世界で闘ってきたライダーの想い STEライディングスクール

アヘッド STEライディングスクール

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「安全に、楽しく走る」 それは藤原克昭にとって〝願い〟のようなものなのかも知れない。この日、私が参加したのは藤原克昭が主催する「STEライディングスクール」セーフティのS、テクニックのT、エンジョイのE。安全に楽しく走るための基本的な技術を身につけることを目的としている。場所は自動車教習所。

text:ahead編集長・若林葉子 photo:渕本智信 [aheadアーカイブス vol.176 2017年7月号]
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世界で闘ってきたライダーの想い STEライディングスクール

世界で闘ってきたライダーの想い STEライディングスクール

藤原克昭と言えば日本を代表するレーシングライダーのひとり。プロフィールを見ていただくと分かるが、世界を舞台に活躍したレーシングライダーだ。だから大抵の人は、「藤原克昭がサーキットでスポーツライディングを教えるなら分かるけど、なぜ教習所で安全運転を教えるの?」と不思議に思う。

「僕は長年レースをやってきて、つい数年前まで現役でしたが、最近、若手のステップアップが早過ぎるという印象があるんです。16歳未満でも国際A級を取得できますし、地方戦から全日本、次は世界へ…と。でも全日本の選手でも基本ができていないと感じることがあります。

それに今の1000㏄のバイクは、少し前のグランプリマシンとそう変わらない性能を持っているので、生半可なことでは扱えないんです。

だからバイクに乗る人には、とにかく基本をもっと知ってもらいたい。教習所なら街中を想定したレイアウトだけでなく、スピードをコントロールするためにパイロンを使ったりしてサーキットの要素を取り入れたレイアウトも可能です。何より、S字や8の字にバイクの全てが詰まってるんですよ」
STEライディングスクールは一人一人をしっかり見るならこの人数が限界、という理由で定員20名。

実際、本当に丁寧に見てくれる。多分、このスクールの一番の特徴は「よく見てくれる」ところにあると思う。サーキットのように一瞬で通り過ぎるのではなく、講師である藤原が一つ一つの動作を目の前でゆっくり観察できるし、全体を常に見渡せる。

「見ていてくれる」安心感と信頼感があるから、リラックスできるしトライもできる。全員を十把一絡げに教えるのではなくて、その人の技量、乗っているバイクの特性に合わせて的確なアドバイスをくれる。

私はポジションがこれまで少し前過ぎたことが分かった。わずかに後ろに座ることでステップをしっかり踏み込めるようになったし、ニーグリップもしやすくなりお腹に力を入れることができるようになった。

いつでも止まれるようにとリアブレーキを意識するあまり、左右でステップに置く足の位置が異なってしまい、逆に常に不安定になっていることも指摘された。ギアチェンジもリアブレーキも必要な時だけ足を移動して、それ以外は指の付け根でステップを踏む。するとバイクは安定する。曲がるときは曲がりたい方のステップをしっかり踏み込んで体重を掛ける。すると自然にバイクは曲がっていく。

これだけのことでも自分の身体で分かると嬉しいものだ。1日を通じて、バイクに乗ることがどんどん楽しくなっていく。どれもまだまだ上手くはできないけれど、普段、バイクに乗るときに練習できることばかり。

「僕らはバイクの危険性を身を以て知っています。だからこそ、もっと基本を知ってもらいたい。安全に楽しく走ることが何よりも大事で、速く走るはその先にある。ここでできないことはサーキットでもできないんです」

彼はこの日、何度も「もっと基本を知ってもらいたい」と言った。1日、スクールに参加して、彼のその言葉は建前なんかではなくて、バイクの世界で生きてきた人の心からの願いなのだと思った。

撮影協力:HYOD Products
(ジャケット)ST-S Lite STIMULI D3O® PARKA
¥33,500(税別)
(パンツ)SMART LEATHER D3O® RIDE PANTS
¥54,500(税別)
www.hyod-products.com
▶︎ブレーキング、スラローム、8の字とそれらの応用としての総合走行を学ぶ。自分のバイクを持ち込むことが条件だが、排気量や車種は問わない(スクーターも可)。初心者でも臆することなく参加できる。

STEライディングスクール
 www.hakunan.com/rs 
問い合わせ先:kf-rs@hakunan.com(メール受付のみ)
Katsuaki Fujiwara
1975年生まれ。山口県出身。ミニバイクレースで早くから頭角を現し、全日本ロードレース選手権で活躍したのち、1998年から舞台を世界に移す。2009年までスーパーバイク世界選手権、スーパースポーツ世界選手権で闘い、2011年にはFIMアジアロードレース選手権スーパースポーツ600ccクラスでチャンピオンを獲得。2014年に現役引退を発表。現在はKawasaki Racing Team アドバイザー、アジアロードレース選手権コーチを務める。

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text:若林葉子/Yoko Wakabayashi
1971年大阪生まれ。Car&Motorcycle誌編集長。
OL、フリーランスライター・エディターを経て、2005年よりahead編集部に在籍。2017年1月より現職。2009年からモンゴルラリーに参戦、ナビとして4度、ドライバーとして2度出場し全て完走。2015年のダカールラリーではHINO TEAM SUGAWARA1号車のナビゲーターも務めた。
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