ル・マン24時間レース 2013年の見どころ

ル・マン24時間レース 2013年の見どころ

アヘッド ル・マン24時間レース

ル・マンは今年で90回目の節目を迎えるが、その節目を記念して10年ごとに時代を代表するマシンを選出した。1990年代を代表するマシンに選ばれたのは、91年ウィナーのマツダ787Bである(プジョー905が同時選出)。

ロータリーエンジンを積んだ唯一のル・マン優勝車であり、ル・マンで優勝した唯一の日本車でもある。787Bをはじめ、選出された11台のマシンは、決勝スタート前にデモ走行を行うことになっている。

昨年からル・マンに復帰したトヨタが、マツダにつづく日本車ウィナーになるかどうかが今年の注目点だ。トヨタはお家芸のハイブリッドシステムを搭載するTS030ハイブリッドで、ル・マン初制覇を目論む。

車体の開発を行うのは、09年までF1参戦活動の拠点だったTMG。専用の3・4L・V8ガソリンエンジンとハイブリッドシステムは、量産ハイブリッド開発部隊の協力を得ながら、東富士研究所のモータースポーツ部が開発する。日本で製造したエンジンとハイブリッドシステムをドイツのTMGに送り込み、車体に組み込んで完成させるわけだ。

昨年は2台投入したうちの1台が序盤にトップに立ったものの、アクシデントに遭遇してリタイヤ。中嶋一貴が運転した残りの1台もエンジントラブルにより、スタートから10 時間半後にリタイヤした。トヨタは今年も2台を投入。速さだけでなく、壊れても迅速に修復できる「強さ」を身につけたのが特徴だ。

そのトヨタを迎え撃つのは参戦15年目のアウディだ。挑戦者であるトヨタの関係者は力の差を「恐竜とアリのようなもの」と表現するほど手強い相手である。アウディはディーゼルエンジンを投入した年に7回目の優勝を果たすと、翌年も連覇。

トヨタが復帰した'12年は、得意のディーゼルエンジンをベースにハイブリッド化したR18e–tronクワトロを2台仕立て、トヨタを相手に横綱相撲をした。昨年のアウディは2台のハイブリッドに加え、信頼性が確立されたハイブリッドレス仕様を2台出走させたが、今年はハイブリッド仕様3台を投入し、4年連続10回目の優勝を目指す。

ル・マンの車両はレース専用に開発したLMP(ル・マン・プロトタイプ)と、市販車ベースのLM・GTEに大別できる。それぞれが2つのカテゴリーに分類され、ペースの異なる4つのカテゴリーが混走する。

LMP1は主にワークスチームを対象にしたカテゴリーで、トヨタやアウディもこのカテゴリーに属する。LMP2はプライベートチームが対象。このカテゴリーの大半の車両が、ニスモ(バッジは日産)が開発した4・5L・V8エンジン(スーパーGT用がベース)を搭載する。

昨年はHPD(アメリカに拠点を置くホンダの子会社)製エンジン(2・8L・V6ツインターボ)搭載車にクラス優勝を奪われたため、必勝体制で臨んでくるはずだ。

LM・GTEはプロとアマの各クラスに区分される。そのプロクラスに参戦するのが、昨年までF1マシンのステアリングを握っていた小林可夢偉だ。実質的にフェラーリのワークスチームであるAFコルセに所属し、458イタリアを駆る。

新型に移行したポルシェ911RSRやアストンマーティン・ヴァンテージV8、シボレー・コルベットC6–ZR1など、周囲は強敵ぞろい。だが、可夢偉はル・マンの前哨戦ともいうべきWEC(世界耐久選手権)の序盤2戦でいずれも表彰台に上がっている。初挑戦の大舞台で好成績を期待してもいいだろう。

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昨年の参戦で得た課題をもとに、速さと強さを磨いたトヨタのハイブリッド車両。中嶋一貴選手は7号車をドライブする。

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1991年の優勝マシン、マツダ787Bは1990年代を代表する車両に選出された。スタート前にデモ走行を予定。

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ひとくちにハイブリッドといってもトヨタとアウディでは技術が異なる。トヨタは理詰め、アウディは実践的だ。

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小林可夢偉はカーナンバー71のフェラーリ458イタリア(上)で出走。ポルシェは新型ベースの車両にスイッチ。

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22台のLMP2のうち、ニスモ開発の日産エンジン搭載車は15台に達する。日産は28号車の井原慶子も支援。

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text:世良耕太/Kota Sera
F1ジャーナリスト/ライター&エディター。出版社勤務後、独立。F1やWEC(世界耐久選手権)を中心としたモータースポーツ、および量産車の技術面を中心に取材・編集・執筆活動を行う。近編著に『F1機械工学大全』『モータースポーツのテクノロジー2016-2017』(ともに三栄書房)、『図解自動車エンジンの技術』(ナツメ社)など。http://serakota.blog.so-net.ne.jp/

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