STIがニュル24hに挑戦する理由

STIがニュル24hに挑戦する理由

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空力を改善し、シーケンシャルシフトを導入した新型WRX・STIは、4名のドライバーがバトンをつなぎながら24時間を走り切った。しかし目標達成はならず、総合32位、クラス4位に終わった。

クラス首位でレースを折り返した直後、スロー走行する車両を避けきれずに右フロントを接触。サスペンションユニットやドライブシャフトなどの交換を強いられ、30分をロスした。さらにその4時間後、駆動系のトラブルが発生し、修復に25分を費やした。これらのトラブルが優勝という目標を遠ざけたのである。

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ニュルブルクリンク24時間レースの1週間前には、フランスでル・マン24時間レースが開催された。どちらも、内外の自動車メーカーが積極的に参加しているのは同じ。ただし、ル・マンの最高峰カテゴリーは専用開発したシャシーとパワーユニットで参戦するのに対し、ニュルは市販車ベースの車両で行うのが特徴。NBRチャレンジ0214も、車両の基幹部分は量産車そのものだ。

量産車でニュルを走ることに意義がある、というのがSTIの、そして密に連携している富士重工業の考えだ。レースはF1やDTMなどを開催する約5㎞のグランプリコースと、北コースあるいはオールドコースと呼ばれる20.832㎞のコースを組み合わせて行う。

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北コースはアップダウンが激しく(300mの高低差がある)、大小170以上のコーナーがあり、エスケーブソーンはほとんどなく、ブラインドクレスト(峰)もある。山岳部に位置するため、天候は変わりやすい。そのため、「ニュルには世界のありとあらゆる道の厳しい要素がすべて存在する」とも言われる。

だからSTIとスバルは長年、ニュル24時間に挑戦を続けているのだ。「究極の一般道」と称されるニュルで走りを磨くことで、「安心と愉しさ」を実証するために。特筆すべきは、過酷なコースで走りを磨くからといって、限界性能を極めることに重点を置いているわけではないこと。磨くのはあくまでも「安心」である。

歯を食いしばってタイムを縮めたとしても、それを24時間は続けられない。同じタイムを何時間も連続して出すためには「安心して運転できること」が重要。それが、彼らの開発スタンスだ。

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text : 伊丹孝裕/Takahiro Itami
1971年生まれ。二輪専門誌『クラブマン』の編集長を務めた後にフリーランスのモーターサイクルジャーナリストへ転向。レーシングライダーとしても活動し、これまでマン島TTやパイクスピーク、鈴鹿八耐を始めとする国内外のレースに参戦してきた。国際A級ライダー。

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