パワステの電動式、油圧式の違いとは?

ステアリング

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現代の自動車に欠かせない装備のひとつ、パワーステアリング(以下パワステ)。一部のスパルタンでマニアックなスポーツカー以外、世界全車でほぼ標準装備と言って良いでしょう。そのパワステには、おもに油圧式と電動式があります。その違いとはなんでしょうか?
Chapter
パワーステアリングとは?
油圧式パワステの仕組み
電動式パワステの仕組み
油圧式と電動式のいいとこ取りなパワステも

パワーステアリングとは?

パワーステアリング(以下、パワステ)とは、ハンドルを軽い力で回すことが出来るアシスト装置を備えた操舵装置のことです。

自動車の操舵は、通常前輪で行います。その前輪の上には、エンジンなどの重量物が載っています。

パワステがない場合、車両が動いているときであれば操舵は可能ですが、駐停車時の切り返しとなると汗をかくほどの大仕事。非力なドライバーには、到底運転できるものではありません。そこで、パワステが開発されました。そのパワーアシストを行う方法には、油圧式と電動式の2種類があります。

それぞれの違いとはなんでしょう?

油圧式パワステの仕組み

油圧式パワステの始まりは、第2次世界大戦前の1920年代で、第2次大戦で軍用車などに普及。戦後は、乗用車に使われることになりました。

このように歴史のある油圧式パワステは、技術的にも確立されています。

仕組みは、エンジンの動力で油圧ポンプを回して油圧を発生。ステアリングギヤが内蔵するパワーシリンダーに油圧を送り、ステアリング操作をアシストします。

油圧式パワステのメリット

1) 長い歴史を持ち、技術が確立されているので、安価に生産可能。
2) 基本的な構成部品点数が少なく、信頼性が高い。
3) 出力が大きいので、重量級の大型車にも使用可能。
4) ステアリングフィールがナチュラル。

油圧式パワステのデメリット

1) 長年の使用で、各部品からのオイル漏れの可能性あり。
2) エンジンが始動中、つねに油圧ポンプが作動するので、燃費に影響する。
3) 構成部品が車種専用となり、製造原価が高くなる。
4) エンジン回転数と発生する油圧が比例するため、停車時や低速では、十分なアシストを得られないことがある。
5) 車速感応式とした場合、制御装置やプログラムを追加するため、システムが高額になり、信頼性も低下する。

電動式パワステの仕組み

電動式は2000年代に入ってから、普及した技術です。仕組みは、ハンドルが接続しているステアリングラックやピニオンギアをモーターでアシストし、パワステ効果を得ます。

電動式パワステのメリット

1) 動力源がモーターなので、電流のオン・オフで制御が可能。
2) 油圧ポンプやチューブが不要なため、省スペース化が可能。
3) 構成部品はモーターと制御ROMで、車種間での部品共有化を進めることができる。

電動式パワステのデメリット

1) 油圧式と比較するとアシスト量が少なく、重量級大型車には不向き。
2) モーターを保護する回路が働くと、ハンドルが重くなることがある。
3) 大電流を使うため、容量の大きなバッテリーやオルタネータが必要。結果的に、低燃費効果が薄れる。
4) 操舵フィーリングに違和感がある。(ただし、最近はかなり改善されています)

油圧式と電動式のいいとこ取りなパワステも

油圧式は自然な操舵感が特徴で大型車向き、電動式はコンパクトさと燃費に影響の少ないことが特徴で、どちらかといえばコンパクトカー向きでした。

この2つのいいとこ取りをしたパワステが、フーガ ハイブリッドに搭載する動油圧式電子制御パワーステアリングです。

基本は油圧式ですが、油圧ポンプを電気モーターが作動させるこのシステムは、油圧式のナチュラルな操舵フィーリングと、電動式ならではの緻密な制御、そして低燃費を両立した新しいパワステです。

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