TRIUMPH THUNDERBIRD STORM サンダーバード ストームという選択

アヘッド サンダーバード ストーム

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'60年代の末までは高性能なオートバイといえばイギリス製だった。中でも「トライアンフ」は、アメリカのソルトレイクで行われる速度競技、「ボンネビル」において、1956年に343キロの最高速度記録を樹立し、世界中から注目された。

text:神尾 成 photo:長谷川徹  [aheadアーカイブス vol.121 2012年12月号]
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TRIUMPH THUNDERBIRD STORM サンダーバード ストームという選択

TRIUMPH THUNDERBIRD STORM サンダーバード ストームという選択

その後トライアンフは、1958年に最速記録に因んだ〝バーチカルツイン〟649㏄の「T120ボンネビル」を発表する。このモデルは、市販車でも世界最速の性能を誇り、信頼性も高かったことから、日本のオートバイメーカーの指針となった。

19世紀末、自転車メーカーだったトライアンフは、1902年にエンジン付き車両の生産を開始、オートバイのブランドとして110年を越える長い歴史を持つ。'83年に倒産の危機に陥ったが、翌年から実業家のジョン・ブルーアによって再生の準備が進められ、1990年に現在のトライアンフの生産がスタートする。

活動を再開したトライアンフは、「ボンネビル」、「スピード」、「タイガー」と言った歴史を彩る往年の車名も復活させた。「サンダーバード」という名称も1949年に登場した「6Tサンダーバード」に由来する。

アメリカで社会問題を起こした映画「乱暴者」の劇中、マーロン・ブランドが駆ったのは、この〝バーチカルツイン〟の6Tサンダーバードだった。
今回の「サンダーバードストーム」は、トライアンフの伝統ともいえる〝バーチカルツイン〟を、1699㏄にまで拡大させた。この行為は、トライアンフでなければ許されなかったことだ。ハーレーの45度VツインやドゥカティのL型ツインと同様、エンジンのレイアウトはメーカーのアイデンティでもあるからだ。

歴史の上に現在があることを重んじるイギリスの文化は、オートバイの分野でも変わらずに生きている。しかし一方で、イギリスにはパンクロックに代表される既成概念に囚われないカウンターカルチャーも存在する。

サンダーバードストームは、大型クルーザーであるにも関わらず、コーナリングを意識した前衛的なオートバイだ。スポーツバイク並みのブレーキシステムを装備し、極太のフロントフォークを組合せたストッピングパワーは、車体姿勢の変化を容易にさせ、剛性感のあるフレームと相まって、見た目以上の運動能力を発揮する。

また〝膨大〟と呼べるトルクは、スーパースポーツを簡単に置き去りにする追い越し加速をみせるのだ。

過去を継承するだけではなく、既存の考え方を打ち破る現代のトライアンフは、ある意味で〝ロッカーズ〟のスピリットも甦らせた。サンダーバードストームは、伝統的でありながらも決して古典的ではない。
TRIUMPH サンダーバード ストーム
○エンジン形式:水冷DOHC並列2気筒270°クランク
○総排気量:1,699cc
○最高出力:72kW(98HP)/5,200rpm
○最大トルク: 156Nm/2,950rpm
○全長×全幅(ハンドルバー)×全高:2,340×880×1,120㎜
車両重量:339kg
車両本体価格:¥1,890,000

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text:神尾 成/Sei Kamio 
1964年生まれ。神戸市出身。新聞社のプレスライダー、大型バイク用品店の開発、アフターバイクパーツの企画開発、カスタムバイクのセットアップ等に携わり、2010年3月号から2017年1月号に渡りahead編集長を務めた。現在もプランナーとしてaheadに関わっている。
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