忘れられないこの1台 vol.61 VWゴルフ1600GLE(’77年式)
text:片岡英明 [aheadアーカイブス vol.139 2014年6月号]
text:片岡英明 [aheadアーカイブス vol.139 2014年6月号]
▶︎ビートルの後継ファミリーカーとして1974年にデビューした。デザインを手がけたのはジョルジェット・ジウジアーロだ。日本では’75年から発売を開始している。ファミリーカーのベンチマークと言われ、日本にもファンが多い。初代モデルにはガソリンエンジンとディーゼルが用意されていた。
子どものときから乗り物が好きだった。なかでも興味を持ったのは自動車だ。家が商売をしていたこともあり、物心ついたころからトラックやライトバンの助手席に滑り込み、ドライブを楽しんでいる。小学校の高学年になると自動車雑誌を読みあさるようになり、スロットカーにも熱を上げた。
そしてお決まりのように、16歳で自動2輪免許を取得。当時は限定などと言うヤボな制度はない、誰でも簡単に取れるいい時代だった。自動車の免許を取ったのは、大学に入ってからで、最初の愛車は、3万円で買った中古の510型ブルーバード1600SSSだった。
その後、学生の分際でありながら何台も中古車を乗り継いでいる。その多くはツインキャブのスポーティーカーで、運転するのが楽しくて、箱根や奥多摩のワインディングロードにも足しげく通った。大学を卒業し、就職したときに思い切って輸入車を愛車に選んだ。フォルクスワーゲン(VW)が自信を持って送り出したゴルフの中古車である。
日本の自動車メーカーが排ガス規制に躍起になっている頃、VWは世代交代の真っただ中にあった。VWの代表と言えばリアエンジンのビートルだったが、エンジンも駆動方式も違うFF方式のゴルフが主役に躍り出たのである。
僕はヨーロッパで発表されたときからゴルフに注目していた。海外の自動車専門誌に載っている写真とメカニズムを見た瞬間、ビビッときたのだ。インプレッション記事を読んでも評価は高かった。
日本で発売されたとき、すぐに販売店に出向いて、試乗を申し込んだ。最初に驚かされたのは、ドアの開閉音が感動するほどよかったこと。コンパクトカーとは思えないほど重厚な音だった。もちろん、動力性能は満足できるものだし、ハンドリングも洗練されていた。また、パッケージングも素晴らしく、キャビンもラゲッジルームも十分な広さで、シートの出来もよかった。
が、新車は高嶺の花だ。おいそれと買える代物ではない。かなわぬ夢とあきらめていたが、恋こがれていると思わぬチャンスが訪れるもので、新車から7ヵ月、走行わずか7000㎞のゴルフを手放す人が現れたのである。しかも大好きなブルーのゴルフだという。安くはなかったが、清水の舞台から飛び降りるつもりで購入を決意したのだ。
この選択は間違いではなかった。友達感覚で対話できるクルマを手に入れたことにより、クルマの新しい価値観と魅力を知ることができたのである。今の職業、モータージャーナリストの世界へ導いてくれたのも、このゴルフだ。
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text:片岡英明/Hideaki Kataoka
1954年茨城県生まれのモータージャーナリスト。自動車専門誌の編集者を経てフリーランスに。乗り物は何でも好きで、新しいメカニズムにも興味津々。また、クラシックカー好きとしても知られている。最近はカーボンオフセットのためにEVのイベントにも積極的に参加。
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