オンナにとってクルマとは vol.22 オンナとピンクとクルマの関係

vol.22 オンナとピンクとクルマの関係

でもそれは、女性がピンク色のクルマを欲しがっているから、という理由ではなく、ラインアップの中にピンク色を持つことで、「このクルマは女性のことを考えてつくったクルマですよ」とアピールするための" おとり"にしていたような気がする。ピンク色があるだけで、女性が買っても大丈夫なクルマなんだ、と身近に思わせるテクニックとも言える。だから実際にはピンク色を買う女性が少数でも、他の色が売れればそれでいいし、べつにその事実が「なぜ女性はピンク色を買わないんだ?」なんて問題になることもなかった。

ところが。ここにきて、ピンク色にものすごい執念を注ぎ込んだクルマが登場した。企画と開発担当者は若い女性のチームという、ホンダ・フィットの『She’s』である。女性チームに話を聞くと、とにかくピンク色へのこだわりがハンパない。しかも、男性の目を意識したピンクでもなければ、男性が思い浮かべる「女ってこういうピンク好きでしょ」でもなく、「私たちが本当に欲しかったピンク」を作りたかったという。

ひと口にピンクといっても、濃い・薄い・ケバイ・やわらかいなどたくさんの色合いがある中で、完成したShe’sのピンク色をたとえるならば、ジュエリーのピンクゴールドのようなイメージだ。かわいらしさの中に上品さがあって、誰がどこから見ても「ピンク!」という印象ではない。とくにピンクが好きではない私でも、「これなら乗れそうだな」と心惹かれる絶妙な色合いだ。同じようなイメージで、エアコン吹き出し口のリングや、シートのステッチなどにもピンクがあしらわれていて、ほどよいサジ加減が効いている。

でもこの微妙なピンクが、なかなか製作側の男性に理解してもらえなかったらしい。何度も試作のピンクにダメ出しをしていたら、最後は「僕たち男にはピンクは分からない」と言われてしまったとか。そして、こだわり抜いたShe’sのピンク色は、受注台数の約半数を占めている。
女とピンクの関係が、クルマと女の関係にもシナジーを生みそうだ。

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text:まるも亜希子/Akiko Marumo
エンスー系自動車雑誌『Tipo』の編集者を経て、カーライフジャーナリストとして独立。
ファミリーや女性に対するクルマの魅力解説には定評があり、雑誌やWeb、トークショーなど幅広い分野で活躍中。国際ラリーや国内耐久レースなどモータースポーツにも参戦している。

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