エンジンのバルブって何をしているの?

バルブ

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エンジンのバルブとは、一般的には吸気バルブと排気バルブを指し、どちらもエンジンを動かすうえで重要な役割を担っています。この吸・排気バルブは、どのような機構で作動し、どのような役割を果たしているのでしょうか。基本に立ち返ってみてみましょう。

文・吉川賢一
Chapter
エンジンのバルブはどこにある?
吸・排気バルブの役割
バルブ作動の仕組み

エンジンのバルブはどこにある?

エンジンは、おもに次の3つで構成されています。

・往復運動を回転運動に変える働きをする、クランクシャフトを支持しているクランクケース
・ピストンが往復運動するシリンダーを固定しているシリンダーブロック
・吸・排気バルブとそれを動かす動弁系機構を組み込んでいるシリンダーヘッド

吸気バルブは、シリンダーヘッドに形成された吸気ポートに配置されており、燃料と空気の混合気をシリンダーに送り込むときに開きます。一方、排気バルブは、排気ポート側に配置され、シリンダーの燃焼ガスを排出するときに開きます。

バルブは、傘部とステムで構成され、棒状のステムの先端に円形の傘が付いた、キノコ形状をしています。上下に動くバルブ傘部のバルブフェースと、吸・排気ポートそれぞれに装着された弁座(バルブシート)の間隔(バルブリフト)によって、混合気燃焼ガスの流れを開放したり、遮断したりしています。

最近のエンジンでは、1気筒あたり吸・排気バルブがそれぞれ2個ずつ、合計4個の4バルブエンジンが主流です。

吸・排気バルブの役割

では、どのようなタイミングで吸・排気バルブは開閉するのでしょうか。

4サイクルエンジンは、次の4つの行程で構成されており、そのなかでエンジンは2回転します。

①燃料と空気の混合気をシリンダーに吸入する「吸気」
②吸入した混合気を圧縮する「圧縮」
③圧縮した混合気に点火して爆発する「燃焼」
④燃焼ガスをシリンダーから排出する「排気」

まず「吸気」行程で、ピストンが下降し始めると、吸気バルブが開き、シリンダー内に混合気が吸い込まれます。ピストンが、最下点(下死点と呼びます)付近で、吸気バルブは閉じ「圧縮」、さらに「燃焼」が行われます。このとき吸・排気バルブは、閉じた状態です。

そして「排気」行程で、排気バルブを開いて、ピストンの上昇ととも燃焼ガスをシリンダーから排気管へ押し出します。ピストンが、最上点(上死点)付近でバルブは閉じます。

本来、吸・排気バルブにはオーバーラップというものがあり、同時に開いているタイミングがありますが、ざっと燃焼行程を説明すると上記のようになります。

この行程を連続的に繰り返すことによって、エンジンはスムーズに回転するのです。

バルブ作動の仕組み

次に、どのようにしてピストンの動きに連動して、吸・排気バルブを開閉するのでしょうか。その役目を担うのが、カムシャフトです。

カムシャフトには、バルブの開閉時期やリフトを制御する、卵の断面のような形状をしたカムが、通常は吸・排気バルブの数だけ、配列されています。このカムシャフトを、クランクシャフトが2回転する間に1回転するように、タイミングベルトまたはタイミングチェーンによって連動させています。

バルブを駆動する方式には、カムで直接、バルブを駆動させる直動式と、ロッカーアームやスイングアームを使ってテコの原理で駆動させる方式があります。カム配置については、1つのカムシャフトで吸排気バルブを駆動させるSOHC(シングルオーバーヘッドカム)方式、吸・排気それぞれに1つのカムシャフトで駆動させるDOHC(ダブルオーバーヘッドカム)方式が一般的です。

ちなみにひと昔前は、「DOHC-16バルブ」というロゴをクルマのボディに表示し、高性能エンジンをアピールしていた時代がありました。非常に懐かしいですね。


最近のエンジンでは、吸・排気バルブの開閉時期やバルブリフトを自由に制御できる可変バルブ機構が、一般的な技術として広く普及しています。まだ多少の進化の余地はありますが、動弁系技術はすでに円熟した技術と言えるでしょう。

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