ごしてしまいましょう。
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