オンナにとってクルマとは Vol.47 シートアレンジの憂鬱

オンナにとってクルマとは

Vol.47 シートアレンジの憂鬱

それは、シートアレンジがこんなにも面倒で、重たくて、油断ならないものだったのか。「CMでは、あんなに簡単そうに操作していたのに……」。理想と現実のギャップを目の当たりにすることである。

どんな試乗車でもシートアレンジを試している私の感覚では、アレンジの数や種類の多さを謳っているクルマほど、その実用性はあやしい。 

とあるミニバンでは、荷物を最大限に積める広さにするために、まず3列目のシートのヘッドレストを外して指定の場所に収納し、座面を折り畳んで左右に跳ね上げ、今度は2列目シートの背もたれを倒して、さらにくるりと半回転させて直立にし、その状態のまま最前列にスライドさせ、備え付けのベルトで固定するという、とても手間のかかるプロセスを踏む。

しかも、その最初の3列目を跳ね上げる操作はかなりの重労働で、とても女性ひとりでは難しいような代物だ。きっと、この事実を知らずに購入したとしたら、いざやってみて愕然とするだろう。だからこそ、シートアレンジを試すことは購入前の必須項目だ。

ここまで大変な例は少ないとしても、ほんの少しの難が女性を憂鬱にする例はたくさんある。シートを倒した状態から復帰させる時に、どうやってもシートベルトが挟まってしまい、手で押さえていないと操作できないとか、操作レバーが堅くてせっかくのネイルが傷ついたり、指が痛くなったりすることもある。

ワンタッチ操作のレバーを引いた途端、シートがすごい勢いで倒れてきて頭を殴られた、なんてクルマもあった。開発時に女性視点を取り入れることなどで、新しいクルマは改善されてきているが、まだまだ完璧ではない。先日も、背もたれを起こす時に危うく指を挟まれるところだったし、あまりに操作が重たくて男性に手伝ってもらったクルマもあった。

こうした経験をメーカーのエンジニアの方々に話すと、「それは盲点でした」と素直に受け入れてくれることが多い。男性には天地をひっくり返しても、想像がつかないことというのが、やはり女性にはあるらしい。だから、感じたこと、経験したことはどんどん声に出していく。それが、より人に優しいクルマづくりにつながるのだと思っている。

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text : まるも亜希子/Akiko Marumo
エンスー系自動車雑誌『Tipo』の編集者を経て、カーライフジャーナリストとして独立。ファミリーや女性に対するクルマの魅力解説には定評があり、雑誌やWeb、トークショーなど幅広い分野で活躍中。国際ラリーや国内耐久レースなどモータースポーツにも参戦している。

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