ウェイストゲートバルブとブローオフバルブの違いとは?

モータースポーツ ターボ

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一時期、乗用車から淘汰されたかに見えたターボエンジン。しかし現在、ダウンサイジングターボが、高効率で環境にも優しい技術として見直されています。そんなターボエンジンで使われる「ウェイストゲートバルブ」「ブローオフバルブ」この違いはなんなのでしょう?
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(2017年5月19日)
Chapter
ターボエンジンの構造は?
ウェイストゲートとブローオフの違いは?
復権したターボエンジン

ターボエンジンの構造は?

ターボエンジンを積んだスポーツカーが走り去る際、アクセルオフの時に「プシュー」「プシュルルルル…」といった独特の音を聞いたことがあると思います。これはターボエンジンならではの音であり、そんな音を出す仕組みが「ブローオフバルブ」と「ウェイストゲートバルブ」です。

では、まずはターボエンジンの構造をおさらいしてみましょう。ターボエンジンの排気&吸気のざっくりとした行程がこちらになります。

・排ガス
エンジンの燃焼室⇒ 排気ポート⇨排気管⇨ターボチャージャーのタービン(羽根)を駆動⇨排気管⇨車外

・吸入空気
外気⇨エアフィルター⇨ターボチャージャーのコンプレッサ(羽根)で圧縮&送風⇨(インタークーラーで冷却)⇨吸入管⇨吸入ポート⇒ 燃焼室

ターボエンジンは上記のように、排ガスの運動エネルギーで羽根状のタービンを駆動(回転)させることで、タービンと同じ回転軸の反対側に付けられた羽根(コンプレッサー)を駆動して空気を圧縮、多くの空気を空気を燃焼室に押し込みます。これにより、自然吸気(NA)による排気量以上の力が発揮できるのです。

それゆえに、ダウンサイジング(仮想排気量は大きくなる為)が可能になるわけですね。

ウェイストゲートとブローオフの違いは?

ウェイストゲートバルブ

ウェイストゲートバルブは、排気側についています。コンプレッサーの効果によって排出されるガスが増えると、タービンの回転が高まり過給圧が上がります。このとき、過給圧が適正値を超えてしまうと、タービンやエンジンのブローにつながります。

そこで、一定以上の過給がかかった場合、排気ガスの一部をバイパスに逃して過給圧を制御するのが、ウェイストゲートの役目となっているのです。

多くのターボ車においては、ターボチャージャー本体にこのウェイストゲート機構を組み込んであります。

チューニングカーでは外付けしているものもありますが、触媒を付けずに排気ガスを大気開放してまうと、一般路上の走行はNG。法律上、認められていませんので注意が必要です。

ブローオフバルブ

対してブローオフバルブは、吸気側についています。

ターボ過給が行われている状態でアクセルをオフにしてスロットルを閉じても、コンプレッサーはまだ過給を続けようとします。そうなると、スロットルの前に高圧縮の状態が生まれ、行き場の無くなった高圧縮空気はコンプレッサー側の回転を鈍らせ、アクセルを踏み直したときにスロットルレスポンスの悪化を招きます。

ブローオフバルブは、その圧縮された空気を排出(主に大気開放)するのが役目です。

メーカーから販売されるクルマには、ブローオフバルブはついておらず、代わりに「リサキュレーションバルブ」というものが付いてます。この役目はブローオフと同じで、空気を逃がす装置ですが、大気解放せずにタービン前のインテークパイプ内に戻すようになっています。

このように、同じようなイメージのウェイストゲートとブローオフですが、排気側、吸気側とそれぞれの働くフィールドが真逆だったわけですね。

復権したターボエンジン

ハイブリッド全盛のエコカー戦線に、まさかの殴り込みをかけた技術がターボエンジンでした。かつてのターボはピークパワーこそあるものの、「燃費が悪い」「ピーキーで乗りにくい」こんな負のイメージが多く、スポーツカー好き以外には禁忌されてきた歴史があります。

しかし現在は、新たなエコカーのジャンル"ダウンサイジングエンジン”に不可欠な技術として見直され、主流となっています。とはいえ、かつてのようにドッカンとピークパワーが出る特性ではなく、小径タービン等を使用しターボラグが出にくい、レスポンスと燃費向上に繋がる特性に調教されています。

とはいえ、ターボエンジンの構造自体が変わるものではありませんので、前述のようなカスタマイズも当然可能でしょう。その際にはどうか違法にならないようお気を付けくださいね。

時を経て、ターボ技術に対する目的とコンセプトが大幅に変わったことで、見直されたというところでしょう。
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