ツインターボとツインスクロールターボの違いとは?

どちらも過給の立ち上がりを改善する技術

VR38DETT 3.8L V6 ツインターボエンジン

ターボチャージャーのサイズ選定には大きく2つの要素がある。

まず重要なのはターゲットしている最高出力(馬力)を満たすだけの風量を持っていることだ。次に、十分なアクセルレスポンスを実現するための回りやすさが求められる。シンプルにいうとパワーを求めるには大きなターボチャージャーが必要で、レスポンスをよくするには小さなターボチャージャーが有利。つまりパワーとレスポンスは相反する要素なのである。

そこで、小さなターボチャージャーを複数使うことでレスポンスを確保しつつ、目標とする最大出力に十分な風量を確保しようという技術が生まれた。それが「ツインターボ」だ。直列6気筒エンジンであれば、前後で半分に分けて、前の3気筒、後ろの3気筒それぞれに小さめのターボチャージャーを付けたというのが国産車におけるツインターボの始まり。

また、V6エンジンのように排気の出口が左右に分かれている場合は、それぞれに小さめのターボチャージャーを付けたほうがレイアウトとしても効率がいい。それもツインターボを生み出す理由となった。

4気筒エンジンではツインターボは難しい

こうしたことが可能になったのは、ターボチャージャーの量産性が高まり、コストを抑えられるようになったからだ。コストが高いうちは大きなターボチャージャーをドーンとひとつ付けるしかなかったが、量産化と小型化が進むなかでツインターボという技術が進化していった。

当初は、ここで記したようなパラレル式ツインターボが多かったが、そのうちに複雑な構造や盛業によりターボチャージャーを直列的に配置したシーケンシャル型ツインターボも生まれてきた。

とはいえ、ツインターボというのは主に6気筒以上のエンジンに使われる技術だった。4気筒エンジンを搭載するクルマというのはボディも小さい傾向にあり、そのためエンジンルームも狭い。複数のタービンを置くのは難しかったからだ。

もちろん、4気筒エンジンの場合は燃焼サイクルの関係から、ツインターボにするにしても第1気筒と第4気筒、第2気筒と第3気筒という組み合わせにする必要があって、レイアウト的に無理があるのもツインターボ化を阻んでいた。

ツインスクロールターボ

そうした課題をクリアしたのが、ここでの主役ともいえる「ツインスクロールターボ」である。

このターボチャージャーでツインになっているのは排気の入口部分だ。それなりの大パワーを得ようとしているターボチャージャーでは、羽根のサイズも大きく排気の入口も太くなりがちだ。そうすると低回転域ではターボチャージャーの入口付近で排ガスが拡散してしまい「タービン圧力比」が低くなってしまう。

しかし、入口を2つに分ければ高いタービン圧力比を保ったまま羽根に排ガスを当てることができる。これにより比較的大きめのターボチャージャーであっても低回転域でのターボラグを解消することができるというわけだ。

排気を2つの経路に分けて圧力比を高める

スバル WRX STI 2018

また、前述したように4気筒エンジンの場合は、排気脈動を有効活用するために燃焼サイクルの順番から、第1気筒と第4気筒の排気と、第2気筒と第3気筒の排気のそれぞれで入口を分けることがほとんどだ。これにより、2つの入口から交互に排ガスを当てることで効率よくターボチャージャーを活用することができる。

ただし、ツインスクロール構造にはシングルスクロールでは生まれないロスが発生することがある。パワーとレスポンスの両立を諦め、パワー重視と割り切ったチューニングでは、大きなシングルスクロール型ターボチャージャーに行きつくことが多い。これはツインターボエンジンでも同様で、相反する要素の片方だけを追求するとなると、その領域に最適化したターボチャージャーがマッチするというわけだ。

ちなみに、国産車でツインスクロールターボを採用しているのは現行モデルではSUBARU WRX STIが代表例。かつてはダイハツ コペン(初代)にもツインスクロールターボが使われたことがある。小さなターボチャージャーでも可能となっている技術なのだ。

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