エンデューロは二輪の東京マラソン!?

エンデューロは二輪の東京マラソン!?

アヘッド エンデューロ

それが一体どれほどのものなのか? 分かりやすいのはエントラントの数で、今回僕が参戦した「JNCC第7戦シーサイドバレー大会(新潟県糸魚川市)」に集まったバイクは370台を超えた。いくつものクラスがあるとはいえ、北海道や九州も含めて全国からそれだけの台数が集まってくる様は壮観だ。

バブル期のロードレースでは500〜600台のエントリーも決して珍しくなかったが、それも今は昔。現在予選落ちがあるようなレースはほとんどなく、グリッドに並ぶ台数が10台前後ということも珍しくない中、エンデューロの多くはコンスタントに数百台単位の台数を集め、11月に長野県で開催されるJNCCの最終戦に至っては550台程のエントリーが見込まれるなど、ちょっとしたブームが巻き起こっている。

ロードレースとエンデューロの違い。それを現実的な視点から言えば、まず掛かる費用が大幅に異なる。車体はもとよりタイヤ代、パーツ代、転倒した場合のコストなど、ロードレースはそのひとつひとつがかさむ一方、エンデューロの場合は基本的に安価で、壊れるパーツも少なく、ケガのリスクもかなり低い。

そして、なにより異なるのは競技に対する目的意識だ。ロードレースは順位やタイムに対するプライオリティが高く、つまりはライバルに対する勝ち負けが評価基準になる。

その点、エンデューロで戦うべき相手はコースそのもの。普段は2輪が走ることのないスキー場や尾根道、川などを利用して10数㎞に及ぶコースが設定され、その途中にヤチと呼ばれる泥地やガレ場、激上り&下りといったセクションが設けられているため、難易度や天候次第では1周できない可能性すらあるからだ。

規定の周回を重ねるのは当然で、その中でコンマ1秒を競うロードレースとはそこが決定的に異なる。もちろんエンデューロでもトップはシビアな争いを繰り広げているが、多くのライダーは「前回はクリアできなかった崖を今回は上手く乗り越えられた」という達成感に喜びを覚えながら走るのだ。目の前のハードルを少しずつクリアし、できなかったことができるようになる。その成功体験が散りばめられているエンデューロには、マラソンやトライアスロンに通じる爽快感が溢れていた。

370台にものぼるバイクがクラスごとに分かれて一斉スタートするシーンは圧巻。レースを楽しむ人たちの様子を見ていると、エンデューロが東京マラソンのように一つの文化として成立しているように思えた。エンデューロはレースとしての歴史は浅いが、いつの間にか成熟していたことに驚く。ここに至るまで多くの人々がその礎を築いてきたのだろう。

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text:伊丹孝裕/Takahiro Itami
1971年生まれ。二輪専門誌『クラブマン』の編集長を務めた後にフリーランスのモーターサイクルジャーナリストへ転向。レーシングライダーとしても活動し、これまでマン島TTやパイクスピーク、鈴鹿八耐を始めとする国内外のレースに参戦してきた。国際A級ライダー。 

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