なぜ現在はSOHCエンジンではなくDOHCエンジンなの?

SOHCエンジンとは?

SOHCエンジン L20ET

シングル・オーバー・ヘッド・カムシャフト、それがSOHCの正式な名称です。単にOHCと呼ぶこともあります。

エンジンの吸排気バルブを開閉させる"カムシャフト"が、燃焼室の上に配置されている(=オーバーヘッド)形式で、DOHC(ダブル・オーバー・ヘッド・カムシャフト)になると、燃焼室の上に2本のカムシャフトを備えます。

かつてカムシャフトは、燃焼室の横(シリンダーブロック)に配置されており、長いプッシュロッドによって燃焼室の上にあるバルブを駆動していました。それがOHV(オーバーヘッドバルブ)という形式です。

そのカムシャフトを、燃焼室の上に配置したOHCは、プッシュロッドがなく、バルブ機構の慣性重量を減らすことができるため、1960年代以降の日本車に多く採用されてきました。

「名ばかりのGT」と言われた時代も

SOHCは、1本のカムシャフトで吸排気両方のバルブをロッカーアームを介して動かすため、高回転エンジンには向かないとされていました。そのためスポーツ用途のエンジンには、吸排気バルブそれぞれにカムシャフトが配置されたDOHCが採用されることが多かったのです。

その代表がトヨタで、1967年にデビューしたトヨタ 2000GTに、2.0L DOHCの3M型を搭載して以降、現在までDOHCエンジンを絶やしたことがありません。

1970年代中盤以降の低排出ガス・省燃費時代もDOHCエンジンを死守し、SOHCエンジンを搭載していた日産 スカイラインGTなどを「名ばかりのGTは道を開ける」というキャッチコピーで挑発しました。

それほど高性能エンジンのイメージが強かったDOHCエンジン、近年ではほとんどのエンジンがDOHCを採用していると言っても過言ではありません。

なぜ現在はSOHCではなくDOHC?

ひと昔前とは変わって、現在では決して高回転型とは呼べないエンジンでもDOHCを採用しています。その理由は、ひとえに効率のためです。

エンジン用コンピュータが未成熟な頃は、吸排気効率を高めるためバルブ数を3−4に増やしても、SOHCが十分に仕事を果たしていました。しかし、高度で緻密なエンジン制御が求められるようになると、吸排気それぞれに独立したカムを持つDOHCの重要性が増してきます。

さらに、モデルによってシリンダーヘッドを作り分けるより、量産効果でコストを低減できるという意味合いもあって、DOHCだけを作るメーカーが増えています。

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SOHCに利点は無いのか?

高度な環境性能を達成しながらハイパワーも実現するという緻密な制御には、DOHCが有利です。しかし、そうした効率のみを重視しない場合は、SOHCエンジンにも利点はあります。

SOHCはDOHCに比べ部品点数が少ないため、コストはもちろん、重量、とくにエンジンの頭が重いトップヘビーを抑え、重心を下げることができるのです。

つまり、車両の旋回性能に限って言えば、DOHCに可変バルブタイミング機構など複雑なメカニズムを持ったエンジンよりも、SOHCエンジンのほうが優れている場合があるのです。

また前述したエンジン上にカムシャフトの無いOHVエンジンなら、エンジン高も抑えられて、さらに重心が下がります。そんな利点を知っているコルベットなどは、いまだにOHVを採用しています。

以前の日本車でもダイハツなど、SOHC 2バルブターボで、軽自動車自主規制値いっぱいの64psを発揮していました。ハイパワーエンジンはDOHCでなくとも可能なので、他のメリットを追求したエンジンも以前は多かったのです。

現在はどこのメーカーも効率重視でエンジンを設計しているため、同じようなDOHCエンジンになっているというわけです。

頻繁に回転数が上下しないEVの発電用など、補助用途であれば、コストと重量を抑えられるSOHCエンジンが復活するかもしれませんね。

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