なぜ新型エンジンにDOHCではなく、SOHCが採用されることがあるのか?

DOHCと言えば、日本では高性能車の証として、70年代~80年代にかけて普及し、トヨタなどでは、直列エンジンのDOHCを「ツインカム」と呼んだりしました。
そもそも、エンジンにはSOHCとDOHCがあり、SOHCは吸気と排気バルブの駆動を一本のカムシャフトで行い、DOHCは吸気と排気それぞれに別のカムシャフトが与えられてバルブを駆動します。
DOHCは設計の自由度が高く、高回転・高出力化が容易なことから、現代の日本車のほとんどに採用されてきました。
当時の車好きだった方たちは、雄弁にDOHCの良さを語ったことでしょう。
ではなぜ、今もSOHCを採用するメーカーがあるのでしょうか?

Chapter
DOHCのメリット
SOHCのメリット
SOHCよりも古い?アメリカンなOHV
DOHC VTECで有名なHONDAも、新型にSOHCを採用
まとめ

DOHCのメリット

DOHCは、吸気バルブ側と排気バルブ側に、それぞれカムシャフトを備えていることを活かして、近年目覚ましい進化を遂げ、バルブの開閉タイミングからリフト量までコントロールできるようになりました。
この仕組みは、低燃費と高出力を同時に実現しており、日本では、トヨタのVVT、日産のVTCやVVELが代表的です。海外では、特にBMWの「バルブトロニック」と「ダブルVANOS」が有名ではないでしょうか。

SOHCのメリット

では、SOHCのメリットは何でしょうか。それはカムシャフトが一本で済むことにより、シリンダーヘッドをDOHCより小さくすること可能で、部品点数も少なくなるため、直列エンジンにおいては重心を下げることができます。
数多く生産するメーカーにとってコスト的にも有利です。SOHCであっても4バルブ化が可能なことも忘れてはなりません。(メリットとは言えませんが、DOHCとの差を埋める意味で)

SOHCよりも古い?アメリカンなOHV

6.2LのV8「LT1 」エンジン

アメリカを代表するスポーツカーである、シボレーのカマロやコルベット、ダッジのバイパーやチャレンジャーはOHVを採用しています。日本において、OHVSOHCが登場する前の遥か昔に淘汰された形式のエンジンです。SOHCと同様に高回転化が苦手なのでパワー向上が見込みにくく、日本人にとってスポーツカーに向いているという感覚は無いに等しいと思えます。

しかし、これはエンジンを出来るだけ小型軽量化した際に回転馬力を狙った時の話であり、税制上、容易に排気量が拡大できない日本や欧州に限った話なのです。
パワーは回転に比例して数字が大きくなるように、トルクによっても向上します。税金が排気量によってかさむ日本や欧州と違い、アメリカでは税金が排気量に比例しないので、高回転化しない代わりに、排気量を増やしてパワーを上げます。

更にOHVは、DOHCよりエンジンの低重心化を可能とするので高速走行時の安定感が向上し、都市間ハイウェイなどのほぼ一直線の道を余裕もって運転できるのです。
プッシュロッドを持ったこのエンジンは、技術的には古いですがより洗練され、アメ車の伝統と魅力です。独特のエンジン音は今もなお多くの人を魅了し続けています。

DOHC VTECで有名なHONDAも、新型にSOHCを採用

S2000搭載DOHCエンジン「F20C1」

力強い走りと低燃費を両立するSOHCエンジン「1.8LI-VTEC」

相変わらず逆回転型のエンジンを作り続けるHONDAですが、SOHCでもすごい機能を持ったエンジンを作っています。HONDAのエンジンと言えばVTECですね。今まではどちらかというと高回転でパワー出すためにハイカムを備えた造りでしたが、今度は二つの異なるプロフィールを持つカムを吸排それぞれに搭載できるVTECの利点を生かし、高効率エンジンに仕上げました。

更にSOHCの利点であるシリンダーヘッドの小ささを利用し、ヘッドポート内で各気筒の排気を集合することによって、エキマニを無くすことに成功しました。これによって排気ガスの温度を下げることなく触媒に導けるので、よりクリーンな排気ガスを実現しました。昔からホンダは、排気ガスのクリーン化を徹底的に行っていたので、今もなお地球環境に対する情熱と伝統は根付いていると言えます。こんなところにもホンダの魅力が詰まっていますね。

まとめ

一昔前は、各メーカーのエンジンが次々とエンジンをDOHC化し、SOHCは一気に減少しました。ですが、技術は日進月歩。古い技術であってもその利点を生かし工夫することで新たな目標を達成していくことができるのです。その技術者たちの絶え間ない努力は目を見張るものがありますね。

これからも我々を魅了してやまない素晴らしいエンジンが数多く誕生することを願っています。